2020年の干支である「子」。縁起担ぎでねずみをモチーフにしたグッズを目にすることも多いが、いっそのこと”ネズミ料理”を食すのはいかがだろうか。
ジビエや昆虫料理などを提供する「米とサーカス」(高田馬場本店、渋谷PARCO店、錦糸町ダービー通り店)、「パンとサーカス」(新宿三丁目)の計4店舗では、新春限定メニューとして大型ねずみであるヌートリアを食べることができる。
各店舗で提供メニューは違い、「ヌートリア鍋」「ヌートリアからあげ」といったものから、塩焼きやグリルなど素材の味を堪能できるものまで楽しめる。中には、ヌートリアの骨を5時間以上煮込んだスープの「ヌートリアヌードル」というものも。一体どんな味なのか。キャリコネニュースも食べてみた。
豚でも牛でもない、未知の匂いに「これがヌートリアか……」
ヌートリアヌードルはダービー通り店で提供している。新年にちなんだメニューのため、店内の貼り紙にはメニュー説明とともに「今年の干支を食べて運勢アップ!」「今年一年の開運祈願に是非一度ご賞味ください」という文言があった。値段は一杯1480円。
ヌートリアは40~60センチ、体重5~9キロで、オレンジ色の大きな前歯が特徴のネズミだ。現在、西日本各地の水辺に生息しているが在来種への影響が深刻で、特定外来生物に指定される害獣。今回仕入れるヌートリアは岡山県で猟師が箱罠を使って獲ったものだ。
5分程度待つとヌードルが運ばれてきた。透き通った黄色のスープで、ヌートリアの小さなハムが5枚のっている。薬味のカイワレや白髪ねぎ、わけぎがしっかり載っているのも嬉しい。一見するとあっさり系塩ラーメンといったところだ。
湯気からは豚とも牛とも鶏ともつかない香りがするが、何かしらの獣であることはわかる。はじめての匂いに「これがヌートリアか……」と思った。ただ薬味のスッとした香りと相まって”獣臭い”とは感じなかった。
「予想以上に注文が入っています」
スープは今までに味わったことのないコクがあった。ベースは塩ラーメンであるものの、ヌートリアの骨を5時間煮込んだというだけある。豚骨スープに近いようにも思えたが、それよりは大分あっさりしている。
ハムは今までに見たことのない形をしていた。チャーシューをスライスしたような形状でもなく、謎の肉といった感じだ。食べてみるとしっかりした食感で、少し鴨のような味がした。麺はもちもちで食べごたえがあり、スープとしっかり絡んでいる。
同店スタッフは「ヌートリアヌードルは3日から提供していますが、予想以上に注文が入っています。今日の分ももう無いくらい。でもヌートリアの骨があるので煮込めばたくさん作れます」と話していた。
筆者は関西出身のため、地元の橋の上や土手でヌートリアは目にしていた。害獣と言われていることは知っていたが、こんな味がするのかと驚いた。今後ヌートリアを見る目が変わるだろう。美味しかった。