コンビニオーナーが明かす“イヤホン客”の理不尽 「袋いりますか?」を無視、会計後に「ふ・く・ろ!」と激怒 | キャリコネニュース
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コンビニオーナーが明かす“イヤホン客”の理不尽 「袋いりますか?」を無視、会計後に「ふ・く・ろ!」と激怒

画像はイメージ

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「温めますか?」「レジ袋要りますか?」など、コンビニではおなじみの店員と客との間で交わされるやり取り。しかし、近年普及した「あるアイテム」のせいで、その意思疎通が困難になり、驚くようなクレームを受けるケースが後を絶たないという。

都内でコンビニ店舗のオーナーを務める加藤さん(仮名、50代男性)は、現場で起きている「イヤホン問題」について、編集部の取材に答えてくれた。

「こちらが『レジ袋要りますか?』『温めますか?』と聞いても無言なんです。そのまま会計に進むと、キレ気味に『ふ・く・ろ!』『あ・た・た・め・て!』と大きな声をあげる人がいます」

加藤さんの店では、特に朝8時から10時の通勤ラッシュ時、来店客の半数以上がイヤホンやヘッドホンを着用しているという。この時間帯、レジではこうした理不尽な光景が日常茶飯事のように繰り広げられている。(文:篠原みつき)

実は20年近く前から

店員の問いかけに、イヤホンをしている半数くらいの人が「聞こえていない」反応をするという。加藤さんによれば、こうしたトラブルは最近始まったことではない。

「実はかなり昔からです。耳の穴に入れるカナル型のイヤホンが流行りだした2000年代半ば頃からなので、もう20年近くなります。今のワイヤレスイヤホンもシリコンピースがついているものが多く、状況は変わりません」

年齢層は60代以外、ほぼすべての世代の男女に見られる現象だという。後から「袋は?」と言われると、追加で会計処理をする必要があり、行列ができている朝の時間帯には次を待つ客への迷惑にもなる。キレ気味で言われるクレームにも、加藤さん自身は慣れているようだ。

「説明しても謝っても聞こえていないので、『はい』とだけ言って粛々と会計を進めます」

手を耳に当てて聞くと、ギリギリ聞こえる声

店員の声が聞こえないだけではない。逆に、客の声が店員に届かないケースも多発している。ノイズキャンセリング機能などの性能向上により、本人は「普通の声量」で話しているつもりでも、実際には蚊の鳴くような声になっていることがあるのだ。

「何を言っているのか聞こえなくて何度も聞き直すけれど、やっぱり聞こえない。マギー審司のように手を耳に当てて聞くと、ギリギリ聞こえる声で言ってくれます。お客様はイラッとしているようですが、我々に伝わっていないんです」

こうした状況に対し、加藤さんはスタッフへの初期研修で独自の指導を行っている。それは英語の「Say(言う)」と「Tell(伝える)」の違いを教えることだ。

「『いらっしゃいませ』『ありがとうございました』もそうですが、声が小さくてお客様に聞こえていなければ、それは言っていないことと同じです。『みんな言っているのはわかるけれど、お客様には“伝わる”ように話してね』と指導しています。留学生も『SayじゃなくてTellです』と説明すると『あ〜!』と理解してくれます」

また、イヤホン客に対しては「イヤホンは耳栓だと思って気にしないように」と冗談交じりに教え、過度なストレスを感じさせないよう配慮しているという。

「新人のスタッフは実際にシフトに入ると『本当に聞こえていないんですね』と驚きますね。幸い、朝は皆さん急いでいるので、キレ気味になっても怒鳴り散らすような時間的余裕はないようです」

便利なツールも、使い方次第で周囲とのコミュニケーションを断絶させる壁となる。レジの前では片耳だけでも外すなど、最低限のマナーが求められているのかもしれない。

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