太陽ホールディングスで「将来の経営幹部」となる第二新卒の採用強化 安定した経営基盤の上でベンチャー企業のように挑戦 | キャリコネニュース
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太陽ホールディングスで「将来の経営幹部」となる第二新卒の採用強化 安定した経営基盤の上でベンチャー企業のように挑戦

太陽ホールディングスグループ初の技術開発センター「InnoValley(イノヴァリー)」(埼玉県嵐山町)。エレクトロニクス事業における需要と社員の増加を背景に、半導体市場の回復に合わせ更なる成長軌道に乗せることや、人的資本経営を実現し企業価値を高めることを主な目的に、2024年4月に開設した。

太陽ホールディングスグループ初の技術開発センター「InnoValley(イノヴァリー)」(埼玉県嵐山町)。エレクトロニクス事業における需要と社員の増加を背景に、半導体市場の回復に合わせ更なる成長軌道に乗せることや、人的資本経営を実現し企業価値を高めることを主な目的に、2024年4月に開設した。

総合化学メーカーの太陽ホールディングスは、1953年に印刷用インキメーカーとして創業しました。1970年代に電子部材向け絶縁材インキ「ソルダーレジスト」の開発に成功し、現在は世界シェア1位を誇っています。2001年には東証一部(現プライム市場)へ上場しました。

2010年代には医薬品事業に参入し、グループ全体の売上高は直近10年間で2倍以上に成長。新規事業にも積極的に取り組んでいます。そんな同社では、いまどのような事業を行っており、どんなキャリア採用に注力しているのか。人事部グループ採用戦略課長の伊集院裕子さんに話を聞きました。(構成・文:水野香央里)

主要製品のソルダーレジストは世界トップシェア

太陽ホールディングス 人事部グループ 採用戦略課長 伊集院裕子:大学卒業後、住友不動産に入社。人事労務領域から本社/子会社採用まで幅広く従事。その後、ダノンジャパンで企業の変革期における組織開発/人材開発/採用領域を担当。2016年に太陽ホールディングスに入社。現在は人事部グループ採用戦略課長として、中途採用はじめグループ全体の人材戦略を策定・推進している。

太陽ホールディングス 人事部グループ 採用戦略課長 伊集院裕子:大学卒業後、住友不動産に入社。人事労務領域から本社/子会社採用まで幅広く従事。その後、ダノンジャパンで企業の変革期における組織開発/人材開発/採用領域を担当。2016年に太陽ホールディングスに入社。現在は人事部グループ採用戦略課長として、中途採用はじめグループ全体の人材戦略を策定・推進している。

――御社の事業について教えてください。

大きく3つの事業を行っています。1つ目は当社の主力事業である電子デバイス向け化学品の開発・製造販売を行う「エレクトロニクス事業」、2つ目は医療用医薬品の製造や販売、製造受託を行う「医療・医薬品事業」、3つ目はICT事業、ファインケミカル事業、エネルギー事業、食糧事業などの新規事業を行う「ICT&S(Sustainability)事業」です。

エレクトロニクス事業の主力製品であるソルダーレジスト(SR)は、プリント基板の表面を覆い、はんだ(ソルダー)が不必要な部分へ付着するのを防いで回路パターンを保護する絶縁材で、パソコンやスマートフォン、自動車などさまざまな電子デバイスに用いられています。日本のみならずアジア各国を中心に生産や販売、サービスの拠点を設け、液状およびフィルム状SRの市場で世界トップシェアを誇っています(富士キメラ総研調べ)。2023年度には連結売上高が初めて1,000億円を超えました。

太陽ホールディングスグループの3つの事業

太陽ホールディングスグループの3つの事業

現在当社が目指しているのは、SRにとどまらない「グローバルな化学メーカーとしての100年企業」です。安定収益を新しい事業へ積極的に投資することで第2、第3の柱を創出し、さらなる成長を目指しています。

医療・医薬品事業は、連結売上高の3割を占めるなど第2の柱として成長していますが、まだまだ伸び代があるため、引き続き力を入れて太い柱にしていきます。新しい事業領域の食糧やエネルギーは、将来確実に伸びていく領域です。ニーズが高まったときにスピーディーに対応できるよう、当社のバリューにもある「先駆ける」ために、まずは小さく始め、徐々に体制を整えていきます。

――現在はどんな方針で事業を推進しているのですか。

2021年6月に長期経営構想「Beyond Imagination 2030」を発表しました。この中で、基本方針の筆頭として「多様化する組織や社会に対応する自律型人材の育成・活用」を掲げています。

代表取締役社長の佐藤英志は、社内外で「企業の差別化を生む最大の要因は人だ」と発信しており、その考えのもと、人材に対する惜しみない投資が行われています。「仕事のやりがい」や「職場環境」「公正な評価・給与」に非常にコミットしており、あらゆる面で人材を大切にする経営が実践されています。こういった姿勢は、私たち社員一人ひとりが実感できるものになっています。

当社の最終面接には必ず佐藤が同席するのですが、当社のような規模の会社では珍しく、候補者の方はみなさん驚かれます。会社の方向性や考え方を直接トップの口から聞ける貴重な機会だとポジティブに捉えてもらっているようです。「まずは人」という社長の人材に対する考えが、仕組みや制度としてさまざまな形で現れています。

「楽しい世界は、楽しむ人がつくりだす。」

太陽ホールディングスのビジョン

太陽ホールディングスのビジョン

 

――基本方針にある「自律型人材」とは、どのようなイメージなのでしょうか。

当社では自律型人材を「自ら目標を設定し、その目標を達成するためのプロセスと成果の創出を楽しむことができる人」と定義しています。2021年5月に、一層の企業価値向上を目的としてブランドステートメント「楽しい世界は、楽しむ人がつくりだす。」を制定していますが、これを具体化したものといえます。

簡単にクリアできる目標では、本当の意味での達成感を得られず、当社の言葉でいうと「楽しむ」とはいえません。ちょっと難しそうなハードルの高い目標を設定し、頑張れば手が届きそうなところを目指して、「じゃあどうやって頑張ろうか」とワクワクしながら試行錯誤できる方が、当社の社風に合うと思います。

ブランドステートメント「楽しい世界は、楽しむ人がつくりだす。」

ブランドステートメント「楽しい世界は、楽しむ人がつくりだす。」

もちろんチャレンジするときには「失敗したらどうしよう」という不安がつきものですが、ブランドステートメントにも「失敗してもいいじゃないか。」とあるように、当社は失敗への許容が非常に大きく、叱られる文化は全くありません。

むしろ、どんどんチャレンジして、その結果、失敗があったとしても、それを踏み台にしてさらに成果や成功を目指せます。そういうプロセスを本当に楽しいな、やりたいなと思っていただける方が、私たちが求める自律型人材です。

――これまでにどのような挑戦の例がありますか。

例えば「将来は社長になりたい」という大きな目標を持って入社し、30代半ばで子会社の社長に就任した社員がいます。また、「海外で働きたい」と希望を出して入社し、2-3年目で海外出向を叶えた例もあります。

現場レベルでは、若手の女性社員の「作業着をもっと素敵なデザインにしたい」のひとことから壮大な「作業服チェンジプロジェクト」が始まり、実際にかっこいい作業服を実現させたこともあります。自分で「こうしたい」と思ったら、まずは提案して、それを検討し、責任を持って成果を出すことを面白がることのできる会社です。

キャリア採用の場でも、候補者の方にはこのあたりの価値観を特にていねいに説明していますし、「自分も同じ価値観を持っている」「それを発揮して仕事できるなら楽しそうです」と応えてくださるかどうか、マインドフィットやカルチャーフィットは採用の重要な基準になっています。

現時点でのスキルより「マインドセット」を重視

――どのような職種のキャリア採用に注力されていますか。

現在は研究職や開発職の採用は新卒が中心で、キャリア採用は管理部門をメインに行っています。昨年末からは第二新卒採用を始めましたが、通常の第二新卒とは少し異なるハードルが高めの採用で、新卒の就活時には当社を知る機会を持ち得なかった、ゆくゆくは経営層を目指したいという人材の獲得を目的としています。

当社の認知度は大手に比べるとまだ低いこともあり、新卒時にはBtoBや化学業界をターゲットとしていなかった方を、1-2年の社会人経験を経た段階で幹部候補として採用しようという取り組みで、将来的には次世代の経営層を担っていただきたいと考えています。

キャリアパスの一例としては、企業組織全体を知るために人事や経理からスタートし、経営企画や子会社の要職を経て、最終的には本体の経営層を目指す、といったジョブローテーションを想定しています。キャリアイメージを明確に持ち、自分自身でキャリアパスを組み立て、経営層を目指せるマインドを持った方を採用したいと考えています。

新卒・中途を問わず採用の重要な判断基準となっているのが、当社のバリューとして掲げている4つの要素、「楽しむ:未来を描き、自ら動く。」「誠実:素直に向き合う。将来に誇れる判断をする。」「スピード:まず動く。先駆ける。」「コミュニケーション:相手の想いを聴く。意思を言葉にして伝える。」です。

こういったバリューに共感してもらえるか、高いマインドセットがあるかを重視しています。自分で目標を持ち、優秀で学習意欲があれば、現時点でのスキルや経験の足りない部分は早々にキャッチアップできると考えているからです。

主要製品は世界トップシェア

主要製品は世界トップシェア

――キャリア入社組でも柔軟にキャリアパスを描くことができるのでしょうか。

可能です。自分自身でキャリアを構築できることは、当社の特徴の1つです。部門間の垣根が低く、研究開発部門から人事や経理への異動などジョブローテーションが活発に行われています。入社当初の配属先が管理部門であっても、希望すれば他部署へ異動することができますし、さらにそこから経営層を目指すこともできます。実際に当社の役職員の7割はキャリア採用者で構成されています。

例えばある社員は、キャリア採用で入社して経営企画部に配属され、その後IRを経て財務やM&Aプロジェクトを担当し、現在はグループ会社の経理財務部長として、中期経営計画の策定やFP&A(財務計画・分析)、M&A、IPO推進などを任されています。30代で入社し、開発部員として経験を積んだ後、研究本部の課長としてエレキ・医療分野の新規テーマ企画を担当している社員もいます。

「自らのキャリアを主体的に構築できる」とうたう会社は他にもありますが、実際はプロセスが複雑だったり、なかなか思うようにいかなかったりすることも多いと聞いています。当社の場合は、キャリア採用で入社した社員が「本当にそうなんですね」と驚くほどキャリアの自由度が高く、明確に差別化が図れる点といえます。

社員食堂やレクリエーション支援にもこだわり

――福利厚生制度にはどんなものがありますか。

さまざまな制度を用意していますが、当社の場合、それぞれに「こういう人材になって欲しい」「こんなふうに生かして欲しい」という、自律型人材の育成・活用に関わる明確な意図があるところが特徴といえます。

例えば、月2万円までの図書購入補助制度がありますが、これは「人は学び続けなくてはならない」という考えからであり、そのための有用かつ手軽な方法として読書を勧めています。より多くのもの様々な人の考えに触れ、インプットの量を増やして欲しいという思いもあり、トップからも毎年「本をたくさん読みなさい」というメッセージが発信されています。

自社運営の社員食堂も全拠点に完備されており、「従業員の創造力を高め、 心身の健康に資する職場環境づくり」の一環として非常に力を入れているもののひとつです。単に食事を提供する場としてだけではなく、「よりおいしいものを五感で味わい想像力を高める」「部署を超えたコミュニケーションの場」などのねらいから、食材やメニュー、内装、家具のすべてにこだわった食堂を実現しています。

社内イベントも「楽しむ」という価値観を浸透させる仕掛けのひとつとなっています。例えば、社員旅行は会社の費用で家族も一緒に参加することができますが、これは当社が大切にしている「公正な評価」に、人事評価だけでなく、地域や家族、社会からの評価を含んでいるからです。子どもや配偶者のほか、両親と一緒に参加する社員も多くいます。

太陽ホールディングスの福利厚生(一部)

太陽ホールディングスの福利厚生(一部)

レクリエーション制度では、プロフェッショナルとしての仕事の向き合い方に目を向け、部署内のコミュニケーションの活性化を促して欲しいという思いから「非日常の体験」(教養を高め、感性が養われる活動)をコンセプトにしています。チームビルディングの役割も兼ねており、1人2万円まで費用が支給されます。川下りをしてバーベキューをしたり、普段は行かない劇団の演劇を見に行ったり、工芸品の制作を体験するなど、さまざまな活動が行われています。

――御社への転職を考える方へのメッセージをいただけますか。

当社の採用上の課題は、認知度がまだまだ低いことです。転職エージェント経由で入社した社員のほとんどが、紹介されるまで当社の存在をまったく知らなかったそうですが、みなさん入社されると、「こんないい会社があったのか」と口を揃えてくれます。人材獲得競争が激しくなる中、当社でもTVCMなどで認知度向上を図っています。

当社の給与水準は業界上位に位置しており、上場企業のなかでも上位10%に入る水準に設計されているため、待遇面でも他社に引けを取りません。なによりも仕事のやりがいという意味で、自分でキャリアを作っていける自由度の高さや、提案したことを形にできる環境は、この規模の会社では他になかなか見られません。

安定した経営基盤の上でベンチャー企業のようにチャレンジできることは、大きな仕事のやりがいにつながっていると、社員の声からも感じています。自己実現の機会と、それを支える充実した環境の両立という当社の魅力を、より多くの人に知ってもらいたいですね。

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