契約決定率が50%から70%にアップ! フォーラス&カンパニーの不動産業界の“常識”を覆す労働時間削減プロジェクト | キャリコネニュース
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契約決定率が50%から70%にアップ! フォーラス&カンパニーの不動産業界の“常識”を覆す労働時間削減プロジェクト

「第2回 ホワイト企業アワード」で「労働時間削減 部門大賞」を受賞

「第2回 ホワイト企業アワード」で「労働時間削減 部門大賞」を受賞

大阪市を拠点として、不動産の賃貸仲介、売買、管理、資産運用等の事業を展開するフォーラス&カンパニーが、「第2回 ホワイト企業アワード」(日本次世代企業普及機構/JWS 主催)で「労働時間削減 部門大賞」を受賞した。

「ホワイト企業アワード」は、年に一度ホワイト企業を表彰するイベント。フォーラス&カンパニーは、大幅に労働時間を削減した取り組みが認められての受賞となった。不動産業界には”長時間労働”のイメージがつきまとうが、どのように改革を推進していったのだろうか。代表取締役の神谷さんと、人材開発室・経営企画室の坂部さんに話を聞いた。

「このままでは存続の危機」――採用が難航したことでホワイト化を決意

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――ホワイト化を推進しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

ホワイト化を進めようと思ったきっかけは、人の採用が厳しくなったからです。実は、不動産業界は非常にブラックです。歩合制が当たり前、売上で給与も評価も全てが決まります。この業界に入って30年経ちましたが、昔から「使い捨ての文化」と呼ばれてきました。昔からこの業界は、キャリアアップという概念が全くありませんでした。数年働いて、別の企業に転職が当たり前の世界でした。

改革を行う前までは、弊社も同じように人の入れ替わりが激しかったです。人がいなくなるから新しい人を入れてとやってきましたが、5年ほど前から採用がうまく行かなくなりました。人はいなくなるのに、人が入ってこないので、人材不足に悩んでおりました。少し前までは、「最近の求職者の考え方がうちとあっていない。」と思っていましたが、それは違うのではないか、このままでは存続の危機ではないか、と気がつき、改革をはじめました。

固定給に変更し、業務は細分化&ユニット制を導入

――今回、受賞に至った理由や具体的な取り組み内容を教えてください。

やはり、労働時間の削減が大きいと思います。弊社では、働き方改革第一弾として労働時間の削減を行いました。弊社の長時間労働の原因は何か考えてみると、まずは「休みが少ないけれど売上が上がれば稼げる」という状態であることだと思いました。給与も評価も全て売上で決まっています。結局歩合制が従業員に無理を強いていた一因であると思いました。

だから、歩合制をやめ、固定給に変更しました。また今までは1人で完結していた仕事内容を細分化しました。人によって得意、不得意があったり、能力に差があります。契約書の作成や資料作成など分けることによって、営業職は営業に専念できるようになりました。そのおかげで今まで、残業時間は平均40時間が当たり前だったところが、平均20時間にまで減りました。店舗によっては、10時間を切る社員もいます。

それだけではなく、お客様1人に対し3名体制のユニットで業務に当たるようにしました。そうすれば、お客様からの連絡があるから休めないという状況はなくなります。昔は休みの日も携帯電話にお客様から連絡が入ることがあったものです。また、社内連絡ツールを用いてお客様情報を共有することで、担当がいなくてもお客様対応をすることができるようになりました。ユニットが違っても電話を受けた人がさっと処理してくれるので、担当はとても助かっています。みんなで助け合うという風土があるからこそできることだと思います。

――こうした取り組みによって、どのような効果・影響がありましたか。

先に述べたようなお客様対応のおかげもあって、契約決定率が50%から70%に上がりました。お客様目線で改善策を考えていたら、社員も休みが取りやすくなり、契約決定率が上がり、お客様も社員も企業もみんなが嬉しい結果が生まれました。また、店舗の中で、ユニットを組むことで「ユニット長」という新たなリーダーが増えました。このお陰で、リーダーを多くの人に任せることができるようになり、マネジメントの勉強にもなっています。

社員に理解してもらえない苦労も抱えながら丁寧に改革を推進 採用活動も順調に

――これまでの取り組みのなかで、苦労した部分もあったのでしょうか。

受賞の1年ほど前に改革をスタートしました。弊社では、やったことがない新たな取り組みばかりでした。固定給やユニット制、短い時間でより高い成果を求める働き方は、「180度会社の考え方が変わる」ことになるので、当初は社員の理解が追いつかず、浸透に苦労しました。社員としては、「理屈はわかるけど…」と言った後ろ向きな反応もありました。どのように良くなるのかイメージがつかない状態だったからだと思います。改革を行っている側としても、これでいいのか、という不安も多くありましたが、「やりきるんだ」という強い気持ちで推し進めてきました。今では成果が見えてきて良かった、という気持ちです。

社員一人ひとりの理解は、代表の神谷が積極的に話すことで少しずつ社員に浸透させていきました。またユニットリーダーをあつめ、悩みを話す感覚で問題点を集めたり、話をすることで、徐々に浸透していったと思います。また、店舗ごと行っている仕事のすすめ方を共有する場を毎月1回設けていました。このお陰で、どう仕事を進めたら効率が上がるのかノウハウの共有になり、全社的に取り組みが浸透していったと思います。

――ホワイト企業に認定されたことでメリットを感じていることはありますか。

効果を感じているところは、新卒採用のエントリー数が現段階で昨年の1.6倍(2017年4月6日時点)です。昨年1年間のエントリー数は150名、そのうち説明会に来てくれたのが30名、入社したのは8名でした。しかし、18卒採用がナビサイトで始まって3ヶ月ですが、すでにエントリーは240名、説明会参加は予定も含めると100名です。この調子だと、エントリー数、入社数は昨年の2倍になるのではないかと思っています。

まだ、社内では、大賞受賞の実感をあまり感じていませんが、私としては、「もっと改革を進めていかねば」という気持ちでいっぱいです。もっと改革の輪を広げていきたいと思います。まだ、現段階でも実現できていないこともあります。まずはそれを進めることと、もっと新しい改革を考えていきたいと思います。

※本記事は、受賞当時(2017年3月)のインタビューをもとに作成しています
 ホワイト財団のインタビューページ

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