「しらけ」「バブル」「氷河期・プレッシャー」「ゆとり・さとり」の4世代に分けて、当時の学生が経験したエピソードを再現している。
1960年代に活発化した学生運動後の「しらけ世代」(現在56~70歳)は、政治的に無関心な世代とされ、一人あたりの応募者数は3.4社と5世代の中で最も少ない。縁故採用も多く、紹介者の所属企業や役職により合否が分かれることもあったという。
60年代後半に発生した”空前の売り手市場”と表現されている「バブル世代」(現在50~55歳)でも、応募者数は5.15社と2番目に少ない。にもかかわらず「大量一括採用で9割の新卒者が大手企業に就職できた」という。中には
「車を一台あげるから、うちの会社に来て」
と言われたり「応募していない企業から内定通知が来た」という学生もいたと、紹介されている。
一方、バブル崩壊後の20年にわたる経済停滞の時期を指す「氷河期世代」(現在38~49歳)と「プレッシャー世代」(現在33~37歳)では、理不尽な就活を強いられる学生の描写も。企業の採用意欲が史上最低だったといわれ、大企業が次々に倒産し、リストラも盛んだった。
「『今年は女子採用がない』と言って、説明会会場で帰らされたという人もいました」
と公言はせずとも、性差別と取れる新卒採用を行う企業もあったようだ。
人口減少とともに、再び売り手市場傾向に転じた「ゆとり・さとり世代」(現在20~32歳)では、デジタルメディアを通じた採用選考の簡易化により「10社以上の選考を受ける人も多い」とされている。
その特徴の一つがWeb上の適性検査で、約85%が経験。だが、試験問題のパターンや過去問が学生間で出回り、学力測定の形骸化が懸念されているという。