国語辞典の編纂者、調べてみた系まとめサイトを痛烈批判「無内容で調べ物の邪魔」「見た目だけ文章に見える文章ゾンビ」
国語辞典編纂者の飯間浩明さんは11月6日、いわゆる”まとめサイト”に、ツイッターで苦言を呈した。まとめサイトと言えば、かつてはキュレーション型の記事が多かった。しかし最近では、「◯◯について調べてみました!」と、筆者自らが情報を集めて書こうとする「トレンドブログ」と呼ばれるスタイルも増えている。飯間さんはこうしたサイトについて、
「〇〇について調べてみました!式のまとめサイト、無内容な上に長文で、調べ物のじゃまになるので、何とかならないかと思います」
とコメント。飯間さんについての記事もあったが、内容が完全に間違っていたという。
多くのまとめサイトは広告収入を目的に記事を量産している。アクセス数を伸ばすことが優先され、記事の内容は二の次だ。芸能人のゴシップをまとめたサイトでは、タレントの恋人や家族について、ネット上の情報を集めてつなげたような記事が並んでいる。
「文章が愚弄されている感じが痛ましい」「レポートだって可を取ろうと努力する」
まとめサイトの文章について飯間さんは「授業でいやいやレポートを書くことは誰にもありますが、せめて『可』を取ろうと努力する。まとめサイトには、その努力もない『不可』の文章があふれています」と批判している。
これらのツイートには、「ゴシップサイトブロッカー」や「ノイズレスサーチ」などを使うよう勧める人もいる。まとめサイトの記事末尾に「いかがでしたか?」という文言が入っていることが多いため、「いかがでしたか?」を検索避けするという提案もあった。
しかし飯間さんは、そうした回避策を知りたかったわけではないという。
「私たちが日常読む文章の水準は優劣さまざまですが、少なくとも意味を伝えようとしている。その姿勢が最初からない文章の出現に驚いているわけです」
「ある種のまとめサイトでは、筆者の言いたいことも、読者の受け取る意味もほとんどないのに、見た目だけ文章に見える文章ゾンビを生産している。文章というものが愚弄されている感じが、痛ましいのです」
まとめサイトでは、ライターが1文字1円に満たない対価で記事を書いていることも少なくない。より多くの収入を得るためには、内容よりもとにかく文字数を書くことが必要になってくる。こうした中で生み出される「文章ゾンビ」に、国語辞典編纂者が心を痛めるのは頷ける。
こうしたサイトに不満を持っている人は多いようで、ツイッターでは「そういうサイトに限って検索すると上位に来る」「最後にいかがでしたか?って書かれるとめっちゃ腹立つ」といった声が出ていた。
「○○について調べてみました!」式のまとめサイト、無内容な上に長文で、調べ物のじゃまになるので、何とかならないかと思います。私についての記事もあるんですが、内容が見事なほど間違ってるし、「誤用に厳しい人のようです」などと、私の普段の主張と真逆のことを書かれたりして、やれやれです。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年11月6日
ある種のまとめサイトでは、広告収入を目的に、何でも書き殴っていると聞きます。1ミリも関心のないことについて書くのはさぞ苦痛でしょう。授業でいやいやレポートを書くことは誰にもありますが、せめて「可」を取ろうと努力する。まとめサイトには、その努力もない「不可」の文章があふれています。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年11月6日
まとめサイトについての知識や、見たくない文章の回避策についてお教えいただきましたが、私のもやもやの中心は、どうも別の所にある感じがします。私たちが日常読む文章の水準は優劣さまざまですが、少なくとも意味を伝えようとしている。その姿勢が最初からない文章の出現に驚いているわけです。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年11月6日
しぶしぶ書くレポートでも、人は(単位をもらえる程度には)意味のある文章を書こうとする。一方、ある種のまとめサイトでは、筆者の言いたいことも、読者の受け取る意味もほとんどないのに、見た目だけ文章に見える文章ゾンビを生産している。文章というものが愚弄されている感じが、痛ましいのです。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年11月6日