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「そんな志望動機なら、ウチじゃなくてもいいよね?」とアホな面接担当者が詰めてきたときの返し方

どうしてうちの会社なの?と聞かれても、、

どうしてうちの会社なの?と聞かれても、、

もしもあなたが女性で、合コンに参加したときに、初めて会った男性から「ねえ君、なんで僕のこと好きなの?」と唐突に聞かれたら、気持ち悪いですよね。言うかどうかは別として、「いや、私、まだ別にあなたのこと好きとかじゃないんですけど……」と思うことでしょう。

男性だって、ふつうはそんな言い方しません。ところがこれと同じことをしているのが、企業の採用面接なのです。履歴書には「志望動機」の欄がありますし、初期段階の面接であっても「なぜあなたは当社を志望したのですか?」という質問は超定番になっています。(文:人材研究所代表・曽和利光)

最初から御社を「志望」している人などいない

しかし、多くの就職・転職希望者と接すればすぐ分かるのは、「最初の接点において、その企業のことを強く志望している人などいない」ということです。

「採用広告を見て、何となくいいかもと思ったから」とか「紹介会社に推薦されたから」くらいの、軽い気持ちで受けている人がほとんどです。

一方、「志望」という言葉は「志して望む」という、かなり強めの言葉です。このご時世、一部の超人気企業を除いて、応募者の多くがいきなり「志望」していることなど、なかなかないと考えるべきでしょう。

それにもかかわらず「志望動機」を聞くということは、合コンの例のように、会ったばかりの相手に「ねえ、なぜウチなの?」とキモい質問をしているのと同じです。

ただし、企業との力関係を考えれば、応募者は「いえ、まだ特段志望しているというレベルでもないのですが……」と言うことは現実的に難しいです。そんなことを言えば、空気の読めない人と判断されて落ちてしまいます。

そんなとき、応募者の皆さんはどのように「志望動機」の質問を乗り切ればよいのでしょうか。

人事が聞きたいのは「選社基準」の方だった

そこで採用担当者に「まだ志望もしていない人に、なぜ最初から志望動機なんて聞くのか」と尋ねたところ、本当に聞きたいことは別にあることが判明しました。実は人事が知りたかったのは、応募者の「選社基準」だったのです。

たとえば、「なぜ僕?」という質問は気持ち悪いですが、「どういう人がタイプなのですか?」であれば許容される範囲でしょう。これを採用面接に置きかえれば、前者が「志望動機」で、後者は「選社基準」です。

つまり、選考する一つの情報として、就職や仕事に関する応募者の「価値観」や「考え方」を聞きたい、ということだけなのです。「それなら最初からそう聞いてよ!」と言いたいところですが、あまりにも「志望動機」という言葉が流布しているので、そんな風に聞いてしまっているというのです。

したがって応募者側としては、厳密に考えるとズレた答えになるかもしれませんが、「志望動機」を聞かれたとしても、字義通りに「御社の魅力」を答えなくてもよく、人事が本当に聞きたがっている「自分の選社基準」を答えればよいのです。

まずは一般論として「私はこういう理由で、会社や仕事を選ぶ際にこんな点を重視しています」と答え、一応「志望動機」風にするために、「御社はこの点で、私の選社基準に合っていると思ったので受けました」と付け加えるということです。

例えば「私は就職先選びに、ワークライフバランスを重視しています。ボランティア休暇など柔軟な休暇制度を設けている御社は、それに合っているので受けました」でよいわけです。この内容で採用になるかどうかは別にして、普通はこのような構成で乗り切れます。その会社でなくてはならない理由など、言わなくても大丈夫です。

合理的な理由がなければ「偶然」で押し切る

それでも、そんな回答をすると、まれに「それって別にウチじゃなくても構わないですよね?」と聞くアホな面接担当者がいます。本音の答えは「そりゃそうですよ。私の希望に合う会社があるなら、もちろん御社じゃなくたっていい」ですよね。言ってはいけませんが。

そもそも会社など星の数ほどあるわけで、「その会社でなくてはならない理由」なんてあるわけがない。どれだけ思いあがっているというのでしょうか。

しかし、腐っても鯛。ダメでも、面接担当者。それに面接担当者がダメだからといって、会社全体がダメとも限りません。不運にしてそういう人に当たってしまったとしても、そこは何とか乗り越えなくてはなりません。

とはいえ「その会社じゃないといけない」合理的な理由はないので、無理にいろいろ言おうとすると、かえって墓穴を掘ります。頑張って無理にこじつけた理屈を述べると、ダメ面接担当者は「この人は論理的じゃないな」とNG評価をするかもしれません。質問が悪いせいなのに、腹立たしいことですが。

私のお勧めは、「ふとした偶然に縁があった」ことを理由にし、合理を超越した「縁」「偶然」で押し切ることです。自分の先輩や知人が御社に勤めていて、たまたま少し前に出会ったとか、就職・転職活動をしてみて改めて生活を見直してみると、長年愛用していた商品が実は御社のものだった、とか。

もちろん、まともな回答とは言えませんが、変に「非論理的」と評価されるよりはマシではないでしょうか。どんな面接担当者と出会うかも運のうちですが、こういう対処法も一つの選択肢として検討してみてください。

【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。近著に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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