葛藤の数だけ獲得した強み。“PR×マーケ×営業”を横断したコンサルタントの挑戦 | キャリコネニュース
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葛藤の数だけ獲得した強み。“PR×マーケ×営業”を横断したコンサルタントの挑戦

「お客様が何を望んでいるのか、提供価値は何かを常に考えています」――そう語る森野ひろ美は、NTTデータに入社以来、コンサルティング部門に籍を置きながら、コンサル、広報、商品営業、マーケティングを経験してきました。プライベートでは1児の母でもある森野が、その一風変わった経歴の中で培ってきた仕事観とは。【talentbookで読む】

変わりゆく社会に心弾ませ、ITの世界へ。

▲NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部 森野ひろ美

▲NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部 森野ひろ美

ときは2000年代初頭。SNSの利用が一般化するわずかに手前のこの時期、森野ひろ美は大学生活のスタートを切りました。

森野 「 ITベンチャーを立ち上げる人が学内外に出始め、上場した楽天に続けと、インターネットを舞台にしたビジネスの “芽生え ”を肌で感じられるような時代でした。学生生活を送る中で、社会に変化を与える企業に興味を持ち、気持ちをかき立てられていきました」

大学では会計の勉強をしながら経営学のゼミを専攻。企業の経済原理や、組織論、マーケティングを学び、演習の一環としてシンポジウムの企画・運営に携わります。

森野 「シンポジウムはゼミ生でテーマ選定から企画・運営実行をします。予算がない中、講演者に企画を説明して頼み込み、発表のための調査や資料作成、運営、集客を行う。来場者に何かを持ち帰ってもらえるように、自分たちで “場 ”をつくって工夫する。チームが一丸となってプロジェクトを前進させていくおもしろさを知るきっかけになりました」

その後、京都の街をPRする学生ベンチャーに所属し、実際の企業活動に触れます。

森野 「 IT業界は自分にとって “未知 ”でしたが、テクノロジーで世の中に変化を与えることのワクワク感、もっと知りたいという気持ち、学ぶことが好きな自分の特長を生かせるのでは、という想いがありました」

こうして、NTTデータへ入社。配属は、法人向けのコンサルティングを担う部署でした。

配属後は、トレーナーの指導のもと、提案書の書き方やビジネスデザインのフレームワークを習得。また、外部の認定資格も取得しました。部の方針でもあったこうした手厚い教育は、お客様の前に“プロ”として立つための、自信のよりどころになったと言います。

コンサルタントから新会社の広報担当に。ゼロから生み出す経験

コンサル部門ではお客様先への常駐を経験します。年次の浅いコンサルタントに向けられるお客様の視線には、当初は少なからず懐疑的なものも含まれていました。しかし、席を並べてお客様のビジネス課題に真摯に取り組むうち、「プロジェクトの同志」として受け入れられていく実感があったと森野は振り返ります。

森野 「初めに、経営者の方と市場環境やお客様の状況を伺いながらプロジェクトで実現したいことを明確にします。そして、最終的な目標を常に念頭に置きながら、現状の課題を分析し、両者を照らし合わせながら “必要なこと ”を愚直に考え続けます。大切なのは、お客様の立場になって、考え続けることです」

今でも、お客様と対峙する際には、常にお客様を取り巻く環境やステークホルダーの存在までを念頭に置き、それぞれの視点で考え抜いた提案を届けるように意識しているという森野。それが、「パートナーとしての信頼感」につながっていくと言います。

その後、自社の新規サービスの開発に従事。市場調査や競合分析に初まり、投資回収計画の策定、さらに地道な企業訪問まで、新規サービスの立ち上げでたどるべきプロセスをひと通り経験します。そして、2009年。森野にとって最大の転機が訪れます。NTTデータの子会社、NTTデータBiz∫(ビズインテグラル:以下Biz社)の設立にあたり、その立ち上げメンバーとして同社に出向することが決まったのです。

森野 「広報業務は初めての経験。本社の広報部の助けも借りながら、想定問答など必要な資料を準備しました。両面の資料を片面コピーで準備してしまい、開始 15分前に差し替えるくらい、とにかく余裕のないスタートでした(笑)」

Biz社の商材は、ERPパッケージです。外部のPR会社にも入ってもらい、年間の広報やマーケティング戦略を検討するとともに、森野自ら予算管理も担当。会社設立から1年後には、完成したパッケージを披露するため、1,000人規模の製品発表会の開催にこぎ着けました。

森野 「すべてが手探りの日々でしたが、ゼロから生み出すからこその楽しさがありました。そしてこの時にやっと、企業がなぜ PRの場を設けているのかを、身をもって理解したんです」

商品営業を経験し、再びBiz社へ。業績を回復に導いた3つのアプローチ

▲業績V字回復。市場シェア2位となったBizビジネスは、社内の営業大賞に

▲業績V字回復。市場シェア2位となったBizビジネスは、社内の営業大賞に

軌道に乗ったかのように思えた広報・マーケティング部の活動でしたが、次第に、森野はある課題を感じるようになります。

――私は営業の現場を知らない。

そして、商品営業を経験する機会を得ます。

森野 「利益管理表を目にしたのも、受注判定会議に参加したのも、このときが初めて。展示会に出展してリードを取ってきて、反応の良いお客様を後日訪問して、自分自身で商材を工夫しながら説明する。契約手続きや、納品後にトラブルが起きればもちろんその窓口対応も行う。入社 7~ 8年目にして、営業のなんたるかを学びました」

その後、妊娠・出産にともなう1年半の休職期間を経て、復職後は本社のコンサル部門に籍を置きながら、再びBiz社の広報・マーケティング領域を担当することに。本人たっての希望でした。

森野 「復職当時、Biz社の業績はテコ入れが必要な状況にありました。Biz社が営業をリードする仕組みづくりが必要になっており、商品営業もひとしきり経験した今の自分なら、きっと価値を生み出せるはず、と考えました」

復職後の森野が実際に取り組んだのは、主に次の3点でした。

1点目が、製品の再ブランディング。従来は「中堅向け」と銘打っていましたが実際のお客様は大企業がほとんど。「大企業向け」として打ち出すべくブランドの再定義を行い、パートナー企業はもちろん記者や調査会社、各種メディアに事例をもとにした情報提供を続けました。

2点目がBiz社主体でリードを取る活動と、それを管理する一連のフローとツールの整備。

そして3点目が、既存のお客様への情報提供とフォロー。ライセンスビジネスである以上、既存顧客を大切にする必要があるとの考えからでした。

これらの施策と営業努力によって、約2年間でBiz社の製品採用企業社数は約2.3倍に伸長。業績も、急回復を遂げるに至ったのです。

自身の“コア”を問い続けながら、コンサルタントとしての価値を模索

▲現在のチームメンバーと。新たなサービス創造へ挑戦を続ける

▲現在のチームメンバーと。新たなサービス創造へ挑戦を続ける

2019年現在はBiz社の業務から離れている森野ですが、同社の躍進に喜びをあらわにします。

森野 「立ち上げ当初から見ているので、できれば 10周年を Biz社で迎えたかったという想いもありました。しかし、社員数も大幅に増加し、軌道に乗った状態で引き継ぐことができ、本当に嬉しい。私自身も、次のステージに行く時期だと感じました」

復職後、あえて短時間勤務を続けている森野。その過程で「今は慌てずに子どもとしっかり向き合う」という自身の譲れない価値観を認識したと言います。

森野 「仕事は大好きだし、おもしろい。けれど子どもが自分を必要とする時間は、ごくわずか。短時間勤務だからこそ余計に、『自分の提供価値は何か』を常に考えています」

そんな森野は、現在、新たなミッションに挑もうとしています。

森野 「広報・マーケティング領域もデジタル化が進んでおり、各種施策のデータを取得し、結果が数字で見えるようになっています。昨年度、事業部で取り組んだ全施策に対しデータ分析を行った結果、今年度は効果のあった施策に注力するなど、事業部内での分析・取組は成功しています。 しかし社内を見渡せば、ソリューション部隊は独自に営業活動を行っています。当社内のマーケティング業務は共通化できる部分があるのではないか、広報部門や他事業部と連携できるのではないかと、今は当社としてのマーケティングのあり方、価値につながるサービスを考えています」

そしてもうひとつ、森野は“やりたいこと”を口にします。

森野 「私自身、ブランディングや PRの領域で貴重な経験を積ませてもらいました。どんな企業・製品・サービス・人も、存在を知ってもらい、多くの人から認知してもらうことから始まります。当社には人や技術、知ってもらいたいものがたくさんある。私はこれからも伝えていきたいです」

PR・マーケティング・営業を横断してきた稀有なキャリアと、自身の“コア”を問い続けることで獲得した自己決断力を強みに、NTTデータのコンサルタント・森野ひろ美は、今日も新たな価値創造のために思考を巡らせ続けています。

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