社員が語るDXCテクノロジー・ジャパンの社風が「大企業だけどベンチャー」な理由
先日、イングランドのプロサッカークラブ「マンチェスター・ユナイテッドFC」との提携を発表した、米DXCテクノロジー。世界70カ国以上で事業を展開し、FORTUNE 500に名を連ねる大企業をITサービスで支援するグローバル企業ですが、日本での事業展開の知名度は高くありません。
しかし同社は、ヒューレット・パッカード エンタープライズのITサービス部門と、米ITサービス大手CSCが合併して設立された経緯もあり、長い歴史と豊富な経験、大企業との強いネットワークがあります。
自らも起業経験があり、大企業とベンチャーの両方を良く知るインド人社員のSさんに、DXCテクノロジー・ジャパン(以下DXC)の独特な社風について語ってもらいました。
長年取引のある大企業にDXプロジェクトを提案
――Sさんは現在、どのようなお仕事をされているのですか。
「ストラテジック・セールス」という肩書きで、大手企業の戦略的なパートナーとして営業活動をしています。既存のお客様に対する営業が7割ほどを占め、クロスセリングやアップセリングの提案をしています。
最近は、オンプレミスをクラウド化する「Lift & Shift」や、今までCAPEX(設備投資のコスト)だったものをOPEX(事業のランニングコスト)に変えていくといったプロジェクトが多いです。
また、新しいテクノロジー、例えばAIやIoT、SaaSなどを、大きなプロジェクトで採用する前にトライアルとして使ってみませんか、といったご提案をしたり、引き合いにお応えしたりしています。
――御社は設立の経緯もあり、一流の大手クライアントと取引がありますが、安定的な運用に加えて、新しいサービスを提案しているということですか。
そうです。DXCが戦略的なパートナーとして支える企業の中には、日本を代表する大企業も多く、何十年も取引実績のある会社もあります。ただし、今後大きくなる可能性があれば、スタートアップまではいきませんが、中堅・中小規模の会社でもご支援をしています。
――Sさんが担当している特定のサービスはあるのですか。
ありません。開発系から運用系まで、幅広いITサービスを提案しています。以前はサービス分野ごとの分担が主体でしたが、現在は顧客カット、業務カットでのアプローチに注力しており、私もすべてのサービスを担当しています。
自由で柔軟な働き方はベンチャー。手厚い支援体制は大企業
――Sさんは、これまでどういうキャリアを経てきたのでしょうか。
インドの大学を卒業してすぐ起業し、米国の「2000年問題」のプロジェクトに関わっていました。それが終わってから2001年に9.11が起こって米国企業との取引がなくなり、困っていたところに、日本企業がインドでオフショア開発をし始めたので、日本語を勉強して2003年に日本に来ました。
日本に来てからは、最初はSAP系のコンサルタントとしていろんな会社を転々としていました。その後、いくつかの外資系メーカーで営業をし、半導体メーカーのカントリーマネージャーを務めた後、スタートアップ2社で働いてから、DXCにスカウトされて入社しました。
ベンチャーと大企業にはそれぞれに良さがあるので、大企業で働いた後はベンチャーに行きたくなるし、ベンチャーの後はまた大企業で働きたくなります。その点でいうと、DXCは「大企業だけどベンチャー」という社風を持つ会社と言われていますが、本当にその通りだと思いますし、自分にはとてもフィットしている会社です。
――「大企業だけどベンチャー」とは、どういう意味なのでしょうか。
私から見た意味は、ベンチャー企業の社員のように自由で柔軟な働き方ができる一方で、大企業のような手厚い支援を受けられる体制があるということです。
大企業のように、黙っていても誰かがお膳立てしてくれるようなことはありませんが、自分から関わっていけば、柔軟にやりたいことができる仕組みになっています。誰かが教えてくれるのを待っていたり、みんなが集まるのを待っていたりする必要がありません。このあたりが「大企業だけどベンチャー」と言われるゆえんだと思います。
DXCには「セルフサービス」のカルチャーがあり、入社すると社内のしくみやルール、最新のテクノロジーに関する知識まで、ほぼすべてのトレーニングをオンラインで受けることができます。コンテンツの多くは英語ですが、これを網羅的に蓄積できるところは、さすがグローバルな大企業だなと思います。
一方で、社長にも直接チャットできるほど、スタートアップのようなフラットなコミュニケーションスタイルです。大企業に入ったつもりで待ちの姿勢でいると、プロアクティブ(積極的)に自ら動き出すことを求められるかもしれません。
大手企業のCxOと直接話ができるのは貴重な機会
――営業をするうえで、DXCのよさを感じることがありますか。
小さな会社では売るものが少なく、仮に失敗してお客様を満足させることができなかったら会社が傾いてしまいます。でもDXCの場合、海外の事例が豊富にあり「どんなオーダーにも答えられる」といっても過言ではありません。ソリューションフリーなので、ある製品がダメなら別のものをご提案します、という切り替えもできます。
グローバルのパートナーシップもありますので、主要ベンダーの製品はDXC経由で調達した方が安くなる、といった場合もあります。これができる会社は国内では多くありません。オフショア開発のリソース調達にも即座に対応できます。
また、プロジェクトを通じた成長の機会が豊富です。グローバルなチームが組まれるプロジェクトも多く、例えば「あの業界をやってみたい」とか「フィンテックの新しいことをやってみたい」と手を挙げれば、デリバリーマネージャーが希望に近い配属を検討してくれます。
あとは、ネットワークですね。グローバルな社内コミュニティだけでなく、お客様である大手企業のCxOと経営的な視点からお話をさせていただくこともできます。こういう機会は小さな会社ではなかなか得られないものです。
――DXのプロジェクトが多いとのことですが、グローバルな状況を踏まえたときに、日本企業のどこに問題が多いと思われますか。
海外と大きく異なるところは、事業会社側の「人材」だと思います。大企業で予算もあり、新しいことをやりたい気持ちもある。でも、お客様側にそれをリードできる人材がいない。
日本の大企業には、必ずしも十分な社内教育体制がなく、レガシー言語しか分からないITエンジニアは、システム上の課題があってもそれをどう解決していくのか分からない。外部のSIerを頼るしかなく、自社で評価ができる人がいないんですね。
本当は社内にITをよく理解し、プロジェクトをリードできる方がいて、社内システム計画を自社で策定し、ベンダーに対して「こういうものを提案、協力してください」と具体的な依頼をする方が望ましいと思います。
この問題を埋めるために、お付き合いの長いお客様にはDXCのアドバイザリーというコンサルタントが入っています。そして中立的なベンダーとして、お客様の担当者と一緒に上流のIT戦略から課題の整理、解決策の選択肢の提示などのアドバイザリーサービスを行っています。
中途採用で重要なのは「指示待ちでないマインドセット」
――お聞きしていると、とても魅力的な会社と感じるのですが、どのようなキャリアを持った方に「うちでやってみたらどう?」といえると思いますか。
これまで個人的に何人か紹介し、リファラルで採用しているのですが、「スタートアップをやっていた」とか「英語を活かしたい」とか、自らプロアクティブにいろんな勉強をしたい方が一番フィットすると思います。そこが一番大事ですね。
逆に、指示を与えられるのを待っている方は、ちょっと難しいと思いますね。特に中途採用の場合は、セルフサービス、自分でやっていくことが大事になります。
営業の場合、もちろん数字は上げなくてはなりませんし、計画の達成を厳しく求められます。しかし、数字を達成しさえすれば、例えば全体朝礼に出席しなければならないとか、定例レポートの提出を求められるとか、そういうコミュニケーションはありません。そういった意味では、やはりスタートアップに近い感覚ですね。
――日系Slerの経験者がいいとか、外資系の総合コンサルティングファーム出身者がいいとか、そういうこともないのですね。
英語が得意ではない方も多く入って来るので、英語力は必須ではないし、テクノロジーもこれしか分からないという方もいるので、ポジションにもよりますが、幅広い技術力も必須ではありません。やはり「マインドセット」が一番重要ですかね。入社できたとしても、その後成長して気持ちよく働けるかという意味では、そこにひとつのラインがあると思います。
――自己責任で数字に厳しい外資と聞くと、すぐにクビになってしまうとか、そういう心配をしてしまいますが。
私がリファラルで人を紹介するときには、できるだけ複数の可能性を感じて入社していただくようにしています。特定のプロジェクトのためだけに採用するということはありません。選考の時点で配属を予定した部署やプロジェクト以外でも働いてもらえそうだ、といった人材を紹介するようにしています。
逆に「いまはこの仕事で入るけれども、半年後、1年後には違うプロジェクトでも働きたい」というオープンなマインドセットで入った方が働きやすいでしょう。「私はこのジョブで入ったので」というスタンスだと、可能性が狭くなります。
英語力は「必須ではないが、あった方ができることが増える」
――外資系企業ですが、英語力は必須ではないのですね。
英語は入社してから学ぶこともできますので、必須ではありません。入社の基準は、他の普通のIT企業とあまり変わらないと思いますが、「入ってから成長できそう」というマインドセットやコミュケーション能力は重視します。
ただ、それすらも決定的ではなく、英語力が得意ではなくても何十年もDXCで働いていて、お客様にアサインされ続けている方もいます。そういう意味では、本当に懐の深い組織といえると思います。
一方で、社内教育のコンテンツは英語ですし、社内のネットワークを活かすにはある程度英語が使えた方が、DXCで働くメリットを引き出すことができると思います。例えば、コロナ禍でリモートワークがメインになったので、コミュニケーションさえできれば、働くプロジェクトの地域にはバリアはありません。
海外で働きたいが、家庭の理由などでできない方でも、DXCに入るとグローバルな環境で働けるし、日本にいながらグローバルのプロジェクトに携わることも可能になります。
――最後に、Sさんからいま転職に迷っている方へメッセージをお願いします。
いろいろな会社を経験してきて、第三者的に見ても、DXCはとても良いところの多い会社です。日本の大企業のお客様に安定的にサービスを提供しながら、新しいテクノロジーを勉強できる環境があるし、興味のあるプロジェクトにも自分から手を挙げて参加することもできる。
もし分からないことがあれば、社内チャットで質問すれば詳しい社員が答えてくれます。自分から求めさえすればサポートを受けられる体制が整っています。日本に何万人も社員がいる大手で働くよりも、会社とともに成長している感覚が味わえると思います。