20分はわずかな時間でも、積もり積もれば月に(1ヶ月20日の場合)6時間以上にもなる。男性は施設長に対し、
「全員に引継ぎのための早期出社をお願いするのであれば、勤務開始時刻の変更とその分の給与を」
と求めた。しかし施設長は取り合わず、むしろこう言い放った。
「はぁ……。勤務開始よりも先に来るのは当たり前なんだから」
訴えは一蹴され、男性は「古い仕事観を押しつけられた」と語る。その裏には「給与を増やしたくない気持ち」が透けて見えたようだ。これを機に退職を決めたという。
後に男性は、知り合いづてに元職場のこんな惨状を耳にした。
「夜勤者の休みもなくなり、先日ご年配のスタッフが倒れてしまい火の車だそうです」
そもそもの人手不足があるとはいえ、労働環境を改善しないまま、残った職員にしわ寄せが行ってしまった結果だろう。いち早く身を引いた男性は、この話を聞いたときの心境を次のように書いている。
「スタッフが居なくなることでホワイトになってくれるならまだしも、更にブラックに磨きがかかったと聞いて複雑な気分です」
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