福井のIT企業、同性婚も「結婚休暇」「家族手当」など対象に 「性的マイノリティスタッフへの差別は禁止」
福井県に本社を置くIT企業のオールコネクトは3月1日から、社内規定に「男性・女性・性的マイノリティへの均等な雇用機会、待遇確保を図り、性別により差別することがないよう努める」という旨の文言を追加する。
それに伴い、「結婚休暇」「家族手当」「結婚祝い金」制度の対象を同性婚のスタッフにも拡大する。同社は、働き方や働く人の多様性を推進する”ダイバーシティ雇用”を行っており、今年1月、在宅ワーク制度を導入。これに続き、第2弾目の働き方改革の施策となる。
「当事者が心地よく働ける会社があれば、新しい人材が確保できる」
博報堂DYグループLGBT総合研究所の調査によると、LGBTに該当する人は5.9%。その他性的マイノリティ(2.1%)と併せると8.0%、25人中2人は当事者だ。しかし、企業の理解はまだ浅く、当事者は就職で大きな壁に当たっているのが現状だ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、LGBTについて「積極的な推進の取組みを実施している」上場企業は3.6%に留まるという。
同社担当者は、
「現在、有効求人倍率は高く、人材が集められない状況です。また企業にはLGBTへの理解が求められるのに、行動に移しているところは少ない。そんな中、LGBT当事者が心地よく働ける会社があれば、新しい人材が確保できるのではないかと思い実施に至りました」
と話す。従業員全員が働きやすい会社を目指すとともに、企業としても”新たな人材”にリーチしたいということだろう。
「以前、当事者から『ひとつ嘘を重ねると、何十も嘘をつかなければいけなくなる。疲れるし精神的につらい』という声を聞きました。そんな人がこの制度をきっかけに少しでもカミングアウトしやすくなったり、働きやすくなったりすればと考えています」
同性婚のスタッフが結婚休暇や結婚祝い金等を利用する場合は、結婚関係開始日の自己申告と、同棲を証明できる書類の提出が必要となる。
福井県のダイバーシティ雇用のモデルケースを目指す
同社には現在、性的マイノリティをカミングアウトしている人はいない。周りの従業員からの反応も「身近にいないからよく分からない」「そんな人もいるんだね」といったものが多いという。
担当者は、こうした従業員の意識変革にも注力しようとしている。「制度だけあっても意味がない」と、今後はLGBTに関する知識研修の導入や、人事・労務担当者などの積極的な講演会への参加などを行い、理解度を高めていく予定だ。
今後はLGBTなど性的マイノリティがストレスなく活躍できる会社を目指し、福井県のダイバーシティ雇用のモデルケースとなれるよう、制度や福利厚生の適用範囲拡充や設備の充実を図っていく予定だという。