正解を導き出すより、大切なものを見つけたい──女将1年生が語る人生の選び方 | キャリコネニュース
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正解を導き出すより、大切なものを見つけたい──女将1年生が語る人生の選び方

▲ 利き酒師の資格を持つ佐藤は、お客様に合わせて心のこもった接客で出迎える

▲ 利き酒師の資格を持つ佐藤は、お客様に合わせて心のこもった接客で出迎える

飲食店の直営・FC運営とコンサルティング事業を手がけるGlobridge。新たに「女将プロジェクト」を始動し、想いを繋ぐ事業部を育てています。今回紹介するのは、大手銀行で順調にキャリアを積み上げてきた佐藤 裕子。なぜ新しい飲食業界へ転職し、“女将”の道を選んだのか。その決断をご紹介します。【talentbookで読む】

ひとりの時間を日本酒とともに過ごすのが一番の楽しみ

日本酒バー・蔵よし有楽町の女将・佐藤の朝は、朝ご飯をつくるところから。身支度を終えると、株価の動きをチェックしたり、皇居ランをしたりと出勤前から充実した時間を過ごします。

佐藤 「時間を有効に使っている人って、格好いいじゃないですか。前職は銀行で投資関係の業務に携わっていたので、その習慣で相場を見たり、自分の持っている株の動きを見たり……。身に着けたことを忘れちゃったら嫌だなと思うので、新聞までは読まないですけど、朝のニュースを録画しておいて、後で見ることはしますね」

他にも自主的な“研修”として、昼から開いている居酒屋や酒屋に足を運び、日本酒の研究をしている佐藤。日本酒好きが高じて、日本酒バーの“女将”という職に行きつきました。今では「利き酒師」の資格も取得するほどの熱の入れようですが、意外にも、日本酒を飲むようになったのはここ数年のことでした。

佐藤 「前職が『酒を飲むのが当たり前』みたいな職場で、仕事が終わって同僚と酒を飲んで帰るのが日常だったんですよ。結構大酒飲みの上司がいっぱいいたので、社会人ってこういうものなんだ、と刷り込まれましたね。

それまでは進んで酒を飲むっていうことはなくて、銘柄もそこまで気にしていなかったんですが、ちょうど鳳凰美田とか獺祭、鍋島あたりが流行っていたころでした」

たまたま飲んだお酒がおいしかったのを機に、銘柄を選んで飲むようになり、同時に少しずつ日本酒のお店やイベントを探して行き始めるようになってから3年になりました。最近ではひとりで飲みに行くことも多いといいます。

佐藤 「ひとりの時間を、お酒を飲みながら過ごすことが好きなんです。中でも、ビールやワインより日本酒が一番落ち着くんですよね。お店の人もお酒にこだわりのある人が多くて、いろいろ話を聞いたりして……。コミュ力もちょっと上がったような気がしています」

仕事やプライベートについて生き生きと語る佐藤も、Globridgeに入社するまでは悩みの多い日々を過ごしていました。

我慢ばかりの毎日に終止符を。転職を決意

▲ 「甘酒タピオカミルク」の商品撮影風景。日本酒の魅力を伝えるべく、新しい企画や商品開発にも積極的に取り組む。

▲ 「甘酒タピオカミルク」の商品撮影風景。日本酒の魅力を伝えるべく、新しい企画や商品開発にも積極的に取り組む。

前職で勤務していた銀行では、相続関係のビジネスに携わってバリバリ働いていたという佐藤。

佐藤 「高齢者化が進む中、中小企業には世代交代を迫られている会社がたくさんあって。もちろん酒蔵もそうですね。とにかく案件をたくさん抱えて忙しかったんです。 8時から 20時まで働いて、ご飯もコンビニで買ってデスクで食べる。仕事が終わって飲み会に行くと帰るのが 12時くらいで、また朝 6時に起きて満員電車で通勤、という日常でしたね」

はたから見ると着実にキャリアを積み、順風満帆に見えた佐藤の人生ですが、日々の生活や仕事内容に対して徐々に疑問が出てきました。

佐藤 「楽しかったけど、自分のやりたいことがそのまま実現できるという仕事ではなかったので、やっぱり我慢しなくちゃいけないこともすごく多くて……。我慢をしながら、このまま働いていていいのかな?と思ってしまったんです」

変化を感じたのは、大好きな飲み会の席。お酒を飲む量が増え、無茶な飲み方をするようになっていました。お酒に頼ってしまう機会が増えたのです。

佐藤 「このままじゃいけないと思って。早死にとまではいかないですけど、なんか危険だな、という恐怖はありましね。やっぱりストレスがあったんだと思います。

もちろん銀行の仕事にやりがいは感じていたし、世の中の役に立っているとは思っていました。でも、正直私じゃなくてもちゃんと勉強すればできる人が他にもいる。だったら自分が本当に楽しいこと、やりたいことで生活できたら最高だなと思い始めたんです」

そして2018年、佐藤は自分の人生を見つめなおすべく、転職を決意したのでした。

「正解を選ぶいい子」から脱却すべく、女将の道へ

▲月に一度、季節に合わせたイベントを開催する。毎回常連のお客様で満席となるほど盛況。

▲月に一度、季節に合わせたイベントを開催する。毎回常連のお客様で満席となるほど盛況。

転職に際しては、おもしろそうと思った企業は、業種関係なく、受けたという佐藤。

佐藤 「建築会社の総務とか、同じ金融の M&Aを支援する会社の営業とか、少しでもおもしろそうだと感じたところには行ってみました。
でも実際に話を聞いてみると、ちょっと違うな、と思ったりして。そこでたまたま行きついたのが Globridgeでした」

その時Globridgeは、コミュニケーション人材の最高峰を“女将”と称して、「女将プロジェクト」を計画し始めていた時。

プロジェクトの第一弾として募集していたのは、有楽町にある日本酒バーの“女将”という職でした。

偶然にも、その日本酒バーはお酒を飲むことが趣味になっていた佐藤が、行ってみたいお店リストに入れていたお店だったのです。

佐藤「あまりにこれまでの仕事と畑違いだったので、正直、半分は社会科見学気分。知らない業界だから、まずは話を聞いてみて、ピンとこなければ次を考えればいいや、みたいな感じでしたね」

そんな感覚で臨んだGlobridgeの面接でしたが、副社長大石 匠の言葉が佐藤の心を捉えたと言います。

佐藤 「面接のときに大石が『俺は副社長だけど、これはあくまで役割であって決して偉いわけじゃない。誰もが自分の役割をまっとうするために頑張っているのであって、そういった意味では全員フラット。誰が偉いとか偉くないとかないよね。副社長なんてただの役割分担だから』って言ったんですよ。

率直ですごくいいな、と思って。ここはみんなが意見を言い合える会社なのかもしれないと感じました」

銀行員からまったく違う業種への転職は、佐藤にとっても大きな決断でした。

佐藤 「共働きの両親のもとで育ち、親に苦労をかけないように弟の面倒を見ながら家事も手伝う幼少期を過ごしてきて。いつの間にか一般的に “正解 ”とされるような道を選んできたところがあったんです。だから、 Globridgeへの転職は自分にとっても冒険でした。でも、お給料や待遇をあげたいという理由で転職活動をしていたわけじゃなかったので、せっかく転職をするのなら、心から楽しいと思える仕事をしたい。覚悟を決めて飛び込んでみようと思ったんですよ」

思い切って飛び込んだGlobridgeは、佐藤にとって新しい体験の連続でした。

佐藤 「『おいしい』と言ってくれるお客様のおかげで、毎日のちょっとした変化でも喜びを感じることができる。仕事に行きたくない、という感情がなくなったのは驚きでしたね」

そして面接時に大石の言葉から感じた通り、自分の意志を伝えることで、作りたいお店を運営できる裁量を得られるようになっていったのでした。

いろいろな人のアイディアで、もっとプロジェクトを大きくしたい

▲ お客様と行く酒蔵見学バスツアー。作り手と消費者をつなぐ貴重な機会となった。

▲ お客様と行く酒蔵見学バスツアー。作り手と消費者をつなぐ貴重な機会となった。

2019年12月現在、佐藤は日本酒の作り手とお客様とを繋ぐ“女将”として店舗に立っている。

佐藤 「よくお客さんに、『ここって店長が自分でやってるの?』って聞かれるんです。『会社がやっているんです』って答えるとちょっとガッカリした感じを出されちゃうこともあって。個人店が良かった、みたいな反応って少なくないんですよね。でも私自身はそうは思っていなくて。

現実的な話をすると、個人でやるって結構リスクがあるじゃないですか。会社としてやっている、オーナーが別にいると考えれば、万が一自分の身に何かあったり、経営がうまくいかなかったりしても、自分自身も大切なお店も会社が守ってくれるんです」

守られた環境だからこそ、のびのびとやりたいことができると佐藤は言います。

佐藤 「すごく安心感があるし、無理せずに働き続けられるのってすごく良いなと、感じていますね。会社が経営しているんだけど、こういう個人店っぽい雰囲気をつくれるケースは珍しいと思うし、レアだなぁと思って。働き方も、お店の雰囲気も気に入っているんです」

そんな佐藤は、「女将プロジェクト」のこれからのビジョンについて夢を持っています。

佐藤 「お店をやりながら、いろんなプロジェクトを並行してやっていけたらいいな、って考えているんです。お店をよくしたいというのは入り口だと思っていて、たとえば日本酒をつくるとか、田舎の村をつくるとか……。日本酒に関わることであればなんでもいいんですけどね。でもそれは私個人の考え方。これから別の女将が入ってきたら、その人のやりたいプロジェクトをどんどんやってもらえたらいいなって」

「女将プロジェクト」の一環として独自のビジョンを持つ仲間を増やしていくことこそが重要なのだと佐藤は語ります。

佐藤 「女将は男性でもいいと思っているんです。多くの女将は中途採用として入ってくると思うので、ときには私みたいな畑違いな人も現れるんじゃないかなって。

でも、その人のそれまでの経験を生かして、”女将”として新しい風を吹かせてくれたら、きっともっと楽しいプロジェクトになるとも思っているんです」

転職することによって新たな道を見つけた佐藤。夢をかなえるため、彼女はこれからも走っていきます。

株式会社Globridge

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