先日、あるベンチャー企業の代表に、新卒採用のターゲット像を確認するため”いちばん活躍している社員”について話を聞きました。すると、「実はその社員は、面接前に採用を決めていたんです」と返ってきました。
理由を聞くと、エレベーターでたまたま面接前のその子と会い、「サイトを見て自分が代表だと認識していたのだと思いますが、『本日、面接していただく○○です!今日はよろしくお願いします』と深々とお辞儀をされました」とのことでした。
その企業は営業がメイン。第一印象と気遣いで、確かにその方は文句なしの採用です。この反面、他社の人事から”面接以外での言動”がマイナスになっているケースがあるとよく聞きます。(文:キャリアコンサルタント 坂元俊介)
トイレでの就活生同士の会話「今日は面接練習で受けにきた」
“あるある”の1つが「面接が終わった後にすぐにSNS」です。中には終了後、すぐに、面接担当者の特徴(悪口)や面接に対しての愚痴、中には「そこまで志望度高くないけど、とりあえず内定取りたいから話合わせておこう」なんてコメントがあがっていることがあるとのこと。
実際、私もツイッターで就活生が呟いているのを見ますが、「これ企業側がみると不味いだろうな」と思うものも多々あります。SNSはどこで誰が見ているかわかりません。フォロワーの中に志望企業の人がいないからと言って、不用意に書き込むと手遅れになることもあるので注意しましょう。
2つ目は「トイレでの会話」。身だしなみを整える、用を足す、面接の前後にその企業が入っているビルのトイレを使う就活生も多いのではないでしょうか。同じ面接を受けに来た就活生と会話をしたり、たまたま一緒になった友達と雑談したりというケースもあるようです。
実際、私が面接代行をした時に体験した出来事なのですが、トイレに入っていると「久しぶり!○○の選考以来だね。就活どんな感じ?」という声が聞こえて来ました。相手は
「実は外資志望だからなかなか面接も通らなくて。今日は面接練習で受けにきたんだよ」
と返答。この就活生の面接官は私ではなかったので、その後どうなったかはわかりませんが、もし私が担当していたら、彼が何を言っても嘘にしか聞こえず、間違いなく不合格にしていたと思います。
煙草のポイ捨てをした人物がどんな素敵な自己PRをしても…
ほかには「ビルの下でタバコとポイ捨て」をする学生も。ある人事担当者から聞いてビックリしたのですが、13時からの面接のため、お昼を早めに食べて会社に戻ってくると、ビルの下で何人かの就活生が集まって話をしていました。
その内の一人が、喫煙所ではないにも関わらず煙草を吸っていたとのこと。すると、タバコをポイ捨てして、靴で火を消し、そのままビルに入っていきました。その人物が、13時から面接をする就活生でした。
加えて、その子の自己PRが「他者を思いやれる」「ボランティアをした」とのことで、途中もう笑ってしまいそうだった、と話していました。もちろん、結果は不合格です。
このように、面接の出来とは関係ないところで選考の合否に影響を及ぼすことが多々あります。「どこかで誰かに見られている」という意思を持って行動をすると、思わぬところでプラスに働くこともあるでしょう。その逆もしかりです。
コロナ禍でオンライン面接が多くなっていますが、最終フェーズの面接は、対面の企業がほとんどです。ぜひ言動に気を付けて、実力を出し切ってほしいと思います。
【坂元 俊介】株式会社STORY CAREER代表取締役/キャリアコンサルタント・採用人事コンサルタント
同志社大学経済学部卒。新卒でリクルートHRMK(現リクルートジョブズ)入社。中途・新卒領域における求人広告媒体の営業に従事、その後、営業として3つの新メディアの立ち上げを行う。リーダーや大手担当を経験。Webベンチャーでのオフィス長経験を経て、30歳になるタイミングで家業の和菓子屋を継ぐとともに、企業の採用コンサルティング会社を立ち上げ、採用人事支援なども行う。リクルートの同期が立ち上げた株式会社STORYの法人化の際に、取締役に就任。大学生・第二新卒層のキャリア支援をおこなうSTORY CAREER事業部の責任者を兼任。2020年4月、STORY CAREER事業部の拡大に、同事業部を分社化、株式会社STORY CAREERの代表取締役に就任。毎年数百名の大学生・社会人のキャリア支援を行っている。