文化の違いを味方に。現地のメンバーとつくり上げたベトナム・ダナンでのウェディング
開発が著しいベトナム中部のビーチリゾート・ダナンは、近年世界中から注目を集める観光地です。ワタベウェディングも、2018年に、現地のホテルと提携した日本人向けのウェディングプランの販売をスタート。拠点となるダナン店の立ち上げで中心的役割を果たした店長の佐々木彩子のこれからの展望をご紹介します。【talentbookで読む】
注目のビーチリゾート・ダナン
佐々木 「海をバックにした写真はとてもきれいですよ。ホテル自体も、すごく綺麗でフォトジェニックなスポットがたくさんあります!」
ホテルから一望できるエメラルドグリーンの水平線。ベトナム・ダナンのラグジュアリーリゾートホテル「ナマンリトリート」から眺める景色に、現地のスタッフを取りまとめる佐々木は太鼓判を押します。
また、スモール婚を求めるカップルにとってもダナンは魅力的です。
佐々木 「他のリゾート地と比べると価格が圧倒的に低いんです。成田からの直行便が片道約 5時間半、関西国際空港からだと 4時間半という距離の近さもあり、長時間のフライトが難しいご家族がいらっしゃる場合にもお喜びいただいています」
ダナンは、ホーチミン、ハノイに次ぐベトナム第三の商業エリアで、近年注目を集めるビーチリゾートです。アメリカ版フォーブス誌が選ぶ「世界の綺麗なビーチ 6選」のひとつ「ミーケビーチ」を有するほか、近郊には3つの世界遺産があります。そのため観光地として高い魅力を備えているのです。
さらに、ベトナムの国民性は親日的で治安も良く、日本人渡航者数は2016年の8万人から2017年には12万人と大きく増加をしています。そのことからワタベウェディングはダナンでのリゾートウェディング事業は大きなアドバンテージとなると見込み、2018年より日本人向けのウェディングプランの販売開始。同年12月にはダナンで挙式をするお客様をおもてなしするための直営のサロンをオープンしました。
ダナンでサロンをオープンするにあたり、社内公募で選ばれた責任者が佐々木でした。
佐々木 「『決まったよ』と言われたときは単純に嬉しかったです。最初の 1年目は、現場の挙式オペレーションの立ち上げがメインになってくることもあり、これまで国内で挙式の新規立ち上げを経験してきた経験が評価されたのではないかと思います」
佐々木のほかに、現地でひとり日本人のスタッフを採用しました。初期のころは、店舗立ち上げの担当として、日本からふたりのスタッフが常駐し、ダナン店の営業はスタートしたのです。
文化・言語の壁を乗り越えてつくり上げたウェディング
佐々木 「最初の頃に苦労したのは、やはり文化の違いと言葉の壁ですね。パートナー企業さんの大多数は日本人がいらっしゃるところを探して依頼していました。そういったところとのやり取りはスムーズにいくんです。
しかし、現地の方しかいらっしゃらないようなパートナー企業さんですと、こちらのお願いしているもの、たとえば食器だとしたら差し出されるものがまったく違うものだったりするんです。『違うよね』と伝えても、悪気があるわけではなく『一緒じゃない?』というような反応で。日本人は性格が細かいといいますが、まさにそれを実感しました」
ダナンはホーチミンのような大都市ではないため、日本人の従業員がいない業種も多いのだといいます。しかし、そうした困難もオープンを遅らせる理由にはなりません。
佐々木 「予定に遅れはなかったですね。挙式も決まっていたのでそこまでに何がなんでも間に合わせなければいけないっていうデッドラインがあったので。慌ただしい中でも、意識していたのは、ダナンに最適なのは何かという見極めです。
多くの人が他のエリアからサポートに来てくれましたが、エリアによってやり方も違うので、すべての意見を取り入れるわけにはいかないんです。自分の経験も信じながら、ダナンはこういう風に進めるんだ、というように選択をしていくことは努力を要した部分でしたね」
ダナン店で初めてのカップルが式を挙げた2019年1月、雨季のダナンには珍しく、その日だけが快晴となりました。
佐々木 「ダナンを選んでよかったですというお客様からの言葉を聞いたときが、報われるというかほっと安心できた瞬間でしたね」
他のリゾートにも負けないダナン・ウェディングの魅力
ダナン店では初年度に50組の案内を予定していましたが、その予約もすべて埋まり、順調に滑り出しました。運営体制も改善が図られています。
佐々木 「今はベトナム人のスタッフを雇っているので、当初悩んでいたベトナムの企業とのやりとりが非常にスムーズになりました。挙式のクオリティもそうですが、まずは商品が間違いなく提供できるかということを不安がってきた時期もあったくらいなんですけどね。
最近はベトナム人のスタッフも『もっとこういうサービスをしたい』と意見を言ってくれるようになったほどです」
こうしたベトナム人の気質も、ダナンの魅力のひとつだと佐々木は感じています。
佐々木 「文化の違いについてお話しましたが、こちらが口うるさく伝えたところで嫌な顔をされる方はほとんどいないんです。基本的にはこちらの要望に応えようとしてくれるんですね」
言葉や文化の違いはある中でも、1組のお客様に向けて、最高のホスピタリティを提供しようする素晴らしいチームになっていると言います。チームワークを発揮しイレギュラーな事象にも対応もできているそうです。
佐々木 「台風の影響によって家族が搭乗する飛行機が飛べないというお話があったんです。台風を見越し、すでに 1日、日程をずらしていた上での再調整だったのですが、どのパートナーさんも快く対応してくれました」
これは日程に関わる話だけではありません。花や料理といった現地で対応できるものは、パートナーと一丸となって、お客様のご要望を最大限かなえようと行動しているからです。
お客様からは「融通を効かせてもらって良かった」という声をいただいていると言います。ウェディング産業の規模がまだ小さなダナンにおいて、佐々木が結んできたパートナーとのリレーションシップが、お客様の満足につながっていると言えます。
2年目の勝負──ダナンの魅力をさらに多くの人へ
ダナン店立ち上げから1年が経ち、佐々木は商品の幅を広げようとしています。
佐々木 「現地のベトナム人向けのサービスを提供していきたいです。まずはフォトウェディングから着手できればと考えています。ベトナムでは、挙式の前に、ほぼすべてのカップルが前撮りをしているんですね。
ちなみに、ベトナム人が好むフォトのテイストは、日本人の好みとかなり異なります。日本人には、ナチュラルであまり決めすぎないフォトが好まれますが、ベトナム人にはまるで映画のワンシーンのような、ドラマチックな写真が好まれるんです。
そんなニーズを理解できるのはローカルのパートナーでないと難しい。ローカル市場で戦えるよう、ベトナムのカップルが好むようなウェディングフォトを撮影できる。そんな現地のパートナーの選定をしているところです」
もちろん、日本人のお客様に対しては、より良いサービスを提供していくことが目標です。
佐々木 「やはりダナンはこれから発展していくリゾート地ではありますが、日本人の若者から注目度は高いです。グアムやハワイといった他のリゾートエリアとの差別化は課題ですね。ひとりでも多くのお客様にダナンにお越しいただくために、私たちが測れる指標というのは CS(顧客満足度)しかないと思っています。
リゾートウェディングという挙式スタイルがまだ根付いていない、このダナンでまずは日本流のホスピタリティが提供できるようソフト面を日々ブラッシュアップしていく必要があるんです。そして、目の前の挙式一つひとつで CSを追求し、お客様に『ダナンに来てよかった』というお声をいただいていくことが大事だとおもっています」
顧客満足度を追求することでダナンの魅力が伝わっていくと確信する佐々木のチャレンジは、挙式に臨むカップルだけでなく、より一層の観光客をダナンへ誘うことでしょう。