女性の活躍を推進するために──キャリアについて考える機会をつくる“女子塾”の活動 | キャリコネニュース
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女性の活躍を推進するために──キャリアについて考える機会をつくる“女子塾”の活動

▲野坂 枝美(右)と高樋 詩織(左)

▲野坂 枝美(右)と高樋 詩織(左)

2019年12月、株式会社うるるでは女性活躍を推進するための社内プロジェクト“女子塾”が始動しました。有志のメンバーがランチタイムに集まり、活動を行う女子塾が目指す姿──。女子塾を立ち上げた執行役員の野坂 枝美と、メンバーとして活動に参加している高樋 詩織が、女子塾について語ります。【talentbookで読む】

“女子塾”で社員の声を聴き、女性管理職を増やしたい

6.7%──。

これは、株式会社うるるにおける女性役職者の割合です。2020年2月時点で3名しかいない女性役職者を増やすべく、自身も役職者である野坂 枝美はある社内チャットでプロジェクトの立ち上げを宣言しました。

それが、有志の女性メンバーを募った“女子塾”です。

野坂 「まず、私は子会社である株式会社うるるBPOで働いているので、本社で働く女性社員と触れ合う機会がありませんでした。普段関わる機会のない女性社員たちの声を聴くためにも、全社的なプロジェクトを始めようと思ったんです。

また、女性社員たちからも『役職者になりたいけど、タイミングがわからない』という悩みを聴きました。結婚して子どもを生んでからなるのか、それともその前になっておくべきか。役職者になった人しかわからない情報を共有する場をつくりたいという想いもありましたね」

2019年12月から始まった女子塾は、週1回昼休みの1時間を使って活動しています。メンバーは雇用形態を問わず、社内の女性が18名。部署や立場だけでなく、結婚歴や子どもの有無もバラバラです。

メンバーの中には、新卒入社して2年目となる高樋詩織もいます。高樋は、入札情報速報サービス「NJSS」のカスタマーサクセス課に所属。既存顧客のサポートや、更新時の営業を担当しています。

大学では社会学を専攻し、社会にはびこる格差について学びました。

高樋 「格差を現状のままにしてはいけないから、少しでも格差を是正するために行動している会社で働きたいと思っていました。うるるは、外で働くのが難しい人たちに仕事を提供する『シュフティ』などのサービスを展開しています。格差是正に向けたアクションを起こしている会社だと感じたので、入社を決めました」

高樋は、自分が興味や関心を持つものには積極的に参加することを心がけています。女子塾への参加を決めたのも、会社の制度や福利厚生を改善するヒントを得たいと思ったからです。そして女子塾での活動は、キャリアについて考えるきっかけを高樋に与えてくれました。

アンケート調査から判明した、女性社員にありがちな傾向

▲女子塾にて語る野坂

▲女子塾にて語る野坂

メンバーそれぞれの自己紹介を終えたのち、女子塾では課長級以上の社員を対象としたアンケート調査を実施しました。「男性社員(女性社員)に対し、こう思ったことはありますか? 」と問うことで、女性社員特有の傾向を調査したのです。

「業務報告を受けるとき」、「指摘をするとき」、「情報共有をするとき」という3つのカテゴリーに分け、ポジティブ・ネガティブそれぞれの印象を知るための質問項目を並べました。その結果、女性社員は数字などの根拠より感情を先行させて話しがちだと判明したのです。

野坂 「私はとくに役職者の男性とやりとりすることが多いので、女性社員が感情を先行させてコミュニケーションしがちだと日頃から感じていました。アンケート調査では、女性社員の多くがファクトよりも自分のやりたいことや主張したいことを話すため、結局何が言いたいのかわからないことがあるという結果が得られたんです。

感情と事実を分けて考えられなくなってしまうと、社内で適切なビジネスコミュニケーションが取れなくなってしまいます。スキルアップを促し女性役職者の増加につなげるためにも、女性社員のコミュニケーションを改善したいと思いました」

アンケート結果から判明した傾向を女子塾で振り返ったところ、メンバーはそれぞれ思い当たる点があると考えていました。納得いかないことがあったとき感情的になり、上司に喰ってかかってしまう傾向があると自身で把握していたメンバーもいます。

野坂 「感情をコントロールするテクニックとして、1回整理してから伝えるというのは当たり前の話なんです。でも、まずは感情的になってしまう傾向が自分にあると理解することが大事だと思います。

理解した上で感情をうまくコントロールして、コミュニケーションに乗せる必要がある。そんな話を女子塾でしました」

女性社員にありがちな傾向をメンバーそれぞれが理解し、ビジネスにおける成長につなげてほしい。それがいずれ女性役職者を増やすことにもつながると、野坂は考えています。

女子塾で2年目社員が得た気づきと、執行役員が感じる楽しみ

▲女子塾のメンバー

▲女子塾のメンバー

女性だけが参加する場だからこそ、女子塾では普段の業務中には相談しにくいことも気軽に話すことができます。高樋も女子塾に入って初めて、会社のメンバーと個人の価値観に関わる話をすることができました。

高樋 「自分は結婚するのか出産するのかといった話は、会社で過ごす中で同僚と話す機会がありません。女子塾ではキャリアに通ずるパーソナルな情報も開示して良いし、メンバーからも開示してもらえるので、安心して言ったり聞いたりできますね」

さらに高樋は女子塾に参加したことで、自身のキャリアについてきちんと考えなければならないと思うようになりました。

高樋 「どのタイミングで仕事や家庭に打ち込むかを考えなければ、キャリアアップは難しいと思いました。実際に他のメンバーを見ると、仕事と家庭を両立させるのはすごく難しいと感じます。

たとえば子どもが熱を出して早退しなければならなくなったとき、お客様との予定が入っていると、調整も大変ですよね。学生時代にはあまり考えていませんでしたが、うるるに入社して女子塾に入ってからは、その事実がよく見えるようになりました」

一方で野坂は、普段触れ合う機会のないメンバーたちとのフリーディスカッションを楽しんでいます。ディスカッションを通じて社員の性格を知ることで、適切なコミュニケーションが取れるようになると考えているのです。

実は野坂には、高樋とのコミュニケーションに迷った経験がありました。

野坂 「社内で新規事業のアイデアを公募するイベントがあって、そこで高樋と同じチームだったんです。でも、高樋が全然しゃべらなくて(笑)。ここにいる時間は無駄にならないのかなってくらい、無言でした」

しゃべらない高樋を野坂は不思議に思いましたが、関わる中で徐々に高樋の性格を知っていきます。

野坂 「高樋は表にいろいろ出すより、知識を吸収しじっくり考えた上で、的を射たものを生み出すタイプだったんです。最終的に良いものを生み出すとわかっていれば、しゃべらないことをとがめる必要はありません。今は、私自身もそのアウトプットが楽しみですし、待てるようになりました。

高樋の性格がわかったからこそ、コミュニケーションも取りやすくなりました」

制度整備など新たな支援に向け、精力的な活動を続ける女子塾

▲女子塾ワークショップ風景

▲女子塾ワークショップ風景

女子塾の活動は、まだ始まったばかりです。今後は女性社員の支援につながる新たな制度の創設なども目指しています。女性のキャリアに関わるうるるの制度について、高樋は疑問に思っていることがあります。

高樋 「うるるは産休や育休を取得した後も復帰しやすい会社だと思います。でも、復帰した人のほとんどが営業やマーケティングではなく、内部監査など会社の内側を支える業務に回っているのが気になるんです。

たとえば、私が育休取得後に復帰して営業に戻ってこられるのかなと考えると、そのような制度は今のところないと思います。復帰後に携わる業務の幅を、もっと広げられると良いんじゃないかと感じますし、育休を取りたい男性社員への支援にもつながるのではないでしょうか」

さらに高樋は、子育てする女性社員だけでなく、周りの社員のこともサポートする制度が必要だと考えています。

高樋 「会社全体に休みを取りやすい雰囲気はありますが、それをもっと評価制度に反映してみてはどうかと個人的には思います。

誰かが休んだらその分周りがフォローしていますが、フォローしてくれた人に対してもきちんと評価をしてあげるべきです。そうすることで、子育てする社員は休んだり戻ってきたりしやすくなるし、助け合いも生まれやすくなるんじゃないかと思います」

一方、自身もシングルマザーである野坂は、頑張りたくても全力投球できない状態にあるシングルマザー社員のためにも、女子塾で乗り越える術を共有したいと考えています。それに加えて、女子塾をキャリアのゴールについて考えるきっかけとなる場にすることも目指しています。

野坂 「うるるの役職者になりたい人もそうでない人もいるので、今後どういうキャリアを積んでいきたいか自問自答する場にしてほしいですね。同世代と話すだけでは知り得ない情報もあるので、他のメンバーの意見を聞いたり情報交換したりすることで、ヒントを得てほしいと思います」

野坂が女子塾の活動に力を入れる理由のひとつには、将来の選択肢を用意することの大切さを女性社員に伝えたいという想いもあります。

野坂 「思い描いた通りの将来にならなかったとき、どうやって自分の足で歩いていくかを考えてほしいんです。考えるのは早いほうが良いけど、早すぎると自分事として考えられません。

でも、悩んだり苦労したりしている人が近くにいたら、『自分も考えなきゃ』と思いますよね。そんなふうに、お互い影響を与えられる場にしたいと思います」

悩める女性社員のために女子塾を立ち上げた野坂と、メンバーとして積極的に参加している高樋。それぞれが女子塾の影響を受けながら、プラスの効果を生み出そうと尽力しています。

さらなる女性活躍推進に向け活発化する女子塾の活動に今後も期待しています。

株式会社うるる

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