インスタグラムの写真は加工するのが常識。わかっていても、ついそのまま写真の美しさを信じてしまうことはある。しかし、6月17日放送の「5時に夢中!」(TOKYO MX)でマツコ・デラックスさんが、SNSの写真に対して「全部虚構。真実なんてどこにもない」などと自らの考えを語った。
番組では、日刊ゲンダイの「美魔女の闇」に迫ったという記事を紹介した。 あるモデルプロダクションの幹部によると、美魔女モデルのSNSに載っている奇跡のような美しい写真は、本当に「奇跡の一枚」だそう。本人はもちろん、事務所のスタッフらが毎日数十から数百枚も撮影し、さらにスマホアプリで修正していると証言している。(文:okei)
「その辺の女子大生や OL のSNSも全部奇跡の一枚」
意見を求められたマツコさんは、冷静に「美魔女に限らずすべてそうだよね」として、
「その辺の女子大生や OL のSNSも全部奇跡の一枚だし。真実なんてどこにもないじゃない。べつに美魔女に限ったことではないと思うんだよね」
と指摘した。
確かに、今はアプリで瞬時に目を大きくしたり肌を白く滑らかにしたりが簡単にできる。ちょっと明るい色に調整するだけでもシミやシワは飛んでいく。こう言ってはなんだが、ほとんどの人が写真の上でならある程度美しくなれる時代なのだ。
しかし株式トレーダーの若林史江さんは、「私は絶対に加工しないようにしてる。(自分に)負けないために」と口を開いた。自分の中で、しわやしみ、老化を受け入れることは大事だと考えており、写真を撮った瞬間に肌がきれいに、黒目が大きくなるなど「自分じゃないじゃん」と、持論を語った。
大橋未歩アナウンサーも、その考えに「完全に賛同します」と共感。大橋さんは以前、インスタを4回投稿しただけで終わってしまったと自身の経験を振り返り、
「修正・加工が当たり前で、虚構だらけの世界なんだなだと思って。投稿することの喜びがどこにあるのか分かんなくなっちゃったんですよね」
と明かした。「だって景色も結局加工して載せるなら、本当に美しい景色が取れた時、本当の美しさって伝わらないじゃないですか」と、虚しさを語った。
「風景すら加工している、真実だと思うのは大変危険」
これにマツコさんは、「景色だって色調整してるからね。 だから、うわーここすごいって思っても絶対それはないよ」と指摘。人の顔だろうと美しい風景だろうと、加工してしまうのだから真実の姿ではないという意見だ。
「そう(虚構)なんだって思って、みんな生きてないと。私たちみたいに全部晒されちゃってる人は今更隠しようもないけど、そうじゃない人(一般人)を見たときに、それが真実だって思うのは、大変危険」
とコメント。人だけでなく、あらゆるモノに関して、SNSの写真を信じ切ってしまうことへ警鐘を鳴らした。
いまSNSは、”コミュニケーションツール”や”承認欲求を満たす”だけでなく、企業が商品の宣伝効果を狙って個人のSNSを利用するケースが少なくない。先月は、フォロワーを売買しインフルエンサーになりすます「水増しインフルエンサー」も発覚し問題となった。もちろん写真を加工するセンスも表現のひとつで、すべて悪いわけではないが、マツコさんの言うように「すべてが真実ではない」という認識を忘れずにいたほうがいいだろう。