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「将来の目標が無い」若手メンバーのモチベーションをアップさせる方法 管理職の「傾聴」がすべての鍵

まずは部下の声を聞き取る”傾聴の姿勢”から

まずは部下の声を聞き取る”傾聴の姿勢”から

入社して約3年が経ち、ある程度仕事を自分で回せるようになった若手に将来の目標を聞いても、

「あまり考えていませんし、正直無いです。この会社にいるかもわかりませんし……」

といった残念な返答が返ってくることがあります。

皆さんのメンバーはいかがでしょうか?同じ様な経験や「最近の若手は欲が無いというか、モチベーションが低いというか……」とった悩みをお持ちではないでしょうか?

今回は、こうした状態の若手メンバーに対し、どのように目標を見出させていったらいいのかについて綴ってまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

まずは現在の不満を聴いていく(STEP1)

目標の無い多くの若手の特徴と考え方の傾向として以下のようなものがあります。

・入社当初はこの会社でやりたいことをしっかり持っていた
・入社当初の思いがしっかりしすぎているが上、リアリティショックが起こりやすい
・我慢する環境に育っていないため、あきらめるのが早い
(※リアリティショック:入社前に抱いた仕事と入社後経験する仕事とのギャップに「こんなはずではなかった」と、打ちひしがれる状態)

つまり、多くの若手は目標が無いのではなく、リアリティショックから自分の入社時の思いを諦め、目標を見失っている状態になっているのです。

そこで、まずは現在の会社への満足と不満足、そして、自分の役割に対する満足と不満足を徹底的に聞いていきましょう。この時は”傾聴の姿勢”が大切です。途中で解決策を提示したくてもいったんは我慢し、「あなたはそのような思いを持っているのですね」といった共感の姿勢で聞ききりましょう。このことが次のステップにお互いを運んでいきます。

部下自身の強みを見つけていきましょう!(STEP2)

STEP1の傾聴をしっかり展開できたならば、2人の間にはラポール空間と言う信頼関係の空間が出来てきているはずです。ここで、これまでの社会人生活の中で培ってきた能力や強みを一緒に見つける対話をしていきましょう。

いきなり「あなたの培ってきた強みは何?」と聞いても、すぐに答えられる方は少ないので、「仕事で拘っていることは何?」とか、「仕事で気を付けていることは何?」といったことを聞いていきましょう。その答えの中に、そのメンバーの強みを見出せることが多いものです。ここでもしっかり聴く姿勢を保っていきましょう。

一つ気をつけなければならないことは、部下自身が自分の能力や強みと思っていることを否定しないことです。つい管理職自身や他の優秀な社員と比べてしまい、その程度では能力や強みとは言えないといったことを伝えてしまいがちです。ぐっと我慢して、これまでの社会人生活の中での成長を実感させてあげましょう。

これまで培ってきたものを活かせる仕事を一緒に考える

STEP1とSTEP2を経たならば、いよいよ将来のキャリアを聴いていくステージです。人は不満や課題を話すとそれを解決したいと無意識に思う傾向があります。そして、管理職が関わることにより見えてきた自分自身の能力や強みが、どのように今の状況に活かすことができるのだろうかといったことを考え始めていくのです。

このようなステップを踏みながら、将来の目標を聴いていくのです。いきなり「将来の目標は何?」と聞いても答えられなかったメンバーの口から、将来のありたい姿が語られるはずです。

今回は、なかなか目標を見出せない若手メンバーに目標を見出してもらうコミュニケーションの流れについてお伝えしました。目標のない人生ほど、モチベーションが上がらないものはありません。メンバーの目標を常に共有し、そこに向かって成長している実感を支援していってあげてください。

筆者近影

筆者近影

【著者プロフィール】田岡 英明

働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント

1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。

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