トピックでは、最低賃金の非正規雇用なのに管理職や正社員と同様の仕事をやらされ、心身共に疲弊した過去を綴る人が多かった。
「時給780円で店舗運営とバイヤー。辞めたよ」
「時給950円で店舗責任者やってました。たまに本社まで行って会議出たりしないといけませんでした。本社まで片道4時間、もちろん移動時間の時給は出ません」
パートなのに法務関係、社員の超個人情報を扱う人や、時給700円台のスーパーのレジなのに数時間かかるシフト組みとシフト表を自宅で作らされた人、派遣会社のコーディネーター(非正規)で休日でも電話が来るという人は、派遣した人が現場に来ないときは「代わりに飛んでいく。後で菓子折もって謝りに行く」と綴っていた。
また、多くの人が挙げたのが、業務量が膨大な「コンビニ」だ。店舗内外の掃除、品出し、カウンターフードの調理諸々の上に、同時進行で「丁寧な接客によるレジ」をしなくてはならなず、とてもじゃないけど最低賃金ではやりきれない!と、次々に不満が書き込まれていた。
正社員だけど「時給換算したら530円」
一方、非正規雇用ばかりが辛いわけでもない。正社員であってもヒラなのに「新人研修、インターン指導、クレーム対応、謝罪、責任者がミスるとフォローできなかったことを責められる」と嘆く声もあった。「時給換算したら530円だった」など、残業代が出ずむしろ最低賃金を下回るという訴えも多数ある。
そのほかの職種としては、介護や医療関係、書店員や図書館司書のほか、自爆営業が常態化するえげつない職場エピソードも多々もあり、劣悪な労働環境のバリエーションが延々と並んでいた。しかしこれらは、一部のブラック企業の話というよりも、日本全体によくある話のようで恐ろしい。
労働問題に詳しい明石順平弁護士の『人間使い捨て国家』(角川新書)によれば、日本の賃金は主要国の中で唯一、2018年の名目賃金が1991年(27年前)の賃金より下回っている(OECD「主要国賃金比較」より)。また、日本の購買力は韓国やスロベニア、マルタ島よりも低いといったデータもある。多くの企業が人件費を削り続けた結果、人々はモノが買えずに国内消費も落ちたという悪循環を指摘していた。
トピックの書き込みは、「辞めてよかった」と、すでに退職・転職済みだと語る人が多かった。雇用者が「安く使える良い人材」を望むなら、労働者も「働きに応じた報酬が出る職場」を探すのは当然の流れだ。