男性は営業職として入社したはずが、任された仕事は事務作業だった。紙ベースの仕事が多く、パソコンでの仕事に慣れていた男性は慣れるのに苦労した。しかしそれ以上に男性を苦しめたのは、「上司の嫌がらせ」だった。
「上司を見ていないのに『目つきが悪い』『俺を睨んだ』と言われたり、2人で話していきなり『舌打ちをするな』とか、上司の勘違いなのに『嘘をつくな』と言われたりしました。そんな状況で、『自分が悪いんだ、もっと努力しないと』と、自分を責め、嫌がらせを受けながらも働き続けました」
入社から2か月後、上司から個室に呼ばれ解雇を言い渡された。「明日から会社に来るな。総務とは話がついている」と言われ、頭に来た男性は「解雇理由証明書をください」と伝えたという。
労基法上、従業員から解雇理由証明書を請求されたとき、会社は遅滞なくこれを発行しなければならない。解雇理由証明書は不当解雇かどうかの判断するための重要な証拠書類にもなる。ところが、男性は解雇理由証明書をもらうことができなかった。
「総務との話し合いで、急に『解雇を取り消す』と言われました。社長から『チャンスをやる』と上から目線で言われましたが、正式な解雇理由証明書が書けなかったからだろうと思いました」
重箱の隅をつつくような粗探しをされ、その1か月後には再び解雇に
解雇が取り消された途端、上司からの嫌がらせはさらに加速した。今までの自分のミスをエクセルで作成し、メールするように言われたという。「そこから毎日、仕事するごとに重箱の隅をつつくような粗探しをされました。他の社員なら笑って許されるようなミスでも、自分は無理やりエクセルを埋めさせられました」と綴っている。
解雇が取り消された1か月後、男性は再び解雇を告げられた。この時の出来事について男性は
「この1か月間は私を解雇にするための材料集めを行っていたんだなと理解しました。最後に社長から『訴えるもんなら訴えてみろ。こっちだってそれ相応の弁護士を準備しているんだぞ』と怒鳴られました。その瞬間、こんな会社で結果が出せないのは当たり前かと納得してさっさと辞めました。すでに次の会社の採用が決まっていたので辞める気でいましたが」
この時の男性は「自尊心をつぶされて危うく自分を見失うところでした」と当時を振り返る。そして転職した今は「研修も充実しており、良好な人間関係を築けているので大変満足しています」と語っている。
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