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よく「氷河期世代の就活は壮絶だった」という声を耳にするが、具体的にどう大変だったかは当事者に聞いてみないとピンとこない人もいるだろう。「1998年に三流私立大学を卒業」と自嘲気味に語る51歳の女性(ITエンジニア/年収400万円)が、氷河期世代の就活の過酷さを教えてくれた。
「当時はインターネットがまだ主流ではなく、会社へのエントリーは郵送でした」
「履歴書は当時、全て手書きが当たり前。1文字でも間違えたら、修正テープなどは使えず、全部書き直しという鬼みたいなマナーがありました」
アナログ全盛の時代で、作業の手間は今とは比べものにならなかったのだ。(文:永本はな)
意味が分からない!「女の子は何かあったら困るから採用出来ないよー」
そんな手作業を懸命にこなしても、報われることは少なかった。
「周りに聞いてもみんな履歴書は100枚くらい書いて送りましたし、それで面接まで受けられた会社は10社あるかないか程度でした」
履歴書をミスなく書くのは1枚でも大変なのに、100枚も送っていたと考えると氷河期世代の就活は怖すぎる。
「何社もの会社のパンフレットなどがセットになった物が、男子生徒にはダンボールで届いていましたが、女子生徒には全く何も来ませんでした」
これには「いきなりしっかりと差別されるんだな」と愕然としたという。この女性の場合は教職を選んだ男友達に「必要ないから」と企業のパンフレットをもらっていたそうだが、基本的には、女子学生が入手できる情報には限りがあったようだ。
「女子はひたすらに大学の求人を扱っている事務室に通って、情報を集めるといった状況でした」
就活のスタートから情報格差で不利だった上に、
「一人暮らしだったので、会社説明会の交通費もバカにならず、ただでさえメンタルや金銭面と色んな面でキツイ」
と過酷さを振り返る。そんな生活の中でさらに追い打ちをかけるように、こんな理不尽な扱いを受けたという。
「『うちは男性社員が多いから女の子は何かあったら困るから採用出来ないよー』なんて言われて、呼ばれたから行ったのに、何でそんな嫌がらせみたいな事言うのか、本当に意味が分からないと思う事も多々ありました」
ここでも男女格差があった。もちろん男子学生も苦しんでいただろうが、女子学生はさらに壮絶だったことがうかがえた。
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