昨今のプログラミング学習ブームで、ウェブ系の開発を学ぶ人が増えてきました。しかし実際の開発業務では、フロントエンドのコードだけ書いていればいいというわけではありません。
バックエンドの処理やデータベース構造も意識する必要がありますし、サーバ構成を含めたインフラやネットワーク、昨今ではセキュリティや個人情報保護についてもこれまで以上に考慮が必要でしょう。
各種のアルゴリズムを理解するためには数学の知識も不可欠であり、これらの知識を実務だけで勉強するのはかなり大変です。
しかし基本情報技術者試験の勉強をすれば、ウェブの技術から数学まで、システム開発に必要なすべての領域について網羅的な知識が自然と身につきます。特に大学でITを勉強する機会がなかった人にとっては、広範囲の知識を習得する最も効率的な方法ではないでしょうか。
ITエンジニアになったからには、フロントエンドからバックエンドまで担当できる「フルスタックエンジニア」になりたいという人もいるかと思います。マルチな分野で活躍する人材になるためにも、一通りの知識が勉強できる情報処理技術者資格を勉強しておいて損はありません。
(2)海外でも役に立った!
わたしがニュージーランドの会社でプログラマをやっていたとき、最も「勉強しておいてよかったな」と思った資格が情報処理技術者試験でした。
といっても、就職活動で「わたしは基本情報技術者の資格を持っています!」とアピールしたわけではありません。海外の面接官は日本国内の資格のことなんて知りませんからね。役に立ったのは、試験の勉強を通じて得た基礎知識にほかなりません。
入社試験ではコーディングテストを受けるだけではなく、データ構造やアルゴリズム、プログラム設計についての説明を求められ、資格試験で勉強した内容を活かすことができました。
また入社後、コンピュータサイエンスの学士や修士号を持っているのが当たり前の同僚たちと仕事の話をする上でも、特に情報理論や数学を幅広く勉強した経験が役立ちました。
資格に否定的な意見では「用語だけ覚えても意味がない」というものがありますが、そもそも用語を知らなければ彼らが何の話をしているのかすら理解できなかったでしょう。
ちなみに海外で働く上で英語(外国語)はもちろん必要ですが、仕事で使う言葉や表現は限られるので、さほど問題になりません。技術や知識を持っていることのほうが重要です。
(3)質の高いコードを書くための知識が身につく
仕事で書くプログラムは、ただ動けばいいというものではありません。
ほかの箇所に影響を与えないか、大量のデータが入力されたときに遅くならないか、後から処理の内容を変えやすいかなど、さまざまな点を考慮する必要があります。
こうした観点は、ただ業務でコードを書いているだけではなかなか身につきません。しかし情報処理技術者試験の勉強を通じて一気に覚えてしまえば、自然と品質を意識したプログラミングができるようになります。
目の前にあるコードの処理速度が速いのか遅いのかを判断するには「計算量オーダー」の概念が必要ですし、保守しやすいプログラムを設計するには「モジュール結合度」などの考え方を知っておかなければいけないのです。
「SQLインジェクション」「クロスサイトスクリプティング」などのサイバー攻撃方法を知らなければ、安全なアプリケーションを作ることもできず、特殊文字をなぜエスケープするのかの理由も理解できません。
「試験のための勉強なんて実務で役に立たない」という意見がありますが、わたし自身はプログラマ時代、質の高いコードを書くために勉強した知識を活かせていた自負があります。試験の内容をただ覚えただけで終わらせるか、日々の仕事に役立てられるかは自分次第ではないでしょうか。
というわけで、情報処理技術者試験は、駆け出しのエンジニアがITのエキスパートになるために必ず役に立ちます。受験を考えている方は、否定派の意見に惑わされず、合格に向かって迷わず勉強していってください!
【筆者プロフィール】はっしー
ニュージーランド在住のウェブライター。日本のIT業界の激務に疲れ果て、残業のない職場を求めて2014年にニュージーランドへ移住する。現地企業のプログラマーとして4年半勤めたのち退職。現在はライター業のほか、将棋教室運営、畑の草むしりなどで生計を立てている。
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