人と人との想いをつなぐ「女将(おかみ)」という職──“好き”がつくり出す飲食業の未来 | キャリコネニュース
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人と人との想いをつなぐ「女将(おかみ)」という職──“好き”がつくり出す飲食業の未来

▲学生時代は卓球に打ち込む日々を送った

▲学生時代は卓球に打ち込む日々を送った

飲食店の直営・FC運営とコンサルティング事業を手がけるGlobridge。新たに「女将プロジェクト」を始動し、想いをつなぐ事業部を育てています。卓球少女だった金江は、挫折の経験を力に変え、今では“好き”を仕事に走り続ける事業部長に成長しました。過去、そして今につながる彼女の想いを紐解きます。【talentbookで読む】

卓球に打ち込む日々から飲食業へ──挫折と出会いの先に

国内に61店舗、41業態の直営店舗を展開するGlobridge。そこで女将事業部の事業部長を務める金江夏美は「お客様には必ず喜んで帰ってほしい」と語ります。

金江 「 2014年に新卒で入社して以来、東京・新橋エリアの店舗運営に携わってきました。エリアマネージャーになったのは 2017年。 2019年現在は同エリア 4店舗の運営管理を担当し、『女将事業部』の事業部長をしています」

現在でも自ら店舗に立って接客することもあると、ほがらかに語る金江。そんな彼女を形成し、支えている“出会い”は、小学生のころにまでさかのぼります。

金江 「小学 4年生のとき、卓球のクラブチームに入ったんです。未経験ながら練習を重ね、2年後には全国大会に出場。中学はスポーツ特待生で進学しました。ところが、周りも実力のある選手ばかりで結果を出せず、学校も卓球も辞めたいと思うほど悩んでしまいました。

でも、恩師の先生はそんな私を見捨てずに向き合ってくれたんです。当時でもすでに 60代半ばでしたが、自分の方が倒れるまで練習にも付き合ってくださって」

「一番尊敬している先生。今でも会いに行きます」との言葉通り、金江の人生において非常に意義深い出会いとなりました。

大学生となり、金江はあらためて自らの進む道を模索します。偶然にも飲食店でアルバイトを始めたことが、彼女の人生を大きく左右することに。もともと人と接するのが苦手だった金江でしたが、働くうちに少しずつ自分の中で、姿勢や気持ちが変化していくのを感じました。

金江 「そのお店はお客様との距離が近く、スタッフから話しかけたり一緒に乾杯したりすることも。普段の自分とはかけ離れた環境に、お客様や店長から怒られる日々を過ごしました。

でも、根っからの負けず嫌いだった私は、それまでの暗い自分をどうしても変えたかったんです。変わろうと決めてから、周りの助けもあり、明るくなっていく自分を実感しました。以前と違って仕事を楽しめるようになったんです。そこで、“飲食業って誰かの人生を変えることができる仕事なんだ ”と感じるようになりました。そのお店の店長にはすごく感謝していますし、自分もそんな仕事に挑戦したいと思うようになったんです」

まずは、飲食関連業の企業に就職して自分を磨こう。そして自分の道を開いてくれたお店に恩返しをしよう。

挫折を乗り越えた経験、自分を変えてくれた人たちとの出会いと、恩返ししたいとの想いが、金江の頑張りの原動力になっているのです。

Globridgeに入社。一転する世界観、強い想いで成果創出へ

▲「こだはるが一番落ち着く」と語る金江。事務作業も店舗スタッフのすぐ近くで行い常に気を配る

▲「こだはるが一番落ち着く」と語る金江。事務作業も店舗スタッフのすぐ近くで行い常に気を配る

就職活動の過程で、金江はGlobridgeと出会いました。

率直に言って、数年前の飲食業界全体が、事業運営の手法にも働き方にもブラックな慣習があったことは否めません。それだけに、Globridgeに内定が出たと報告したときの周囲の反応は、決して芳しいものではありませんでした。

金江 「でも、それで逆に挑戦しようという気持ちに火がついた感じです。そんな風潮に負けたくない、自分が変わったように周りも変えていきたい。やらずして判断しちゃいけないと思いました」

実際に働き始めた金江は、アルバイト時代との違いに大きな衝撃を受けました。常に人手が足りない状況で、お客様満足を追求するゆとりはどこにもない日々を送ります。

金江 「環境的にも、自分のレベル的にも、理想をかなえられるような状態ではありませんでした。正直、最初は “つらい ”という想いしかなかったです」

そんな状況を一変させたのが、企業方針の転換。

2014年、Globridgeは従来の事業展開路線から、まったく違う方向へと大きく舵を切りました。既存のすべての店を業態変更していく。それも店長のつくりたいお店にする。コンセプトも店名も内装も外装も店長がこうしたいというお店にする──それは大きな経営判断でした。

金江 「そうした背景のもと、誕生したのが新橋の『魚バカ一代』。社内でも実力のある人たちが集結し、新生 Globridgeの第 1号店となりました」

近隣で業態変更した第2号店が『こだはる』。とくに金江が想いを込めたのが店名です。

金江 「私は、お客様にどうしても喜んで帰っていただきたかった。そのためには、料理にも接客にも空間にもこだわるべきだと考えていました。この店名だけは譲りたくなくて、メンバーや副社長の大石さんに対して声高に主張したんです」

それは、金江が当事者意識を持ってビジネスにコミットしようとした第一歩でした。その情熱が実を結び、お店は『こだはる』という店名でリニューアルオープンが決まりました。

『こだはる』でのリニューアルオープン間もなくのころは、当時の店長とけんかして泣きながら店舗を飛び出すことも日常茶飯事。黒字化を果たすまでの道のりは決して平たんではなかったものの、その現場の頑張りを、大石はきちんと認めてくれました。

金江 「結果が出せないながらも、大石さんが自分たちを信じてくれたのは非常にありがたかったです。あきらめず、裁量と責任を持って黒字化し、お客様満足度 NO.1と認められたことで、自信がつきました。現在では利益率 20%を超える繁盛店にまですることができました」

この成果が、事業部長就任の道を開くことにもなったのです。

一段高い視点から、人とお店と未来を見つめて

▲事業部長になった今も店舗に立つ。お客様を喜ばせるべく、イベントを企画・運営することも

▲事業部長になった今も店舗に立つ。お客様を喜ばせるべく、イベントを企画・運営することも

現在、金江は事業部長として新橋界隈の4店舗を統括しています。その中には、もちろん『こだはる』も。しかしながら、以前とは少し見え方が変わってきた、と金江は言います。

金江 「事業部長になって、店長時代より客観的に考えられるようになりました。ときどきお店を訪れ、スタッフがイキイキと働いていたり、お客様が喜んで帰られたりする姿を見ると、店舗自体が成長しているのだと実感します」

強い想いを持って育て上げてきた『こだはる』と、そこで働くメンバーの成長。より高い視点で、より広い面に意識を向けながら仕事にあたれるようになった金江は、また新たな挑戦の機会をつかみます。

それが、「女将プロジェクト」。Globridgeは、コミュニケーション人材の最高峰を「女将」と称し、ロボットやAIにとって換わられることのない職業として定義づけました。金江は、女将を取りまとめる“総大将”=「女将事業部」の事業部長に任命されたのです。

金江 「私の中で女将という職業に従事する人は、“お客様を心から想って働ける人 ”をイメージしています。そんな職業があるとしたら、すばらしいと思いませんか?飲食業に携わる身としては、お客様の喜ぶ顔を見られるのが何よりのやりがい。仕事の楽しさはそれに尽きると思います。その想いに共感してくれる人と働きたいです」

そんな人たちがGlobridgeの「女将」として、誠心誠意お客様に心を寄り添わせ、働ける環境や職場をつくっていけたら──。金江はそういったGlobridgeの考えを最前線で具現化し、普及するという大役を任されています。

金江 「今度は私が “変える立場 ”になりたいんです。卓球や学生時代のアルバイトで自分に自信を持たせてくれ、導いてくださった恩師や周りの環境への恩返しの意味も込めて」

走り始めたばかりの「女将プロジェクト」。Globridgeの次なるステージへ進むための試金石でもあり、金江もその成功を目指して奔走する日々を送っています。

飲食業の常識や既成概念を覆す壮大なビジョンを描き、斬新な取り組みを進めている「女将プロジェクト」とは、いったいどんなものなのでしょうか?

本物を突き詰めた先に、お客様と働き手の喜ぶ未来が広がる

▲慣れ親しんだ新橋の街

▲慣れ親しんだ新橋の街

『こだはる』は、その名の通り金江が強いこだわりを持って丁寧に育てあげた大切な店舗です。一方で、「女将プロジェクト」から派生する取り組みは、より広い視点を持ったまったく新しい試みばかり。

金江 「ひとつは、生産者の皆さんの元へ出向き、食材や商材の裏にある想いを実感すること。私たち自身が知らないことを、お客様には絶対に伝えられないからです」

たとえば日本酒には、命がけでその一杯をつくりあげた杜氏の存在があります。目には見えない努力やこだわりを込めているからこそ、大切に飲んでほしい。その想い伝えることで、お食事に対してさらなる価値を与えることができる。逆に、お客様の「おいしい」という声を生産者に届けることも、金江をはじめ店舗に立っているからこそできる取り組みです。

金江 「『女将』って、お客様に寄り添うことと、生産者さんに寄り添うこと、両方の役割を担えるんです。そういうハブ的な役割で想いの橋渡しをする存在にもなれるんじゃないかと思います」

という金江の言葉からは、仕事を通じて関わり合う大勢の人々への、熱い想いがあふれ出てくるようでした。

金江 「思い入れのあるものを仕入れるだけでなく、ゆくゆくは自分たちでつくることにも挑戦してみたいと思っています。たとえば、『こだはる』オリジナル日本酒とか。実はプロジェクトがスタートしていて、来年の 3月にはお店で提供する予定です!

やっぱり、自ら体験することでわかることも多いし、実感を持ってお客様に伝えられますからね。他にも、今後ものづくりが自給自足でできる村を立ち上げることも考えているんです」

地方の魅力を掘り起こし、雇用や観光などの活性化に貢献したい。あるいは、訪日外国人が日本文化を知るきっかけになるような場や機会を生み出したい。そういった取り組みのひとつひとつを楽しみ、喜ばせたい相手を想って心を寄り添わせる「女将」をどんどん増やしていきたい。金江が、そしてGlobridgeが思い描く未来図は、どこまでも広がります。

金江 「結局のところ、飲食業という仕事が好き、お客様の喜ぶ顔がとにかく大好きなんです。だから、頑張れる。好きな気持ちが力になるんです」

元・卓球少女の感謝と恩返しの想いから始まった活動は、大勢の人を巻き込み、動かしながら、着実に前進しています。

目下の目標は「『こだはる』2号店のオープン!」と言う金江。

その想いが通じ、年明けには新店のオープンが決まっています。飲食業が、お客様を喜ばせる仕事が大好きだという金江のまっすぐな軸は、どんなときでも揺らぐことはありません。常にお客様を思い、あらゆる人への感謝を忘れず生き生きと活躍するその姿は、Globridgeが目指す未来を映しだすような輝きで満ちていました。金江の挑戦に今後も注目です。

株式会社Globridge

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