思い立ったら即行動!DTK活動に取り組む自称“せっかち”な社員の奮闘記
出光興産の調達部に所属する藁澤 萌は“せっかち”を自称し、思い立ったら即行動で動いてきました。全社的な業務フロー・働き方改革においても、その行動力は遺憾なく発揮されています。調達部で行なわれた業務改革の内容や目に見えた変化について、藁澤が語ります。【talentbookで読む】
研究職から調達部へ──場所が変わってもプロフェッショナルを目指す
藁澤は2019年5月から出光興産の調達部全社調達課に所属し、全社の資材調達や工事調達などを担っています。
藁澤 「今は500万円以上の資材調達や工事調達などを他部署から依頼されています。さまざまなサプライヤー様による競合関係があるため、『公平・公正』という調達部のモットーを軸に、競争の機会が均等になるよう環境を整えています。
その他に、契約の交渉なども私の担当業務です。他部署の方とコミュニケーションを取りながら、欲しいものが手に入るようにQCD(品質・コスト・納期)を意識して業務を進めています」
藁澤は2012年に昭和シェル石油株式会社へ入社し、研究所配属となりました。
藁澤 「大学院でCIS太陽電池というシリコン系ではない太陽電池の研究をしており、CIS太陽電池を国内で唯一商品化している昭和シェル石油の100%子会社であるソーラーフロンティア株式会社で働きたいと考えて入社しました。希望どおりの配属となり2年間働いたあと、販売企画へ異動して、1年ほど太陽電池の付属周辺機器の企画をしていました。
その後、産休・育休を挟んでからは、入金や債権の管理などの営業サポートをする管理部門に2年ほど勤務しました。2回目の産休・育休を経て、調達部へ異動しました」
研究職としてキャリアを歩んでいきたいと考えていたため、研究職以外への異動が決まったときは悔しい気持ちもあったと振り返る藁澤。しかし、すぐに気持ちを切り替え、与えられた仕事のなかでやりがいを見つけていきました。
藁澤 「本社での業務は未経験でしたが、周囲の方々が時に厳しく、時に優しく指導をしてくださったので、目の前の仕事に、がむしゃらで頑張れました。私の強みは何にでも興味を持ち、楽しさを見出すことだと思っているのですが、昔からそうだったわけではありません。異動をきっかけに、自分はどこでもやっていけると思うようになりました」
ただし、どこでもやっていけると思う反面、藁澤はプロフェッショナルになりたいという気持ちも持っています。
藁澤 「調達部には工事調達のプロフェッショナルがいて、その方を師匠として自分の実力を高めていきたいと思っています。専門領域を深めながら、どこでも必要とされて仕事を任せてもらえるような人材になりたいですね」
縦割りではなく課を横断した取り組みを普及させる小集団活動を実施
藁澤は調達部の担当業務に加え、出光が全社員で取り組む業務フロー・働き方改革である「DTK(だったらこうしよう)プロジェクト」の活動にも積極的に取り組んでいます。
藁澤 「DTKのように人を巻き込んで物事を進めていくことが比較的好きです。たとえば調達部は、出光・昭和シェルが統合した部室ですが、その部室の『真の一体化を目指そう』と小集団活動を推進してきました。今までは課で縦割りになっていて、隣の課にいる人の名前もうろ覚えのような状態でしたが、課を横断したグループでの取り組みを進めました。
まずは『自己紹介コンペ』といった企画からはじめ、その後、業務改善提案に移行していきました。DTKのメンバーはファシリテーターとして各グループに入っていましたが、最初は発言する人もしない人も居る状態でした。
私たちDTKのメンバーは、全員参画を達成したかったため、様子を見ながら意見を促していくことでうまく全員の巻き込みができたと思っています」
DTK活動を通して、藁澤自身もコミュニケーションの取り方を学びました。
藁澤 「私は少しせっかちな一面があるので、意識しながらコミュニケーションを取っていました。『それで、この会議の結論は?』と繰り返してしまいがちですが、それでは感じが悪いので封印しました。
こうした意識のなかで、さりげないファシリテーションが大切だと学んだのです。ファシリテーターはあくまでファシリテートするだけであって、意見を言うのはみなさんだと意識しながら進めていきました」
育児があるため会社にいる時間が人より短く、仕事でしか周りと関わることがなかった藁澤も、小集団活動を通して周りとの関係性を深められました。
藁澤 「たとえば自己紹介コンペでは、調達部のメンバーが最も親しみを感じたチームに投票する事で、1位を決めることにしました。私がファシリテートしたグループが、大変仲良くコミュニケーションを取りビンゴ方式で自己紹介をして、見事優勝を勝ち取ってくれたのはとても嬉しかったです。
グループの人たちが仲良くなったことが目に見えてわかりましたし、他のグループでもお互いの人となりがわかるまで理解し合えていたので、真の一体化への第1歩が踏み出せたと感じました」
いち早く業務改革に取り組み、DTKの先駆けとなる
藁澤は、DTKプロジェクトのメンバーとなる前から自発的に業務改革を進めていました。そのひとつが、捺印簿の廃止です。
藁澤 「昭和シェル石油では、そもそも捺印簿(捺印を管理する帳簿)がない部署に所属していました。調達部でも最初はエクセルで管理していたのですが、ある日から黒い革張りの捺印簿を渡され、それで申請をするように言われたのです。
さらに、今までは部長にメール承認をいただければ良かったものが、課長、次長、部長のように何人もの捺印をもらわなくてはならなくなりました。それが非効率だと感じ、変えたいと考え始めました。
法務部が出している公印取扱規定に『もし変えたければ法務に相談してください』と書かれていたので、思い立ったが吉日で、すぐ法務部に相談しました。最初は法務部の方も驚いていましたが、変えていいなら変えさせてくださいとお願いしました」
法務部と確認しながら調達部内での細則を作成し、1カ月弱で捺印簿の廃止を実現しました。これは「DTK第1号」ともいえる、DTKプロジェクトの先駆けとなる行動だったのです。
藁澤 「せっかちの産物ではありましたが、捺印簿について課題を感じている人は意外と多かったようで、DTK推進室を通じて全社に共有してもらったところ思った以上に反響がありました。一石を投じるきっかけになれたのは、嬉しいです。
違和感を持っても多くの場合はそのまま進めてしまいがちだと思いますが、私は違和感があったらまず変えてみるというスタンスを大事にしています」
現在藁澤は、取引先リストの統一に向けて動いています。出光興産と昭和シェル石油のどちらの取引先リストにも決まりごとがあるため、どうすり合わせていくのかを検討します。
藁澤 「道のりは長いのですが、みなさんの納得を得られるように、理解を深めて一個一個進めていきたいと思っています。捺印簿の廃止を進めたときは、結果を急ぎすぎて配慮に欠けたと感じる部分が多少なりともありました。
もう少し捺印簿の文化を大事にしている方々の気持ちに配慮して、事前にアナウンスしながら進めれば良かったと反省しています。取引先リストの統一は、関係する方々の気持ちに配慮しながら進めていきたいと思っています」
DTK活動による達成感を得やすくして、さらなる業務改革につなげたい
藁澤はDTKプロジェクトの良いところとして、しっかりと活動が認識され社内に変化が起きていることを挙げます。
藁澤 「各部室にもDTK活動は伝わっていますし、DTK推進室からキャッチーな改善策がたくさん出ているのが良いですね。Teamsへの移行や服装の自由度向上など、わかりやすく目に見えやすい変化もあります。コロナ禍に即した対策も打たれているので、『だったらこうしよう』という気持ちは全社的に広がっていると思います」
一方、DTK活動を進めることで、調達部の課題も見えてきました。
藁澤 「普段の業務がたくさんあり、そこへさらにDTK活動が加わったと感じる方はたくさんいます。DTK活動を進めていけばだんだんと業務量は減るはずですが、それを実感できるまでにタイムラグがあります。効果が実感できないと、DTK活動に対するやる気を継続するのが難しいため、調達部内でそこに対する打ち手があると良いなと思います」
藁澤は調達部内でDTK活動を進める際、統合に向けて必要なことをするという意識を強く持っています。
藁澤 「第三者の目から見たとき、もっと良くなると感じることはたくさんあると思います。だからこそ第三者の目が入る機会が増えると、調達部内のDTKは一気に進むのではないかと個人的には考えています。
小集団活動をしたことにも、そうした狙いがありました。今後、調達部外からの意見を聞けたら、DTK活動はもっと進むはずです。部署内に縦割りの風土があるので、横串を刺せると良いと考えています」
そして自身の今後の展望として、藁澤はさらなる成長と周囲のサポートを掲げています。
藁澤 「今はまだ修行中の身なので、一般的な調達知識を学びながら、工事調達の師匠に師事して専門性も身につけていきたいです。調達部や購買依頼して下さるの人たちが笑顔で仕事ができるように、DTKを通じてお手伝いできればと思っています」
違和感を持ったことを変えるため、思い立ったら行動に移し変革につなげている藁澤。
今後も会社の課題を解決するため、調達部内から周囲に働きかけていくことでしょう。
出光興産株式会社
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