男性保育士が現場で感じる保護者の目 「子どもと過度なスキンシップはとらない」という人も | キャリコネニュース - Page 2
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男性保育士が現場で感じる保護者の目 「子どもと過度なスキンシップはとらない」という人も

「男性保育士だから」という差別

「男性保育士だから」という差別

現在の職場は30人近い職員が働いているが、男性保育士は小川さんただ一人。とはいえ、保育業務は女性保育士と同様にこなしているため、園児の着替えやおむつ替え、トイレの介助などもおこなっているという。

「園児の着替えやおむつ替えは、一日の保育の3分の1を占めると言っても過言ではないほど、何十回もおこなう作業です。状況によっては、手が足りないと思うくらい忙しさを感じることもあります。そんな中、『男性だから』と禁止されてしまうと、ほかの職員の負担が増えてしまうだけに思います」

保育士の配置人数は、日常のすべてに手助けが必要な0歳児でさえ、国の基準で「概ね3人に保育士1人」とされている。つまり、ひとりの保育士が同時に3人の乳児を世話するということ。さらに、園児の年齢が上がるにつれ、保育士の割合は減っていく。

成長とともに子ども自身でできることは増えていくが、サポートの必要な年代であることに変わりはない。そのため、着替えやおむつ替え、トイレトレーニングなど保育士の手が必要不可欠な事柄は非常に慌ただしくなる。そこでもし「男性だから女児の着替えやおむつ替えは禁止」となれば、保育が滞ることにもなりかねないと小川さんは危惧する。

「もよおすタイミングはそれぞれですから、僕以外の職員が対応できない状況だってあるわけです。その場合、女児は女性保育士の手が空くまで汚れたおむつを替えてもらえないままになってしまいます。着替えだって、汗でびしょ濡れの状態や吐瀉物がついたまま待たせることになれば、健康面や衛生面の心配も生じてきますよね。性別云々と言っていられない状況も多々あるのが、保育の現場なんです。

ただ、そんな園での様子というのは保護者に伝わりにくい。事件などを耳にして心配されるお気持ちはわかりますが、家庭で一人のお子さんをみている状況とはまったく違うということを、理解してもらえるとありがたいですね」

男性というだけで勝手なイメージを持たれ……

幸い、小川さんの職場では業務を制約されることはなかったが、それでも男性であることを意識せざるを得ない場面は多々あるという。

「一番は保護者の目ですね。直接何かを言われたことはないのですが、男性保育士というだけで内心不安に感じる保護者の方もいるのではないかと思います。なので、子どもたちから寄ってきた場合であっても、過度なスキンシップはとらないようにしています」

子どもたちからしてみれば、小川さんも大好きな先生のひとり。性別に関係なく、甘えてくる子やスキンシップをとりたがる子は多い。ただ、そんな先生と園児が戯れる日常的な光景も、男性というだけで、保護者によっては違う捉え方をされかねない。そのため、保護者の不信感につながるような行動をとらないよう、常に配慮しているという。

一方、男性というだけで勝手なイメージを持たれ、重要な話を担任である小川さんに伝えた後、別の場所で女性保育士にも伝える保護者や、持ち帰り荷物の間違いを小川さんのせいと決めつけてクレームをつける保護者もいるとのこと。

「男性は女性より目が行き届かないとか、配慮が足らなそうに思われてしまうのでしょうね(笑)。でも、そこを逆手にとれば、お子さんの失敗談やご家庭で練習してほしいことなどは、女性保育士よりも伝えやすいというのは感じます。ただ、なかには、恋愛話など立ち入った話をしてくる母親や、給料の低さについてとか、『女性ばかりの職場ってどう?』なんて聞いてくる父親もいるので、誰に対しても職員と保護者というスタンスを崩さず、割り切って接するように気をつけています」

資格を有し、保育のプロとして働く保育士たち。だが、男性は少数派ゆえに気苦労も絶えないようだ。とはいえ、性別だけで業務内容を規制されることは、「結果的に男性が働きにくい環境になってしまう」と、小川さん。男性保育士の活躍には、まだまだ課題が多そうだ。

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