日本の企業は多くが年功序列型だ。勤続年数が長いにも関わらずビジネス経験の乏しい人材にある程度の給与を支払わなければならないのは、企業にとって重荷となる。
現在45歳の人は1974年に生まれた。第二次ベビーブーム世代にあたる。曽和さんは「受験戦争という言葉があったように、厳しい競争にさらされてきた世代でもある」と指摘。「45歳なら、まだ脳みそもギリギリ若く、新しいことをやることもできる」と鼓舞する。ただし、
「『シュリンク・トゥ・グロー、成長のために一度しゃがむ』ができるかどうか。生々しく言えば、報酬を半額にしてでも、新しい分野に新人として参入できるかが肝」
になってくるとも述べた。
新しい分野と言っても、これまでのキャリアを捨てる必要はない。曽和さん自身は、人事というキャリアを生かしてベンチャーの人事部長に転職したが、「そういう『ピボット』(軸足を残しながらの変転)がいいでしょう」とアドバイスする。
若い世代は「自分を引き上げてくれる上の人に、自分を知ってもらう努力をすべき」
今は若い会社員もいずれ早期退職やリストラの対象になる可能性がある。「会社に残りたいのであれば偉くなるしかない」が、重要なのは、自分を引き上げてくれる人がいるか見極めることだ。
「偉くなるのは誰かが引き上げてくれなければならない。なので、自分を引き上げてくれるような『上』の人がいるのかどうか、ちゃんと探して自分がどんな人間なのかを知ってもらう努力をしないといけない。『陰徳を積む』では誰も見出してくれないでしょう」
また、現在45歳以上で希望退職に応募するかどうか迷っている場合は、信頼できる上司や先輩に相談してみるのが良いとする。引き止めてくれないのであれば今後も見込み薄と判断して、応募することがお勧めだという。