まず、多くの企業で導入されている性格検査で損をする可能性があります。性格検査は、「この状況なら、どう対応するか?」「このような画面でどう思うか?」といった質問に対して、いくつかの回答の中から自分の考えに近しいものを選ぶスタイルがほとんどです。
その結果はあくまでも「自己認知」をベースにしたものです。では、自己肯定感が低く、「自分はダメな人間だ」と過剰に思い込んでいる学生が性格検査を受けたらどうなるでしょうか。
極端な例を挙げると、本当は人並みの忍耐力があるにも関わらず、「難しい課題を与えられたときに忍耐強く取り組めるか」といった質問に「取り組めない」などと回答してしまうことがあるのです。これは企業からすればマイナス評価になります。
実際、エージェントとして支援していた学生の中には、自己肯定感が低いが故に、性格検査の結果において、複数の項目で「大いに懸念あり」と判断されてしまった方がいました。
しかし、最終面接前に人事担当者に
「自己肯定感が低いためにそういった結果になってしまっている。面接の際には、自己肯定感が低いことを踏まえた上で、質問・判断をして欲しい」
と伝えたところ、結果的に内定・入社となり、1年目からかなり活躍をされていたりします。
面接でも不利なる可能性がある。
自己肯定感の低さはもちろん面接でも不利になります。自己肯定感の低い学生から、「社会人にアピール出来るほど大したことをしていない」という相談をよく受けます。しかし、相談者の中には、スタートアップで2年近くほぼフルコミットでインターンをしていた方もいました。
それだけ長期のインターンをしていれば少しは自信を持っても良さそうです。しかし、その方はもともと自己肯定感があまり高くないことに加え、インターン先の役員たちと自分自身を比べて、「自分は何も成し遂げていないし、能力もない」と思い込んでしまっていました。
そのため、面接でもあまり自信を持って話すことが出来ず、インターン先のことを聞かれても実態より評価が低くなってしまうような回答しか出来ていませんでした。もちろん、その時点ではあまり就活も上手くいっていませんでした。
無理に「良いように見せよう」と思う必要はない。
こういう状況に陥っている方にアドバイスをすると、多くの方から「自分を実態よりも良いようにアピールするのはちょっと…」といった反応が返ってきます。
しかし、私がお伝えしたいことは「事実をきちんと認識しよう」ということです。つまり、自分の主観(過小評価フィルター)を通さず、事実を客観的に捉えることです。
具体的には、活動の成果ということでしたら「自分の活動によって、前後で何がどのくらい変化したか」を振り返ってみましょう。熱量(粘り強さ)であれば「どのくらいその活動に時間をかけたか」も指標になるでしょう。
先程のスタートアップでインターンをしていた方のように、「どうしても周りと比べてしまう」という方は、自分がいた「環境のレベル」をまずは丁寧に整理しましょう。インターンの場合なら「どんな人と働いていたのか」「どのくらいの基準を求められるのか」「卒業生はどんな企業に就職をして、どんなことをしているのか」などです。
「周りと比べて自分はダメだ」という思考ではなく、「そういった厳しい環境に身を置いてきた」「その環境でこのくらい熱量を発揮し、このような成果を生み出している」と、淡々と事実を認識することで、自分を過小評価してしまうことを回避できるかと思います。そうすれば面接でも適切にアピールできるようになるでしょう。
自己肯定感が低くても悪いことばかりではない。
ここまでマイナス面を書いてきましたが、自己肯定感が低いことは悪いことばかりではありません。
例えば、自分に自信はないけれど、「自己否定をすることで、現状に満足せず成長し続けることができる」という人もいるのではないでしょうか。
そういったポジティブな側面があることも知っておくと、「そんな自分も悪くないな」と、自分自身を受け入れることが出来るのではないでしょうか。
【プロフィール】関西学院大学商学部卒。在学中に創業期のキャリア教育系スタートアップ(株)STORYに参画。採用責任者として、約400人の面接・約50人の採用に携わる。その後、ベンチャー複数社にて新卒採用、EdTech・人材サービスの立ち上げを経験。2020年9月より(株)STORY CAREERにてキャリアアドバイザーとして活動。