リーダーとして駆け抜けた1年。見えてきた「郵船らしさ」と「やりたいこと」
入社3年目、思いがけずプロジェクトリーダーに抜てきされた髙野真生。プロジェクトを進行する上では、苦難に直面することもありました。そんな大役を担う中で見いだした彼なりのリーダー論、郵船の良さと課題、そしてこれから世の中に与えていきたいインパクトについて語ります。【talentbookで読む】
「世界を相手に、チームでビジネスを動かしていきたい」
野球を長くやっていたからか、昔からみんなでひとつの目標に向かっていくことは好きだったんです。
大学でもゼミ形式の授業が好きで、みんなで協力し合ったり、何かを達成したりすることに楽しさを感じていました。だからこそ、就職活動のときにも、いろんな立場の人とひとつのことに全力で取り組めるような仕事がしたいと思っていました。
日本郵船については、原 大貴さんという、私より1年早く内定をもらっていた高校の先輩がいたので前から知っていたんですが、一番心引かれたのは説明会で直接社員に会ったときでしたね。
まず何より、チームでダイナミックに仕事ができる点に魅力を感じました。
陸上職の事務系や技術系、海上職などそれぞれの強みを持った職種があり、また、あらゆる国籍の人と協力しながら「モノを運ぶ」というひとつのビジネスに取り組んでいて、その様子がかっこよかったんです。
それに、世の中を支える企業のひとつとして、日本のために働いていることに誇りを持っている社員が多くて、そういった人の良さに引かれたところもありました。
ただ、入社してからは正直ギャップもあって。
「いや、こんなに飲む人多いのか!」と(笑)。とくに自分の配属された自動車船部門は飲み会も多いですし、今どきみんなで社員旅行にも行くんですよね(笑)。
説明会で感じたちょっとお堅い紳士なイメージとはかけ離れていましたが、仕事に対して全力投球している人たちがたくさんいて、チームで動くのが好きな自分にはむしろ嬉しいギャップでした。
そんな熱い先輩たちに囲まれて運航管理の仕事を覚えていく中で、配属から2年くらい経ったとき、自動車船部門の燃料費節約プロジェクトのリーダーをやることになったんです。
「シゴト増えたな~」くらいにしか思っていなかった
“燃料費節約”ってなんか地味だな、って思うかもしれませんが、船の燃料費は多いときで一日当たり数百万円もかかります。運航管理をする上でこのコストをいかに落とすかは、会社の収益にも影響するほど大きな問題なんです。
当時バルク船部門で行っていた燃料費節約活動を、黒瀬 厚祥さんと長島 正憲さんというふたりの熱い先輩が「自動車船部門でも普及したい!」と、若手を集めて意見交換したことがきっかけで、運航管理の経験がとくに長かった自分がプロジェクトのリーダーに選ばれました。
高校時代にも任命されて野球部のキャプテンをしていましたが、率先して人を引っ張るタイプでもないので、正直任されたときの心境はどちらかと言えば、ネガティブでした。ただでさえ目の前の仕事で忙しい中、はたしてやり切れるのかと……。
でも、やると決めた以上はやりきろうと思い、身近な同期や後輩、専門知識のある陸上勤務中のエンジニアや航海士、そして経験豊富な先輩などに声をかけてメンバーを募りました。その際は自分ひとりで決めるのではなく、みんなで話し合いながら適材適所で割り振りを決めることをとくに心掛けていましたね。
また、良い意味でメンバーがプレッシャーを感じて取り組めるようかなり高い目標も定め、「GRIP(Green RORO Innovating Project)」というキャッチーなプロジェクト名も決めて、若手中心のプロジェクトがいよいよ動き出したんです。
しかし、進める中で思ったような結果が出なかったこともありました。たとえば、運航管理担当者目線では燃節の伸びしろがあると見込んでいた施策が、営業や配船などの立場では違っていたんです。顧客に高品質なサービスを提供しつつ、いかに効率的に運航していくのか。ここは事前にもっとコミュニケーションを取るべきだったと思っています。
ただ、リーダーとして一番の反省点だと思った出来事は、プロジェクト開始から半年経ったときに起きました。
思うように進まないプロジェクト。もがく中でも貫いた「逃げない」姿勢
それは、初期メンバーの離脱によるチームのモチベーション低下でした。
郵船は異動が多く、この時点で初期メンバーの3分の1がチームを離れることになりました。後任者と企画にかける想いを共有したり、目標の見直しを行ったりしましたが、みんなで新しいアイデアを考えることはなかなかできず、プロジェクト当初の想いと勢いを保つことはできませんでした。
そんなとき、「富田さんならどうするだろう……?」と思いました。
配属直後、右も左もわからなかった自分をOJTとして指導してくれたのが富田 悠介さんでした。どれだけ大変なときも、逃げずに仕事へ向き合い続ける姿勢を入社当時から尊敬していて、そのときも真っ先に富田さんのことが頭に浮かびました。
「こんなときでも、声を上げ続けよう」
そう決めて、当初と同じように定期的な成果報告を継続していきました。そして、プロジェクトメンバー外からも協力者を得たり、そこで得られたコメントをメンバーにフィードバックしてみんなを鼓舞したり、モチベーションを保てるよう前に進み続けました。
そこには「リーダーとして任命された以上、最後までプロジェクトを全うしたい」という強い想いがありました。
そして、2019年9月。1年間のプロジェクトが終わりました。
結果的に当初の目標には届きませんでしたが、人が入れ替わっても頓挫しないしくみづくりやモチベーションを維持する方法など、郵船で今後も考えるべき課題を見つけることができました。
そして、燃節に関するマニュアルや知見をしっかり積み上げることができ、目に見える成果を出すこともできたと思っています。
自分がリーダーとして特別できたことがあったかはわかりませんが、みんなの強みを生かせるように考え、決めたことはやり抜く、という気持ちで最後まで取り組めました。
リーダーは必ずしもメンバーを引っ張る必要はなく、それぞれが主体的に動けるようにまとめることさえできれば、一人ひとりが楽しんで仕事に向き合うことができる──自分なりのリーダー論をあらためて発見できたプロジェクトでした。
「郵船ならではのビジネスを通して、世の中に貢献していきたい」
プロジェクトに取り組むまでは与えられた業務+10%ぐらいでしか仕事をしていませんでしたが、今後は自分主体で発信していくことをもっと増やしていきたいです。
今振り返ると、プロジェクトを進めていく中で「若手から部署を盛り上げて利益を生み出したい、粘り強く取り組める運航チームをつくりたい」という想いが強くなっていきました。
それは、自分たちで仕事をつくり出すことの充実感や、仲間たちと一緒に結果を追い続けることへの達成感があったからだと思います。だから、こうして「若手中心で何かをやっていこう!」という気概はこれからも後輩たちには持ち続けてほしいです。
ただ同時に、やっぱり若手だけではなかなか進んでいかない現実もあって、上の人たちからある程度言ってもらうというのは必要だと思っています。
今回も企画立ち上げ会議の段階から経営陣にも参加いただいたことで、中堅社員の方たちにも動いてもらえる雰囲気をつくれましたが、これは黒瀬さんや長島さんなどの先輩からの助言や協力がなければできませんでした。
「風通しが良い」とよく言われますが、上は経営陣から下は入社直後の後輩まで、いろんな人を巻き込んで仕事を進められるのは郵船の良さだな、とあらためて感じました。
プロジェクトが終わり、今は運航管理業務を統轄する立場で仕事をしています。燃節に深く関わっていたというのもありますが、以前よりも全体を俯瞰するようになって思うのは、環境問題に対して郵船なりのアプローチができるんじゃないかな、ということです。
社外の船主の方などと話していても、よりクリーンなエネルギーが世の中の主流となっているのを強く感じていて、この分野で郵船のポテンシャルを生かせると思うんです。たとえば、郵船の自動車船隊は規模や組織面で他に抜きん出ている分野で、波及効果は大きいと感じています。
ただあくまでこれは一例で、今後の自分のキャリアの中では、分野を問わずに「郵船だからこそできる提案やサービスの構築」ができればおもしろいな、と思っています。
その中で、かつてお世話になった先輩や後輩たちとまた一緒に仕事ができたら、とても嬉しいですね。
日本郵船株式会社
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