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情熱、挑戦、仲間力……創業時からのマインドが支えた、ゆこゆこの変革期

秋吉伸夫(左)、鈴木哲郎(右)

秋吉伸夫(左)、鈴木哲郎(右)

宿泊予約サイトを運営するゆこゆこホールディングス株式会社は、設立して数年で大手企業との経営統合を経験します。突然の転換に戸惑うなか、成長を支えたのは創業から大切にしていた「情熱、挑戦、仲間力」という3つのワードでした。当社の創業から独立までを、さまざまな事業に携わる秋吉伸夫、鈴木哲郎がお話しします。【talentbookで読む】

設立して6年のベンチャー、競合の大手企業と突然の経営統合

ゆこゆこホールディングス株式会社(以下、ゆこゆこ)は宿泊予約サイト「ゆこゆこ」を展開し、温泉に特化したさまざまな宿泊プランを提供しています。2000年に設立して以来、登録会員数は700万人、社員数も200名を超えました。

「シニア層向けに、平日の宿泊を集客する」という独自のビジネスモデルを確立した当社。しかしこれまでの道のりは、並大抵のものではありませんでした。

当社は温泉旅館に営業をかけ、新聞に広告を出していただく広告代理業としてスタートしました。2019年現在、宿泊営業部とカスタマーサービス部の部長を兼任する秋吉伸夫は、設立年時に入社したうちのひとりです。

秋吉 「入社したときはすでに、 15名くらいいました。とはいってもまだまだザ・ベンチャー企業だったので、ひたすら新規営業。受注して広告を掲載し、業績を上げていきました。自分で全国の温泉地を回って開拓できて、自由度の高い会社でしたね」

まだ紙媒体で送客が見込めた時代だったので、広告を出せば読者から多くの問い合わせがありました。ゆこゆこの評判はクライアントの口コミで広がり、広告を掲載する宿も増加。情報誌を創刊するなど媒体も増やし、事業は順調に成長していきます。

2004年には宿泊予約サイトでのオンライン予約をスタートさせ、上場も目指せるほど好調に推移していきました。しかしさらなる可能性を広げるため、当社は2006年に大手企業のリクルートと経営統合することになります。

秋吉 「リクルートは『じゃらん』という、宿泊施設の予約サイトを長年運営しています。

もともと競合の立場でしたが、シニアに強いゆこゆこと宿泊予約サイトとしての集客力やネットの最新技術を駆使して進化しているじゃらんが統合すればナレッジを横展開するなど相互にメリットがあり事業拡大が見込めると考え、タッグを組むことになりました」

しかしリクルートとの統合は、秋吉をはじめ社員の誰もが予想していなかったことでした。

組織としてすでに成熟していたリクルートと、まだまだベンチャー要素の残るゆこゆこ。規模の異なる2社が提携し、これからどうなっていくのか、社内は不安に包まれました。

従来の手法で失敗。2社の持ち味を融合させたアプローチの必要性に気づく

全社パーティで会場を盛り上げる秋吉

全社パーティで会場を盛り上げる秋吉

経営統合というこの大きな転機に、数日で何名かの社員は辞めていきました。会社に残ると決めた秋吉も、最初の2年間はリクルートとの協業に苦労します。

その当時からリスティングなど、インターネット広告も扱うようになっていました。しかし温泉施設の掲載数に加えて、ブランド力や雑誌の発行部数まで、「じゃらん」と「ゆこゆこ」では規模が異なります。

そのためリクルートの手法をそのまま使って集客を試みても、やり方が合わずまったく効果が出ませんでした。

秋吉 「この状態が 2年続き、経営が伸び悩みました。出向してきた社員とうまく連携が取れずに悩み、辞表を出そうとしたこともありましたが、上司に引き止められ残ることにしました」

従来のやり方を押し通すのではなく、2社が合わさったからこその強みを見出し、施策を考える必要があると社員たちは気づき始めます。

そんなとき、「リクルートとゆこゆこ、それぞれの良さを取り入れたやり方で進めていこう」「当社の事業を本気で伸ばしたい」との声が上がります。そこからメンバーみんなで考え、大手とベンチャーの手法をうまく連携させ事業を進めていきます。

秋吉 「組織として非常に成熟しているリクルートと一緒になり、マーケティング手法から、 PDCAの回し方まで、ベンチャー企業で突き進んできたゆこゆこの文化にないものが多くありました。規模の違う 2社のやり方を取り入れて働けたことは、今思うとすごく学びが多かったですね」

集客率も伸び、売上は急激に上昇。2008年以降、サービスは好調になっていきました。

仲間意識を強めた、創業当時から大切にしている3つのワード

広告宣伝EXPOで当社の魅力を伝える鈴木

広告宣伝EXPOで当社の魅力を伝える鈴木

リクルートと当社の二人三脚が軌道に乗り始めた2012年、鈴木哲郎が当社へ出向します。

鈴木はかつて、リクルートが展開する通信販売サイト「ポンパレ」事業の立ち上げや、営業部門の統括を担当していました。2019年現在は広告営業部とマーケティング部の部長を兼務し、集客に向けさまざまな事業をけん引しています。

鈴木 「出向する前は、『文化の異なる会社に後から入っていくのは大変だぞ!』と聞かされていましたが(笑)、意外とすぐに社内に溶け込めましたね。ゆこゆこの社員たちが私が参加しやすいよう良い雰囲気をつくってくれて、『良い会社に入れたな』と思いました」

「〇〇事業部の〇〇さんが元気ない」「〇〇さんの担当エリアが今集客に苦戦していて大変だ」など悩みを抱えている人がいれば、放って置かず、助けるため解決策を考えていく。気づけば当社には、相手のこともちゃんと考えられる社風ができあがっていました。

単純な仲良しチームではなく、仲間を尊敬し、助け合う文化が根底に流れている会社なんだと、鈴木は実感します。

秋吉 「創業者が、設立当初からずっと大切にしていることがあって。それが『情熱、挑戦、仲間力』なんです。この 3つがずーっと、会社のキーワードでした。みんなでいつも唱えてきたわけではありませんが、この考えはまだ心のなかに残っていますね」

鈴木 「ハートで仕事をする人が多いんですよね。『何とかしてこれをやりたいんだ!』っていう。そういう気持ちでアプローチしてくれるから、こっちも『じゃあこうしよう!』って、アツい気持ちで進められますよね」

2社の化学反応は続き、会社の売り上げは順調に伸びていきました。コンタクトセンターを増設、営業社員を増やして顧客との伴走営業を心がけるなど、さまざまなアプローチで施策を試みていきます。

足並みが揃っていた2社でしたが、2016年、また大きな転機が訪れます。

永遠のベンチャーとして、会社の新たな価値を生み出す段階

温泉地の活性化を目指した新たな取り組みとして2019年4月より「ONSEN・ガストロノミーツーリズム」へ参画する。副社長吉田 周平(右)とともにウォーキングイベントへ参加した秋吉(左)

温泉地の活性化を目指した新たな取り組みとして2019年4月より「ONSEN・ガストロノミーツーリズム」へ参画する。副社長吉田 周平(右)とともにウォーキングイベントへ参加した秋吉(左)

リクルートは2016年にグループ全体でAI化に向けて舵を切り始め、システムの改善などに多くの投資をするようになっていきました。

鈴木 「予約サイトの運営と並行して、シニア層にとって大きな情報源である情報誌も発行していました。リクルートの AI化とゆこゆこが目指す方向性に徐々にズレが生まれ、どうしても同じ方向を向いて歩くことが難しくなってしまったんです。

時代の流れに合わせて、それぞれの特徴を活かそうとすると仕方がなかったのかなと思っています」

当社は当社の強みで、あらためて勝負したい。ゆこゆこらしさを活かすため2016年にリクルートから独立を決意、再スタートを切ります。

2006年の経営統合に続き、再びの方向転換。鈴木は独立が決まった後もリクルートに戻らず、引き続き当社で働くことを選択します。

鈴木 「『平日になかなか集客ができていない宿泊施設と、時間のあるシニア層をマッチングさせる』。この絶対的なニーズがある提供価値に、ずっと魅力を感じていたんです。もうゆこゆこの血が流れているので(笑)、引き続きここで頑張っていきたいと思いました」

お互いを支え合う仲間意識を大事にする当社ですが、まだまだ改善の余地があります。マーケティング、営業、コールセンター、一つひとつの部署が力を合わせ、一気通貫に業務を進めることが大切です。

そのためには、鈴木、秋吉両者が率いるチームの連携をもっと強める必要があると、ふたりは考えています。

秋吉 「平日×シニア層という軸でサービスを提供してきましたけど、この強みは偶然生まれたものだと思います。これからさらに成長をしていくためには新しい道をつくっていく必要があります。とても難しい状況に直面しているんですよね。

でも課題があるほうがチャレンジができますし、チャレンジできたほうが楽しい。入社してから安定した会社だなんて思ったことないですし、永遠のベンチャーですから(笑)これから会社の新しい価値は、全然つくっていけるはずです」

永遠のベンチャーであれば、何度でも挑戦し、生まれ変われるはず。「情熱、挑戦、仲間力」というゆこゆこの歴史を築いてきた根本は大事に、若手社員の新しい視点や価値観を交えながら、一致団結していきたいと当社は考えています。

設立から19年。統合から独立と、怒涛の変革期を経て強くなった当社は、今まで以上にお客様に温泉旅を楽しんでいただくとともに、温泉地の活性化を目指して、挑戦を続けてまいります。

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