「きつい、厳しい、帰れない」IT業界に蔓延る“3K”イメージを打破ーーアスカが実践した働き方改革
2019年3月、株式会社アスカが「ホワイト企業認定」を取得した(ホワイト財団/一般財団法人日本次世代企業普及機構 主催)。
現代の高度情報化社会において、株式会社アスカは「ソフトウェアエンジニアリング」と「インフラエンジニアリング」の技術力を駆使して、お客さまの情報化システムの維持と発展に貢献し続けているIT企業である。
IoT、AI等、話題性が高く注目される業界でありながら、なぜアスカは自社のホワイト化に取り組んだのだろうか。今回はその理由と具体的な取り組み内容についてお話を聞いた。
きつい、厳しい、帰れないーーIT業界のイメージを覆すには?
ーー自社のホワイト化に取り組んだ理由・狙いについて教えてください。
「IT業界のイメージ改善」です。IoT、AI等、話題性が高く注目される業界ではありますが、昔ながらの所謂3Kのイメージが強く、離職率の高さはもとより、売り手市場の拡大に伴う人材不足、採用難に至っているのが現状です。
ホワイト化を目指すことで、
・同規模同業他社との差別化を図り、採用人数を増加させること
・既存の職場環境の改善による、現社員の定着率の浸透を図りたい
・社員の働き方改革に関する意識改革を図りたい
と思料し、取り組みを始めました。
ーーホワイト化について具体的な取り組みをご紹介ください。
第一に労働時間の削減です。弊社は、お客様先での業務がメインとなる為、社内業務(会議)が、定時後に実施されることが慣習化されていましたが、即廃止とし、代わりに、月次で終日帰社日を設けることで社内業務を集約しました。
それに加えて、終日帰社日の定時を16時30分(通常の定時は17時30分)にする事で、社員同士の交流や家族との時間として活用してもらっています。
また、昨年から全社員にスマートフォン又はタブレット端末を支給しています。時間や場所を問わずにメールや、ファイルにアクセス出来る為、帰宅後の夜遅くに行っていた社内業務も、平日日中帯に行えるようになり、社内業務の負担や拘束時間短縮はもとより、社内と現場のリアルタイムでの情報共有、円滑なコミュニケーションが取れるようになりました。
「ダラダラ長いだけで非効率」定時を過ぎた会議の廃止で社員の集中力とやる気がアップ!
ーーその施策、取り組みの効果について教えてください。
定時後の会議や業務にやる気を出す社員は少なく、また終了時間を決めずに進行していた為、全く帰社しない社員がいたり、会議が始まっても、だらだらと時間が過ぎるばかりで非効率でした。
終日帰社日は、一日の会議スケジュールを決め、各会議の参加者も必要最小限にしている為、社員の集中力・モチベーションを保つことが出来るようになりました。
また、会議資料については各自のタブレットから閲覧が出来るので、印刷やプロジェクターが不要となり、効率的に会議や業務が進んでいます。
ーー上記取り組み導入から実施、成果があがるまでに苦労したポイントはありますか?
終日帰社日の導入については、特にありません。強いて言えば、帰社する為の現場との調整ですが、弊社同様に働き方改革やワークライフバランスを進めているお客様が多い為、ご理解いただいています。
タブレットについては、導入当初は、電源を落としたまま放置する社員も多く見受けられましたが、会議での利用や、タブレットから印刷可能なプリンタの設置、充電器の設置、管理職からの積極的な声掛けなどで、改善しました。
ーー自社のホワイト化に取り組んだ後、社内・社外から感じられた効果はありますか?
離職者が減少したことです。また、採用で効果を感じています。新卒採用では、会社説明会やインターンの中で、ホワイト認定について紹介していますが、とても好印象で、入社理由アンケートでも「社員を大事にしてくれる会社」と記載する社員が増え、ホワイト企業と認定されるようになったことを実感しています。
「社員の食生活改善」など健康経営の促進にむけて
ーー今後の課題・これから先目指す「取り組み」をお教えください。
昨年から、健康経営の取り組みを始めました。弊社は元々、社員の「心身の健康」を経営課題と捉えており、産業医・衛生委員会やストレスチェック、メンター制度の導入も果たしておりますが、更なる健康保持を推進すべく環境整備に取り組んでいきます。
先ずは、社員に食生活の見直しをしてもらうべく、ミニ研修付きの「バランス弁当」ランチ会を定期的に開催する予定です。
※本記事は、認定当時(2019年3月)のインタビューをもとに作成しています。