「インフルエンザなのに休めない」という理不尽な会社 弁護士は「休ませないと労働契約法に違反する可能性」と指摘
インフルエンザが猛威を振るっている。厚生労働省が1月25日に発表した推計によると、1月14日の週に医療機関を受診した罹患者数は213万人に上るという。
インフルエンザの症状はかなり辛く、周囲の人に感染する恐れもある。通常なら治るまで家でおとなしくしていないといけないが、インフルエンザの社員に対し、出社を求める会社もあるようだ。
「他の従業員への安全配慮義務を果たしていないということにもなりかねない」
ある建設会社の代表は、ツイッターで「社会人になったらインフルエンザで休むべきではない」とツイート。27日頃からネットで話題になった。ツイッターでは他にも「インフルエンザでもしっかり休めなかった」「夫の会社では3日以上休めない」といった声が散見される。
たとえ罹患しても、完治するまで休めない会社が少なくないようだが、法律的には問題ないのだろうか。落合洋司弁護士は、「強引に出社させると法律に抵触する可能性がある」と指摘する。
「雇用主には従業員の安全や健康に配慮する必要があると労働契約法で定められています。インフルエンザに罹って休みたがっている社員に有給休暇や病欠を取らせないと、この法律に抵触する可能性があります。出社させて万が一重症化したり、死亡してしまったりした場合には、会社は損害賠償を請求されてもおかしくありません」
インフルエンザの人が無理に出社すれば、一緒に働く周囲の人にうつす危険もある。
「インフルエンザの人を強引に出社させれば、他の従業員への安全配慮義務を果たしていないということにもなりかねません。社員が何日も休むのは困るというのも分かりますが、会社は慎重に対応する必要があるでしょうね」
今月22日には、東京メトロ日比谷線中目黒駅(東京都目黒区)で、インフルエンザに感染していた女性が線路に転落して死亡する事故があった。女性は出勤途中で、転落する直前に咳き込んだりふらついたりしていたという。この報道を受けて、ツイッターでは「インフルエンザでも休めない国か」「無理やりにでも出社停止にする仕組みを作らんと」といった声が上がっていた。
女性がインフルエンザだと自覚していたかどうかは定かではないが、誤って線路に転落するほど体調が悪いのに強引に出社しようとしていたのは確かだ。自らの健康や安全を守れるよう、きちんと休めるような職場づくりが必要なのだろう。