2週間でサービス休止に… イグニスが失敗から学んだ「ユーザー視点」と「ぶれない芯」へのこだわり | キャリコネニュース
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2週間でサービス休止に… イグニスが失敗から学んだ「ユーザー視点」と「ぶれない芯」へのこだわり

東京・恵比寿にオフィスを構えるイグニスは、スマートフォンゲームやスマホアプリを企画開発するITベンチャー。まもなく創業5年目を迎え、2014年7月には東証マザーズへの上場を達成している。

2015年3月には、アプリ累計ダウンロード数8000万を突破。さらなる事業成長を目指して、新卒・キャリア問わずメンバーを随時募集している。広報の松平理沙さんに、ヒットアプリを生み出す「プロデューサー職」について紹介してもらった。

自宅に大量発生した「ホンモノのネズミ」が開発ヒントに

イグニス広報の松平さん(右)とネコP

イグニス広報の松平さん(右)とネコP

イグニスでいま一番勢いがあるアプリの一つが、「ネズミだくだく~マウス繁殖セット~」という放置ゲーム。毎秒天文学的な数字でネズミを量産していくのがやみつきになる、スマートフォン向けカジュアルゲームです。

世界累計350万ダウンロードを突破したこのゲームの生みの親は、通称「ネコP」と呼ばれているプロデューサー職の男性社員です。開発のきっかけは、築年数の古い家に住んでいた頃にホンモノのネズミが大量発生したことでした。

「慌ててネズミ取りを仕掛けたのですが、捕まえてみるとネズミって結構可愛かったんです。それで『これならいっぱいいてもいいんじゃないか』と、ゲーム化してみようと思い立ちました」(ネコP)

「ネズだく」は3月に韓国版もリリース

「ネズだく」は3月に韓国版もリリース

さっそく企画会議で提案したところ、ネズミのキャラクターは「ネコに比べると主役になりにくい」との意見が多くあがりましたが、放置していても面白いほどに増えていくというゲームの要素を説明すると、好感触に変わったそうです。

この「ネズだく」はユーザーにストレスをかけず、快適に遊べる設計が好評なのですが、ネコPの「ヒットを生む秘訣」によると、他のゲームに幅広く触れてユーザーの視点や感覚を磨くことが大事なようです。

「App Storeに住んでいると言ってもいいくらい、アプリをずっと触っています。1つをやりこむよりも、多くのアプリに触ることを重視しています。実際にアプリを触るときは、序盤でつまずかない設計になっているか、アプリのテイストやゲーム性はどうかといったことなどを見ています」

ものづくりのセンス磨く「アプリの生き残り予想」

日々アプリを触って発想を磨くネコP

日々アプリを触って発想を磨くネコP

ネコPはアプリを使う前に、アイコンやスクリーンショット、アプリ名から、「このアプリはランキングに残り続けられるのか」を予想し、当たるかどうか自分の感覚を試してもいるとか。

「一番大事なのは『何が当たるのか』を、自分の趣味や感覚だけでなく一般の人が持つ感覚に照らして考えること。このように仮説と検証を繰り返し、常にベストを求めて考え続けることで、ものづくりのセンスが磨かれます」

現在ネコPは、14名の開発メンバーを抱える「スタジオ長」を務めています。マネジメントで心がけているのは、誰にでも「アイデアをカタチにするチャンス」を持ってもらうこと。職種を問わず、良い企画であれば実現していく方針でいます。

社内のフリースペースで気分転換

社内のフリースペースで気分転換

経営陣の意思決定も速く柔軟で、プロジェクトが軌道に乗り、より注力していきたいと判断すれば、事業として切り出して成長させていきます。

「マンガを毎日30分無料で読める」というマンガアプリの新しいビジネスモデルを生み出して急成長した子会社の「イグニッション」は、イグニスのプロジェクトを事業化した代表例です。社員の希望を尊重し、やりたいことにチャレンジできる環境は、当社の強みでもあります。

「企画が良ければ、未経験でも問題ありません。社歴や上下関係にかかわらず、やりたいことを実現できます。実際、入社して数日のプロデューサーが出した企画が評価され、大規模プロジェクトとして任された例もあります」

どこまで「ユーザーの気持ち」になりきれるか

半期に一度の「社員総会」の様子

半期に一度の「社員総会」の様子

とはいえ、プロデューサーの仕事内容は多岐に渡り、簡単に務まるものではありません。必要な要素や能力はいくらでもあり、案件や時代によって求められるものも変化します。

「ユーザーの意見を聞きつつも、これは絶対に変えられないという『ブレない芯』を持つこと。それでいて、自分が良いと思う感覚を信じすぎず、どこまで『ユーザーの気持ちになりきる』ことができるか。このバランス感覚に対応できることが、どのプロデューサーにも求められる能力だと思います」

「なでしこ広報会」次週に登場するウィルグループ広報の大橋さん(右)にバトンタッチ!

「なでしこ広報会」次週に登場するウィルグループ広報の大橋さん(右)にバトンタッチ!

実は2012年、当社は命運をかけたプロジェクトを盛大に失敗し、2週間でサービスの休止を決意するという手痛い経験をしました。このときヒットプロダクトを生み出す「ユーザー視点」が決定的に欠けていることに気づき、以来この重要性が社内に染み付いています。

イグニスで仕事をして「自分が好きなこと、やりたいこと」が必ずしも「世間に受け入れられること」ではないことがハッキリ分かったというネコPは、今後もこの両方を兼ね備えたものを考え続け、面白いものを一生作り続けたいと言っています。世の中を楽しませ、自分ももっと楽しみたいという人、イグニスで一緒にチャレンジしましょう!

【プロフィール】イグニス広報担当 松平 理沙:1987年生まれ。愛知県出身。名古屋の自動車ディーラーで秘書、人事、営業推進を経験。2014年4月に上京、イグニスの広報として入社。ベンチャー企業の魅力を日々PRしている「なでしこ広報会」(主宰:栗田朋一・ 東京PRアカデミー代表)に参加している。

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