「快適さ」から飛び出し、挑戦を続ける薬事エキスパート 彼女が次世代に語り継ぐこと | キャリコネニュース
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「快適さ」から飛び出し、挑戦を続ける薬事エキスパート 彼女が次世代に語り継ぐこと

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新たなテクノロジーで日々進化する医療機器ビジネス。その有効性や安全性を示し承認手続きや製品説明を担う薬事職として、複数の企業で30年を超えるキャリアを持つ浅井 裕子は、自らの仕事を「Storyteller」と称します。次世代を育成しつつ、自らの役割拡大を楽しむ彼女のエネルギーの源をお伝えします。【talentbookで読む】

薬事の仕事 そしてその魅力とは

薬事業務とは、製品の発売やアップグレードの際に、厚生労働省へ提出する資料を作成するとともに、多くの折衝を経て販売承認を取得するという重要なプロセスを担います。

また『医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律』(通称:薬機法)に準拠し社内への監査・教育を行い、会社を守っていく立場でもあります。

現在、日本ストライカーで手術機器や救急医療製品の薬事を担当するチームを率いるシニアマネージャーの浅井。彼女がこの仕事に就いたきっかけは「たまたま」と笑います。

浅井 「もともとは企業の薬事職という仕事があるとことさえ知りませんでした。薬学部を卒業し、周りはほとんど薬剤師への道を進む中、応募要件で薬剤師資格が必要とされる企業をたまたま見つけたのがきっかけです」

製品の進化とともに、求められる業務の水準が年々高まる中、日本ストライカーを含む4つの医療機器メーカーで薬事職としてのキャリアを構築してきた浅井。そんな彼女は仕事について次のように語ります。

浅井 「技術は日進月歩で進化していますし、医療従事者や患者さんに貢献できるすばらしい製品が次から次へと出てきます。ひとつとして同じことを繰り返すことがないので、まったく飽きませんね。

薬事承認を得ることは大切な成果でありながらも、そのアプローチ方法はひとつではなく、正解があるわけでもないのです。研究データをどうやって効果的に使うかは自分次第。

いかにわかりやすく説明するか、どんな切り口でストーリーをつくり上げるかは、製品によっても違いますし、担当者によってもそれぞれです」

自身の思い描くストーリーとして製品を伝えるにあたっては、アイデアはもちろん、個性や工夫が重要でもあり、クリエイティビティも問われる仕事です。

浅井 「データを並べるだけの仕事ではなく、どんなデータをどんな場面で使うのかなど、製品の説明には常に工夫が求められます。

同じ製品であっても、先に販売している他国とストーリーが違うということはよくありますし、前例に倣うことが必ずしも近道ではありません。やっぱり飽きないですね(笑)。飽きないからこそ、これほど長く続けてこられたのだと思います」

キャリアを支えた自らの想い、そして上司の言葉

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浅井のふたりの子どもはすでに社会人。出産・育児休暇以外、キャリアが途切れることはなかったと浅井は話します。しかし、その言葉は意外なほど自然体です。

浅井 「最初に勤めたドイツ系企業からずっと外資系企業で働いてきたこともあり、今まで一度も『一回休んだら?』とか、『仕事は続けるの?』とか聞かれたことがありません。

女性が働き続けることができるような制度が整っていたことも幸いし、それをごく普通のこととして、気が付いたらずっと続けてきたという感じです(笑)」

そんな浅井ですが、不安に思う瞬間がなかったわけではありません。

浅井 「お母さんが専業主婦で家にいる家庭と比較して、心が揺れることもありました。子どもの成長はあっという間ですから、もっとじっくり向き合いたいと思うことも。

でもそんなときは『子どもが成長し、大人になってからのつきあいの方が長いのだから、いつか大人同士の一対一の関係を築くことができるように』と逆の発想を心がけました。

社会とのつながりの中で、お互いが尊敬し合えるように……と想い続けた結果、今、子どもたちとは良い関係が築けていると思います」

浅井のキャリアを支えた言葉に、駆け出しの社会人のころ上司から言われた「“同じであること“を強要しない公平性もある」というものがあります。これは、まだ学生の横並び気分が抜けなかったころに聞いた言葉で、今なお大切にしている考え方だといいます。

浅井 「誰ひとりとして同じ仕事をしているのではなく、一人ひとりの立場も能力も違う中、無理に物差しを合わせることは、一見平等に見えて実はとても不平等だというのがこの言葉の真意です。

仕事を続ける中で、ついつい人と比べてしまう場面が多くありますが、違いを認めることが真の公平につながると肝に銘じています」

コンフォートゾーンを飛び出し、新たな環境へ

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浅井が日本ストライカーに入社したのは2018年6月。それまで15年にわたって勤務した医療機器メーカーからの転身です。

浅井 「仕事は充実していました。15年も同じ会社にいると、知らない人の方が少ないですし、仮に自分が知らなくても、相手は自分のことを知っている状態(笑)。

正直、楽ですよね。昨日の続きを、今日も明日もやることはとても快適ですが、人を育てていく立場になり、人を育てる上でも常に必要になるのは自分の成長。

よく耳にするコンフォートゾーン(居心地の良い空間)は、決していい意味だけでないことに気付いたのです。新たな挑戦をすることが、自分のさらなる成長につながるのではと思いました」

折しも、下の子が就職したタイミング。浅井はそのコンフォートゾーンをあえて抜け出し、日本ストライカーで新たな挑戦をする決断をしました。

浅井 「いいじゃないですか、仮に失敗しても(笑)。守らなければいけないものが減り、ごく自然に、もう一回チャレンジしてみようと思えたのです」

転職後、浅井は新しい環境に新鮮な喜びを感じたと言います。

浅井 「当たり前ですけど、エレベーターホールで会うのも知らない人ばかり。新しい出会いの中で、時間の感覚、会議の準備や議事録の取り方まで、会社の数だけルールや当たり前があることを実感しながら、自分自身の中に“新しい感覚“も生まれ、思い切ってチャレンジしてみてよかったと思いますね」

日本ストライカーは外資系企業でありながら、これまでの経験したどの会社とも違い、“日本企業の良さ“が融合されている、と浅井は説明します。

浅井 「全体として“本当に人を大切にする“と感じます。日本ストライカーは、事業の拡大とともに新しく入社する人も多くいます。

一方で20年を超える社員も活躍していますから、ハイブリッドな組織として、とても興味深いですね。このような社風だからこそ、自然と“人の成長に関わる“ことにやりがいを見いだせたように感じます」

自分も、組織も、前に進むため。自身の学びを次世代へ継承

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6人のチームメンバーを率いる浅井。経験豊富なメンバーから、若手社員まで、その顔触れは多彩です。新たな環境でリーダーとなった浅井が重要視しているのは、課題に直面した際、自らの力で必要な情報を得ることができるよう導くこと。

浅井 「手取り足取り教えることは簡単です。しかし、創意工夫が求められる薬事の仕事においては、ひとりで考え、解決できるように教えていくことが大切だと思います。あえて教えることを我慢し、ただ見守るときもあります。教えることは、自分との戦いでもあります」

「同じであることを強要しない公平性」という自らの信念に基づき、人それぞれ学びのアプローチ方法が違うという前提で、個性を見ながら教え方を変え、ときには失敗からの学びも重視します。

浅井 「誰だって失敗した直後は苦しいものです。そんな中でもメンバーには、“その先を見る”ことを指導しています。ゴールに向けて何ができるか、どうアプローチの軌道修正をするか、いち早く考えをまとめあげること。失敗した渦中でそもそもの原因を詮索するのは逆効果です。

原因究明と再発防止は、問題が解決した後の冷静な状況でと伝え、まずは前に進むための指導に力を入れています」

そんな浅井がこれから成し遂げたいのは「自らの知識や経験を人に受け継ぐ」こと。

浅井 「日頃からメンバーには『私から盗めるものは、ひとつでも多く持って行って』と伝えています。私の長い薬事の経験の中には、成功だけでなく失敗も数多くあります(笑)。

それらを、彼ら・彼女らの引き出しにしまっておいてほしい。いつかそれらが役に立ち、結果としてメンバーの成長に貢献できるのであれば嬉しいですし、それが自分の更なる役割拡大につながると信じています」

医療の向上を目指し、日々進化する医療機器。浅井自身もまた、その進化のスピードに負けないよう、常にコンフォートゾーンから抜け出しチームメンバーともに成長しながら、創意工夫に満ちた「語り」を続けています。未来の日本ストライカーを担う製品、そしてそれを支える人材が、こうして生まれていくのです。

日本ストライカー株式会社

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