世界の小松製作所、職場環境も超ホワイト? 「子どもが小学3年生まで時短勤務」「出産・育児のハードルが低い」
働き方改革が声高に叫ばれるこのご時世、ブラック企業にまつわるニュースは、しばしば大きなニュースとして取り上げられ、世間の耳目を集めてきた。
キャリコネにもブラック企業に関する口コミ投稿は多いが、その一方でホワイト企業として広く認知されている企業に関する口コミも、多数寄せられている。
今回取り上げるのは、1921年創立の建設機械大手・小松製作所(コマツ)の口コミだ。同分野では米国キャタピラー社と双璧をなす世界的メーカーで、他社に先駆けてICT(情報通信技術)技術を活かした機械の開発や、現場の生産性を向上するサービスの開発に注力。元祖IoT企業としても知られ、182社で構成されるコマツグループの連結売上高は 1兆8029億円、従業員数は4万7204人を数える(2017年3月期)。
2003年には営業利益率3%を切っていたが、イノベーション創出や構造改革などによって回復。今年1月の2017年度第3四半期の決算では、前年同期比で1.7ポイント増の11.7%、連結売上高は50.2%増収の6468億円となっている。
「ほぼ全てのワーキングマザーが育休後数年は時短で勤務している」
1951年に本社を石川県・小松から東京へ移転、現在は港区赤坂に本社がある小松製作所。
同社のV字復活を実現させ、”ダントツ経営”でも知られる坂根正弘氏(2007年から会長・13年4月から相談役)は、2001年の社長就任時から地元回帰を掲げ、一部の本社機能や工場を創業地である石川県をはじめとした地方へ分散。少子化対策や地方活性化といった社会的課題に企業ぐるみで取り組み、大きな成果を出してきた。
こうした背景もあってか、「出産・育児については問題なく産休・育休を取得でき、育休明けの復帰の前例も多いのでハードルは低い。子どもが小学校3年生になるまでは時短勤務ができ、ほぼ全てのワーキングマザーが育休後数年は時短で勤務している。介護については、介護休暇のほかリモートワーク制度が認められる場合もある」(法務 20代後半 女性 650万円)といった、女性の働きやすさ、出産・育児環境についての口コミの多さが目立った。
「出産経験者ですが問題なく復職しています。産休育休に周りは理解があり、同じ仕事に復職出来ます。本人の希望により異なる仕事に就くことも相談に乗ってもらえます。世間体や、政府からの押し付けで対応しているわけではなく、将来の少子化に向けて、女性でも働いてもらえることを真剣に考えての制度ですので、上っ面だけでなく、中身がしっかりしていると思います。なお、男性の育休取得も認められており、数週から数ヶ月、家族の都合と相談して取得しているようです」(その他 40代後半 女性 1000万円)
「女性の活躍を推進する取り組みを進めており、事務系では大卒でだいたい33~35歳くらいで管理職一歩手前。産休・育休をとってもさほど昇進には響かない雰囲気。女性管理職の数が増えることは間違いない」(法務 20代後半 女性 650万円)
法令遵守のホワイト企業 サービス労働は一切なし
一方、男性従業員からは労働時間や残業に関する口コミが特に多かった。その内容は「残業は毎日あるわけではなかったが、1日2時間程度こなしていました。休日出勤もあります。いずれにしてもサービス仕事は全くなく、手当についてもしっかりされていました」(技術関連職 30代前半 男性 300万円)など、法令遵守の意識の高さが伺えるものばかりだ。
「残業時間は月に大体45~60程度だが、勤務地によってはさらに少ないようである。休日出勤は基本的にはないが、納期の関係上必要な場合はせざるを得ない。とはいえ、振替休日などで調整することになるため総日数としては変わらず、休日出勤手当もつく」(機械設計 20代後半 男性 550万円)
「水曜と金曜日は早帰り日と指定されており、工場全体が最低でも定時後一時間後くらいにはほとんどの人が帰っている状態でした。工場でも本社から残業についてはかなり厳しくチェックされていました」(生産管理・製造管理 20代後半 男性 500万円)
昨年同社は、長期にわたる情報開示や投資家との対話も深めてきた姿勢のほか、近年注力しているESG(環境・社会・ガバナンス)説明会が持続的な成長への信頼性を高めると評価され、「IR優良企業賞」(日本IR協議会)で大賞を獲得した。
「会社が何をしようとしているかを、社長自らが全ての事業所を年に2回訪問して伝えに来ます。直接質問も出来ます。経営方針、伝えたいことが明確です。キーワードを駆使し、わかりやすく覚えやすくする工夫をしていることが伺えます」(その他 40代後半 女性 1000万円)
という口コミも象徴的だ。グローバル企業として確固たる地位を築き、先進的な取り組みが他企業の手本にもなってきた同社だが、その根底にはそんな現場主義の姿勢もあるようだ。