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BIG4の総合系コンサルファームからアジア系ファームへ転職 なぜ安定したキャリアを捨てて新たな環境に飛び込んだのか

欧米以外の新興ファームへの転職者が増加の兆し

欧米以外の新興ファームへの転職者が増加の兆し

終身雇用が色濃く残る日本の大企業を尻目に、雇用の流動性が高まっている外資系コンサルティング業界。豊富な求人を背景に、業界内での転職でキャリアアップを果たしてランクや給与を大幅に上げている人も珍しくない。

特に監査法人傘下のBIG4やアクセンチュアなど総合系ファーム社員は引く手あまただが、最近は欧米以外の新興ファームへの転職者が見られるようになった。彼らはどんな課題意識を抱いていたのか。アジア系ファームに転職した40代の元BIG4社員にインタビューした。(構成:キャリコネニュース転職編集部)

「リスクを取らない方向」に進むBIG4への不安

――いわゆるBIG4(デロイト、PwC、KPMG、EY)といわれる総合系コンサルティングファームから、新天地を求めて転職されたわけですが、どういう動機だったのですか。

一番大きな要素は「面白そうだったから」ですね。私はあるBIG4のファームに10年ほど勤めたのですが、入社当時は従業員1,000人程度のまだ若い会社で、いろんなことが柔らかい状態にあるベンチャー気質が残っていました。

しかし、いまや従業員が4,000人近くになり、コンサル案件も増えたのでそれでも人が足りない状況です。会社の規模が大企業の域に入って来る中で、組織の統制を取るために厳しい制度も作っていかなければなりません。

また、会社として仕事が選べるようになったことはいいのですが、リスクを取らない方向に進みつつあり、かなり上位ランクのパートナーから「これ本当に取る意味あるの?」とチェックが入るようになって、冒険できる受注が制限されることも増えてきました。

――現時点の収益性に最適化しすぎると、将来の成長の芽を逃すことにもなりますね。

会社のイメージも人もいいですし、幅広い仕事もさせていただいていたので、満足していた部分もあったのですが、いまコンサルは売り手市場なので、私のところにもヘッドハンターから他のBIG4への引き抜きのお誘いをいただきました。

転職すれば給与やランクを必ず上げるという条件を提示いただいて、とてもありがたかったのですが、期待されていることや仕事の内容はどこも同じだなという感じがしました。

だったら、仕事の環境を作り直すのも大変だし、数百万円のために同じBIG4に転職する必要もないかと考えていたところ、あるアジア系のファームのお話をいただいたんです。

DXの時代には「実行機能の強い会社」が成長する

次の転職先はどこ?

次の転職先はどこ?

――新しい職場とBIG4との違いは、どこにあると感じましたか。

エグゼキューション(実行)の機能ですね。BIG4は監査法人が母体なので、クライアントとの関わり方に制限がかかってしまうところがあります。クライアントとジョイントベンチャーを作って仕事をする、なんてところもやりにくい。その点、いまの会社は自由です。

また、BIG4は上流工程がすごく強いんですが、特に前職では下流工程、ITの実行機能が弱かったんですね。システム開発の部分だけでなく、その後の保守メンテのところを含めて、これからようやく強化していこうとしているところでした。

いまの会社はまったく逆で、これまで実行機能の下流部分はすごく強かったけれども、これから上流を作ろうとしている。この先10年から20年くらいはDXの基調が変わらないとすると、実行機能のテクノロジーの部分が強い会社の方が成長するだろうと考えました。

なぜなら、上流は経験者を連れてくればできないことはないのですが、ITの実行機能は人以外の基盤やしくみづくりに積み重ねが必要なので、1、2年でできるものではないんですね。

――強い実行機能を十分に発揮させるために、上流工程に強いコンサルタントが集まって、新しい組織や案件を作っているのですか。

そうです。すでにSI(システムインテグレータ)として15年以上前から日本市場でやってきて、システム開発や運用には定評があったのですが、情報システム子会社の下請けのような形でしかビジネスができていなかったんです。

そこで私たちコンサル部隊が企業の企画部門などに入っていくことで、上流工程に食い込み、新しい案件を作りながら少しずつ知名度を上げていこうとしている段階です。

アジアのオフショア開発はコスト競争力がある

――総合系ファームの中で、実行機能はアクセンチュアが強い状況ですが、新しい会社ではどう勝負をかけているのでしょうか。

自社のオフショア体制を使って、コストメリットが出せます。アクセンチュアは世界No.1だからこそ価格も高いというクライアントも出ていて、すべての会社が使えるわけではありません。アクセンチュアやBIG4からの切り替えのお話もいただいています。

――オフショアというと、中国やインドが思い浮かびますが。

ベトナムです。私が転職したFPTコンサルティングジャパンは、ベトナム最大手のIT企業であるFPTソフトウェアを親会社に持つファームです。日本法人は2005年から事業展開してきたのですが、DX関係のコンサルティングを強化するために2019年に当社が新しく設立されました。

中国やインドはすでに単価が高騰していて、オフショアのトレンドがベトナムに移っていることは知っていたので、ヘッドハンターから「ベトナムの会社なんですが」と言われたときには驚きましたが、すぐに面白そうだなと思いました。

日本人やベトナム人の役員の方と面談したときも、ベトナムという国に対するプライドを持っていて、情熱も感じました。そして「組織をゼロから立ち上げてください」「人の採用を含めてすべて任せます」と言われて、これまたすごく面白そうだなと思ってしまったんですね。

――ただ、ご自分が面白そうと思っただけでは、安定したBIG4からの転職はご家族の理解も得られないのでは。

確かに「裁量の大きさ」で釣るのはベンチャー企業でもよく聞く話ですが、ベンチャーは倒産リスクや給与の不安があります。その点、いまの会社は親会社がベトナム最大手で、収益性も成長性も高いです。

給与も基本的に前職からアップで採っています。それでいて組織が若くて、仕事もチャレンジさせてくれる。これは珍しいオポチュニティだなと。世の中の求人の中でも、かなりレアなんじゃないかって。ここでこの会社を選んでも後悔することはないと思ったんですよね。

――後悔することはない、とはどういうことでしょうか。

うまくいけば自分の思い通りのことができるし、仮に失敗したとしても組織をゼロから立ち上げる貴重な経験が無駄になることはないので。今後のキャリアを考えれば、どちらに転んでも損になることはないんですよ。

平均年齢31歳。GDP成長率6%を超えるベトナム

今後の成長が期待されるベトナム

今後の成長が期待されるベトナム

――このタイミングで入社する楽しみ、みたいなものはあるのでしょうか。

若い組織を作り上げていくことですね。まっさらなキャンバスに、自分が理想とする制度やしくみ、事業を自由に描けることが楽しいと思える人には楽しいと思います。でも、あらかじめ安定したしくみがあった方が安心できる人にとっては、そうでないのかもしれません。

あと、私が大事にしたいと思っているのは、自由な組織カルチャーです。私が若いころのファームは長時間労働でハラスメントめいた詰め方が当たり前なところがありましたが、この会社ではそういうものを排除し、上下関係なく自由闊達に新しいことをエネルギッシュに作っていけるような風土にしたいですし、そういう風土づくりに関われることも楽しいです。

――ベトナムの将来性は、どうお考えですか。

とても期待できると思います。ベトナムの人口は約1億人で平均年齢は31歳。労働人口が豊富で、2022年のGDP成長率は6%を超えると見込まれています。IT教育が盛んで、優秀なエンジニアがどんどん輩出されています。

親日国で、日本語ができる人も多いです。当社の社員の8割はベトナム人ですが、業務は基本的に日本語で行っています。また、当社は都内に日本語学校を設けていて、エンジニアのスキルのあるベトナム人に日本語を教えています。

親会社は、米国市場と並んで日本市場を重視しているので、日本法人の存在感も大きいです。先ほど申し上げたように実行機能には申し分ないので、私たちコンサル部隊が上流から案件を作っていけば、仕事をどんどんこなせるようになっていくでしょうね。

将来は「日本にとっての市場」になる可能性も

――これからベトナムの生活水準が上がっていくと、現在の中国やインドのように人件費が高騰し、オフショアの競争力が下がってしまうのではないですか。

そういう可能性はもちろんあります。なので、低コストだけでなく、高い品質も含めてend to endでITサービスを提供できるようにする必要があります。ただ、すでにコストだけでなく技術力でも、グローバルで高く評価されつつあります。

今後は、ベトナムがオフショア拠点としてだけでなく、日本にとっての市場になりうる可能性にも期待できます。日本は人口減少と老齢化がさらに進み、国内需要が縮小していきます。そのとき国内企業の案件ばかりやっている会社は、先細りになっていくのではないでしょうか。

先日も「日本の牛肉がベトナムで人気」というニュースを見ましたが、ベトナムの所得水準が上がっていけば、我々コンサル部隊が日本からベトナム企業の案件を手掛けるようになる時代が来るかもしれない。そういう伸びしろも期待できます。そのとき、ベトナム最大手のグループ会社にあることが別の形で生きてくるでしょう。

この会社への転職に興味のある方は、グローバルウェイエージェントまでお問い合わせください。相談内容に詳しく知りたい会社名を記載するとご相談が円滑になります。

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