「月給8万円」「遅刻したら丸坊主」沸騰鍋に顔押しつけられた被害男性、芸能プロダクション社長を提訴 | キャリコネニュース
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「月給8万円」「遅刻したら丸坊主」沸騰鍋に顔押しつけられた被害男性、芸能プロダクション社長を提訴

デイリー新潮に掲載された、芸能プロダクション社長による部下へのパワハラ動画について、暴行を受けた被害男性が11月22日、プロダクションの社長を刑事告訴する。同日、都内で弁護士とともに開いた会見で明らかにした。

掲載された動画『煮えたぎる鍋に部下を……芸能プロ社長壮絶パワハラ動画』では、飲み会の席で出された加熱中の鍋料理に、社長から頭を押さえつけられながら顔を入れられていた。会見では翌日、事務所社長が男性の自宅を訪れ、「自ら鍋に頭を突っ込んだんだよな」という発言をしていたことも明かされた。

翌日自宅に来た社長は「お前自分から頭つっこんだんだよな」と発言

会見の様子(モザイク処理は編集部)

会見の様子(モザイク処理は編集部)

当時23歳だった被害男性は、渋谷区に本店をおく芸能プロダクションで「イベント事業部課長兼新人開発課」として働いていた。男性は、大学生だった2014年2月頃に同社社長に出会い、イベント手伝いなどを経て、同年8月頃に入社。主な業務はスカウト業務、社長の車の運転などだった。従業員は男性と社長の2人で、モデルやアーティストは15人~20人所属していた。

掲載された動画は2015年12月20日、渋谷区内の居酒屋で開かれた忘年会での出来事だという。忘年会は20時に始まり、被害男性や事務所社長、事務所に所属するモデルや取引先ら7人程度が同席した。

男性は柑橘系を使ったアルコール類が飲めない体質だったが、社長の「何か面白いことやれ」と言う言葉を「できない」と拒否すると、レモンサワーのピッチャーの底を持ち上げ、飲ませるような行為をされたという。その後、社長が手で男性の首を掴み、沸騰しているしゃぶしゃぶの鍋に男性の顔を2回押し込んだ。

社長は一度鍋に顔を押し込んだ後、男性の背後に立ち、右手で首、左手で男性の左上腕付近を掴み、顔を鍋の方に近づけた。被害者男性は一度、鍋の前で顔を止めたが、社長は右手を頭部にずらして再度力を加えて押し込み、手を離さなかった。

23時頃に終了した1次会の終盤には、社長は、「帰ったほうがいいよ。顔ほんとやばいから帰ったほうがいいよ」などの発言はしたが、謝罪はなかったという。

翌12日21日の明け方、友人の車で救急外来に行き処置を受けた。診療記録によると、水疱ができるほどの火傷をしていたという。昼頃に自宅に帰ると社長が自宅を訪れ、「お前自分から頭つっこんだんだよな」「何日後から仕事できるの? 2~3日後には出来るよな」などと言われたという。

「自分の紹介で入ったモデルが所属しているうちは公にできなかった」

男性の代理人弁護士は会見で、動画以外にもパワハラがあったと主張した。2014年、同社の忘年会翌日に、被害者男性が二日酔いで仕事を遅刻したところ、社長から「誠意として頭を丸めて来い」「罰金として10万円持って来い」などと言われたという。男性は、2~3日以内に実際に坊主にし、罰金も一度は拒否したものの、社長に支払ったという。なお、この10万円は男性の退社後に返金されている。

2015年前後には、社長からの暴力が日常的にあったという。寝坊して遅刻した際には、事務所で半日正座させられながらパソコン業務を行わされることもあった。

同年3月、事務所主催のイベント準備のため、台本作成や出演者との調整業務に追われていた時は、仕事のため1週間近く帰宅できなかったという。朝11時に出社して終電まで働き、土日の休みはなかった。年間の休日は30日あったかどうかだそうだ。

あまりに忙しかったため、待遇を改善するよう社長に求めたところ、2016年1月から給与が8万円になった。元々は3~4万で働いていたという。被害者男性は2017年、同社を退社した。

男性は、騒動から3年近く立って刑事告訴を検討した理由について「モデルやアーティストが所属するうちは公にするのが憚られたため」と説明する。

「所属モデルたちの多くは自分の紹介で入所した。自分と社長がトラブルになると、モデルやアーティストらの行き場がなくなってしまう。そう思うと、すぐに辞めることも戦うこともできなかった」

顔の火傷は現在でも、風呂上がりや夏の日焼け後、冬の乾燥時に痒みが出るという。「鍋を見たり、忘年会のシーズンになると思い出す」とも明かした。当時、抵抗できなかったのは「以前から受けていたパワハラについて、嫌だというと後日怒られることが度々あった。その場でも、また怒られるのではないかという恐怖があった」と説明する。

男性は今後、損害賠償や慰謝料の請求に加え、未払い給与の支払いを求めることも検討しているという。

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