社長になるにはどうすればいい? 出世に近づく「3つの道筋」 | キャリコネニュース
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社長になるにはどうすればいい? 出世に近づく「3つの道筋」

出世への近道とは

出世への近道とは

「最近の若者はハングリーさがなくて」と嘆く声も聞こえますが、本当でしょうか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2018年度の新入社員に実施したアンケート調査によると、「出世しなくても好きな仕事を楽しくしたい」と回答した人は52.1%を占めました。

この数字は多いようにも見えますが、2008年度の同じ調査では、出世しなくてもいいと答えた人は、なんと71.0%もいたのです。逆に2008年度には29.0%しかいなかった「出世したい」と答えた人は、この10年で47.9%にまで増えました。

出世したい役職に「社長まで」と答えた人も1割を超えています。そこで今回は、若手社員が社長になるには、どんな道筋があるのかについて考えてみます。「じゃあ、社長にでもなってみようかな」と思ってくれる人がいれば幸いです。(文:人材研究所代表・曽和利光)

「社長になりたければ歳を取れ」という現状

まず考えつくのは「入社した会社で出世して社長になる」ことですが、現実には年齢を重ねないと社長になれない事実があります。帝国データバンクの2017年の「全国社長分析」では、社長の平均年齢は年々右肩上がりとなっており、2017年時点で59.3歳でした。

年代別にみると、30代以下の社長は全体の4.5%しかいません。つまり、社長の大半は40代以上ということです。最も多いのは60代の32.7%、続いて50代の24.9%。70代も15.6%を占めており、40代は18.9%でこれをかろうじて超えています。「社長になりたければ歳を取れ」とでも言われかねない状態です。

少子高齢化の時代には当然の結果かもしれませんが、社長業のように大変な仕事を活力ある若い年代が担っていないのは少し不安な結果です。高齢化の進む先進国であっても政治家や社長は若いという国もあり、若者が上の世代に「世代交代しろ」というプレッシャーを与え足りていないのかもしれません。

ただし同調査によれば、社長交代率は約4%と4年連続で前年を上回っています。特に年商500億円以上の大手企業にはやや世代交代の機運もあり、1990年から0.8歳の若返りか?みられ、中小企業より若い社長が生まれやすいようです(もちろん企業内競争が激しいので、大手に入れば社長になりやすいわけではありませんが)。

「後継者不在の会社を買う」という手段も

業界別にみると、社長の平均年齢の最高値は「不動産業」の61.3歳でした。内訳は「土地」「事務所」「家」の賃貸業、つまり地主や大家さんが多いのでうなずけます。その下は「製造業」の60.8歳、「卸売業」の60.4歳と続きます。

一方、社長が若いのはサービス業です。平均は57.9歳で、内訳を見ると「通信付帯サービス」が47.9歳と最も若く、「ソフト受託開発」の53.7歳などIT系業界が年齢を引き下げているのがわかります。

他にも、かなり小規模の会社もあるでしょうが、「あんま針等施設所」が49.4歳、「知的障害者福祉事業」51.3歳、「身体障害者福祉事業」51.6歳、「保育所」53.3歳といった福祉系業界の社長も若い。ITや福祉といった新しく若い成長産業に身を置いている人は、若くして社長になっているという構図が見えます。

社長の年齢が高齢化している背景には、事業承継がうまくいっていないという問題もあります。特に年商1億円未満の会社では70代社長の割合が2割程度もあり、小規模な会社の団塊世代の経営者が後継者を見つけられずに高齢化しているのがみえます。

2017年の帝国データバンク『全国「休廃業・解散」動向調査』でも、廃業した会社の社長の年齢は60代・70代が64.7%を占めるなど、やはり後継者を見つけられずにいることを示唆するデータもあります。

このニーズをとらえて、事業承継のマッチングのコンサルティングをする会社もできています。こういうサービスを利用して、後継者がいないために廃業しようとしている会社を買うなどして承継するのも、社長になる現代的な手段でしょう。

一番簡単なのは「自分で起業してしまうこと」

もちろん、社長になる最も簡単な方法は、自分で起業してしまうことです。ずいぶん前に資本金の最低金額が撤廃されてから、いわゆる「1円企業」を作れるようになりました(ただし株式会社の場合、登録免許税や公証人手数料が必要になりますが)。

フリーランスの方が1人起業をすることも簡単です。ただし、これは呼称としての「名目上の社長」になる方法ではあるのですが、社員を雇用し、事業を継続していかなければ、実質的には組織を率いるリーダーとしての「社長らしい社長」にはなれません。

中小企業白書によると、日本における「起業5年後の企業生存率」は81.7%と高く、起業に慎重な人が多い分、生き残る人が意外と多いようです。個人的な肌感覚でも、創業10年後まで生き残る会社はおおよそ半数ほどと感じています。

私の会社も8期を迎え、何事もなければ10年はなんとか持ちそうです。巷で言われている「10年で1割も持たない」というのは都市伝説のようで、これぐらいならチャレンジしてみてもと思う人もいるのではないでしょうか。

成長業界のベンチャー企業に入るのが近道か

それでは、自分で起業するための近道はあるのでしょうか。大企業出身者の方が有利のように思えますが、新興成長会社の起業家100人のキャリアを検討したグッドファインド(スローガン社)の2017年の調査によれば、1000人以上の大企業出身者は意外にも3割に過ぎないという結果でした。

さらに、2000年以降に社会人になった世代だけをみると、大企業出身者は2割のみということで、大企業に就職することが特段起業するための能力をつける必要条件ではなくなってきているようです。

実際、サイバーエージェントの藤田社長をはじめ、著名な起業家もベンチャー企業出身者が目立ちます。組織運営などを考えれば、自分がベンチャー企業を経営する上では、ベンチャー企業での勤務経験の方が役立ちそうです。

成長業界の社長が若いという実態を踏まえても、成長業界にある勢いのあるベンチャー企業に入社して腕を磨くことが、社内昇進よりも若くして社長になれる道かもしれません。

もちろん起業には失敗するリスクがあります。しかし、大企業にも競争に敗れて出世できないリスクがあり、事業承継には事業が陳腐化したり、引き継いだ会社が疲弊していたりするリスクもあります。果たして成功する可能性が高いのはどれか。みなさんはどう思われますか?

【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。近著に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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