『13歳のハローワーク』が導いた自身の使命。キャリアのプロが伝えたい想いとは
マネジメントソリューションズ(以下:MSOL)の人財部で部長を務める上條 淳。自身の経験やある本との出会いから、「キャリアの自己決定」の重要性を痛感した上條はその意義を伝えようと、社内のキャリア研修の企画・運営に携わりました。自身の過去を振り返りつつ、キャリア支援にかける想いや今後の展望を語ります。【talentbookで読む】
すべての「働く人」を支えたい──キャリア選択の中で見つけたひとつの解
新卒のころは大手住宅設備機器メーカーでシステムキッチンなどの営業を担当していました。仕事自体は楽しかったのです。ただ、今思うとシステムキッチンも家を構成する重要な部分だと思うのですが、 当時のわたしは視野が狭く、自分が担当しているのは「家の中の部品のひとつ」でしかないのではないか、お客さまにとっては「付いていれば良い」という存在なのではないか……と感じてしまっていました。
そこで、もっとお客さんに接したうえで満足してもらえるものを提供したいという考えが生まれ、別のキャリアを模索し始めました。その当時の1999年ごろは、介護保険が導入されたときでした。そのため、介護福祉に興味を持ち、いずれは福祉施設で高齢者のカウンセリングをしたいと考え始めたんです。まだまだこれからキャリアを積んでいく年齢でしたので、会社を退職し、大学院の健康福祉学科に進学することにしました。
福祉領域には高齢者、障がい者、児童の3つ領域があり、それらを研究しなければいけません。福祉の規定の中にある、厚生労働省が出している厚生労働白書の中には「すべての国民が健康で文化的な生活を?」という記載があります。しかし、上記3つの福祉が対象としている領域は多くても6割7割くらいで、すべての国民が対象ではありません。では、すべての国民とはなんだと考えた時に、すべての「働く人とその家族」だと思ったんです。
そこで福祉の領域に留まらず、すべての働く人を支える仕事がしたいと思い、大学院卒業後は人材派遣会社へ入社しました。
人材派遣会社では、法人営業職とスタッフコーディネイト職に従事し、派遣で働く人のサポートをしている中で、村上 龍氏の『13歳のハローワーク』という本に出会いました。その本を読んで、誰かがキャリアについて考える時に「こんな本がそばにあったらいいな」「キャリアのことを知らない人にこの本のように道筋を教えてあげたい」と思い始め、キャリアについて本格的に学びたいと考えるようになりました。
そこで興味を持ったのは、まだキャリアについて考えたことも考える機会もない「若年層」のキャリアです。そして、米国CCE,Inc認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラー資格を取得しました。
その後人生をかけてキャリア選択をしている方の支援がしたいと考え、30代以上の層を中心に転職支援をしている人材紹介会社に入社しました。
上條さんがいてくれてよかった──この言葉がMSOLへの入社を後押しした
その人材紹介会社ではミドル層のキャリア支援はできたのですが、入社当時に思い描いていた若い人の支援ができていないと感じ始めたんです。そんな時、MSOLから「MSOLで採用を担当してみませんか?」と声がかかりました。
実はその当時、人材紹介会社でMSOLを担当する中で、ミッションやバリュー、方向性が自分と合っていると感じていたんです。とくに惹かれた点が3つあります。
まず1つ目はプロジェクトマネジメント業務に対して代表も社員も熱い想いを持っていたこと。2つ目にクライアントや担当者への真摯な姿勢。通常、人材紹介会社は紹介先の会社からすると「人を紹介してくれる」だけの会社になりがちですが、MSOLは「上條さんがいてくれてよかった。あなたのおかげで会社が成長した」と言ってくれたのが嬉しかったんです。
そして3つ目が、当時のMSOLには言葉自体はなかったものの、自分で自分の「キャリア」を考えるべきという考え方です。 MSOLはすごくいいな、こんな会社で働くチャンスがあればいいなと思い、入社を決めました。
キャリア研修で伝えたい「キャリアマネジメント」の重要性
2020年8月現在は人財本部人財部で部長を務め、キャリア採用チームと新卒採用チーム両方のマネジメントを担当しています。 実際の採用関連業務はキャリア採用を中心におこなっており、書類選考や一次面接、採用にまつわるキャスティングなども担当しています。
また本格的な実施はこれからですが、採用の仕事とは別に新卒や2~3年目の若手社員、学生に向けた社内外のキャリア研修を行っています。
もともとMSOLにはキャリア研修がなかったのですが、私は以前より「自分自身でキャリアマネジメントする必要がある」と感じていたんです。 そこで会社側に研修の開催を提案し、企画やコンテンツ作成を徐々に進めてきました。具体的には、「キャリアとは何か」「キャリア戦略とは何か」「キャリア形成の考え方」などをグループワークを交えながら実施したいと思っています。
研修対象も、新入社員向け、2~3年向け、ミドル社員向け、シニア社員向け、また一人ひとりに対する個別キャリアカウンセリングなど、幅広い社員を対象とする予定です。
私が考えるキャリアは「自分でマネジメントするもの」です。そしてキャリアをマネジメントするということは、自分の人生をマネジメントすることでもあります。それは当社が掲げる「Managementの力で、社会のHappinessに貢献する」ことにつながっているなと思っています。
私は2020年現在49歳ですが、大学生のころは大手企業に入ったら一生安泰という考えが世間一般にありました。しかし、今はそんなこともなく、当時人気だった大手メーカーですら厳しい状況。 『13歳のハローワーク』を読んだとき、キャリアは自分で考えなければならないものだと思っていましたが、その考えは長い時を経て確信に変わってきました。
キャリア研修で参加者にはいつも、「学生でも若くても年配でも、キャリアは考えなければならないもの。いつ考え始めても遅くないから、考え始めたことが重要で、具体的なことはこれから考えていけばいいんだよ」と伝えています。
やはりキャリアに悩んでいる方はMSOLの中でも多いと思います。とくに20代の社員は10年後、20年後のキャリアが見えていないことがほとんどだと思います。まずは「キャリアについてどう考えれば良いのかわからない」ことを認めてあげた方がいいんです。
日々キャリアについて伝えるときに大切にしているのは、理論と自分の経験をあわせてコンテンツに落とし込んで伝えることです。経験だけの話だとただ言っているだけの人になってしまいますし、理論だけだと実例がなくてつまらない。混ぜ合わせてコンテンツ化していくのが良いかなと思っています。
基本的にキャリアは教えてもらうものではなく、人と話して自分の中にあるものを再発見していく行いだと思っているので、その方法を教えることができればなと思います。
“人生100年時代”にすべての人が幸せに働ける支援。全年代に研修を。
私が考えるキャリアは「自分でマネジメントするもの」です。そしてキャリアをマネジメントするということは、自分の人生をマネジメントすることでもあります。それは当社が掲げる「Managementの力で、社会のHappinessに貢献する」ことにつながっていると思っています。
その観点からも、キャリア研修を今後も積極的に実施したいと考えています。2020年現在までに実施したキャリア研修はまだまだ発展途上の段階です。今後本格的にプログラムを拡張していく予定ですが、具体的には、「キャリアとは何か」「キャリア戦略とは何か」「キャリア形成の考え方」などをグループワークを交えながら実施したいと思っています。
また、研修対象も、新入社員向け、2~3年向け、ミドル社員向け、シニア社員向け、また一人ひとりに対する個別キャリアカウンセリングなど、幅広い社員を対象とする予定です。
数年前から”人生100年時代”と言われるようになりました。これはつまり、50歳の人があと10年で定年だと思っていたらあと30年以上サラリーマンをしなければいけないということ。そうなれば、あとの30年をどう生きていくのかを考えなければいけないので、中高年にとってもキャリア研修は大事だと思っています。
また、まだアイディアの段階ですが、いずれは仕事を頼みたい人(企業)と仕事を探す人(企業)のマッチングプラットフォームをつくりたいと思っています。
昨今の新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増え、中高年も今後のキャリアに悩んでいるという記事を目にするようになりました。 そういった記事を見ると、やはり年齢に関わらず、キャリアはどの人でも真剣に考えた方がいいのだと感じますし、そもそもミドル層向けのマッチングプラットフォームがあまりないので必要性を感じています。
繰り返しになってしまいますが、今は若い方だけでなく、40代でも50代でも誰もが自分のキャリアに真剣に向き合い、考えていかなければいけないと思っています。 すべての人が幸せに働くために、キャリアマネジメントの支援をしていきたいです。
株式会社マネジメントソリューションズ(MSOL)
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