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大切なのは、全員を巻き込んで進むこと──製造技術部の社員がDTK活動に抱く想い

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出光興産の製造技術部に所属する北本 慎一は、全部員を巻き込んだ業務フロー・働き方改革を実施するために、さまざまなアクションに取り組んでいます。誰もが興味を持って業務改善に取り組めるように、何を行ってきたのか。北本が実践したプロジェクトの内容や、活動に込めてきた想いに迫ります。【talentbookで読む】

学生時代から環境問題に興味を持ち、エネルギー会社へ

北本が所属する出光の製造技術部は、製油所と事業所を統括する本社部門で、企画・保全・ITなど多くの業務を担っています。製油所1カ所に従業員だけでも300~600名ほどが在籍し、それが8拠点あるため、関連会社社員も含めると合計5000名以上を統括することになるのです。

北本 「私たち製造技術部はエネルギーの安定供給を使命とし、安全・安定操業のために予算からトラブル管理、フォローアップまでしっかり見ています。また、億単位の大きい予算を扱っているので、適正かつ合理的に投資していくように統括しています。

その中で私が所属しているのは設備戦略課。製造に関わる中期戦略や合理化の企画・立案・予算の取りまとめをする部署です。また、プロジェクトをリードしていく役割も担っています」

そんな北本は2005年に、昭和シェル石油株式会社に入社しました。

北本 「最初は三重県にある昭和四日市石油 四日市製油所に配属され、1年間現場で働きました。その後9年間技術課に在籍し、装置のトラブル対応、省エネや億単位の合理化など投資の企画・設計・検討を担当。

2015年から本社勤務になり、そこから2020年現在までの5年間は、主に企画や設備戦略関連の仕事に取り組んでいます」

近年ではカーボンリサイクルやカーボンニュートラルがよく話題になりますが、北本は学生時代から環境関係の仕事をしてみたいと考えていました。

北本 「高校時代、地球環境に関する本を読んだことがきっかけで、将来的に地球温暖化や二酸化炭素の問題は大きくなるだろうなと漠然と考えていて。そこからさらに掘り下げて検討を重ねた結果、大学進学の際に地球環境工学科を選びました。

就職を意識するようになってから、二酸化炭素を最も排出しているのはどこかと考え、エネルギーの会社だと思ったんです。だからこそ、エネルギーの会社であれば環境を変えていくために何か大きなスケールで取り組めるのではないかと考え、昭和シェル石油に入社しました」

実際に入社してから、北本はやってみたいと考えていた仕事に携わることができています。

北本 「省エネや太陽光発電関連、水素関連などにも取り組んでいますが、たとえば製油所でひとつのパラメーターを変えただけでも、二酸化炭素の排出量が大きく減ることがあります。製油所は24時間365日間、4年連続で稼働するのがベースなので、装置の運転方法をひとつ変えれば、その影響・効果はその後も長期間続いていく。

自分が能動的に考えて動き、改善を行った結果により、効果は継続していくんです。その効果も塵も積もれば山となり、大きなインパクトを生み出します。改善をひとつずつ地道に積み上げていくことが大切なわけです。そういった仕事のダイレクトさも魅力のひとつだと感じています」

“ワイガヤ”ミーティングで全部員を巻き込んだDTK活動を目指す

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北本は製造技術部の業務に加え、出光の全社員で取り組む業務フロー・働き方改革として立ち上げたDTK(だったらこうしよう)プロジェクトにも関わっています。初めに心がけたのは、製造技術部の課題を拾い上げて地道に解決していくことでした。

北本 「当部のDTK活動は、今あることをさらに良くしていこうという狙いでスタートしました。製油所でも改善への取り組みはよく行っていたので、こういったプロジェクトに慣れている仲間も多く、2019年は製造技術部で280件ほどの課題を抽出できました。

そのうち、すぐに実行できるクイックウィンアイテムが30件弱あったので、それは製造技術部の事務局で解決していくことに。残りの250件は時間をかけて各課で対応するような流れになったんです」

クイックウィンアイテムを事務局で解決すると決めたものの、すぐに手をつけられて効果が出やすいもの中心に進めてしまい、本質的な課題になかなか着手できないという問題に直面しました。そこで、進め方を変えることにしたのです。

まずは、部門で新しいビジョンや行動指針をつくったり、DTK活動を80名程度在籍している部員全員の活動にすべく、課ごとに目標を管理して貰ったりして主体的に進められる体制に変えました。

しかし、DTK活動に興味を持っていない部員がいたのも事実です。全員をどう巻き込んでいくかは、大きな課題でした。そこで、部員全員を巻き込むために、みんなで飲食しながらざっくばらんに意見交換する「ワイガヤミーティング」を企画したのです。

北本 「まずはやってみようということで、2020年4月に緊急事態宣言が出てほぼ毎日テレワークに切り替わったあと、すぐに課単位でリモートのワイガヤミーティングを実施しました。

リモートでの懇親会もまだめずらしかった頃でしたが、この企画によりDTKの活動が広まるだけでなく、雑談がなかなかできていなかった課内でコミュニケーションの機会が増えました。さらに、リモートで飲み会を含む懇親会をやっていいんだという雰囲気が広まるきっかけになったと思います」

2020年10月には、第2回ワイガヤミーティングを実施します。第2回は同世代で同じ食事を食べながらDTKを語らうというコンセプトで、一人ひとりに食事や飲み物が届くサービスを活用したオンラインによる懇親会を開催し、DTKメンバーから、部員に尋ねたいことを4点ほど挙げてさまざまな意見を吸い上げました。

北本 「12のグループで計80名が参加し、普段出ないような過激な意見や本心が見える意見が出たり、ベテラン社員から若手社員がいつでも相談できる会をつくりたいという熱い話が出たりと、非常に前向きな場となりました。同世代ということで話しやすいと感じたメンバーも多く、盛り上がったチームが多かったようです。

DTKの取り組みを広められただけでなく、DTKの周知方法に対する改善案が出たり、新しい課題が発掘できたりと有意義な会になりました。ぜひ次も企画してほしいという意見もたくさん寄せられましたね」

小さなことでもいいので、まずは1歩踏み出すことが改善につながる

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一人ひとりが現状に満足せず、効率化ややりがいを追い求めて新しいことにも果敢にチャレンジしてほしい。北本は、DTK活動を通じてそんな想いを抱いています。

北本 「新しいことを実施するにはパワーを使いますが、1歩踏み出すと良いことがあるかもしれません。DTK事務局からもいろいろと提案してもらえますし、新しい取り組みに製造技術部員も乗っかってほしいなという気持ちがあります」

小さなことでもいいから、1歩踏み出すことで改善につながる。これは、北本がDTK活動を進めるなかで学んだことです。

北本 「以前、Outlookメールの宛先を選ぶとき、氏名が英語表記の方と日本語表記の方が混在していて検索に不便さを感じるという課題が出ました。この課題に対して、立ち上がったばかりのDTKの情報交換で使用しているTeamsに、思い切って解決方法を相談してみたのです。

すると、書き込みを見てくださった情報システム部門の方が、担当外にも関わらず、すぐに解決方法を提案してくださり、非常に助かりました。そのテクニックは全社に共有され、多くの方の役に立っています。

TeamsやBoxなど新しいツールに抵抗感のある方もいますが、使ってみると利便性が向上して手放せなくなるものもあります。まずは既成概念抜きに、いろいろと試してみることが大事です。一方でこのような新しいものについては、事務局として、丁寧できめ細やかなフォローを心がけることやフィードバックを受けて改善することも大切だと思います」

北本は、DTK活動で他部署の良い取り組みを積極的に取り入れようと動いています。

北本 「全員活動への取り組み向上という観点で、DTKに関する成果実感の高い広報部と取り組みに関する情報交換をしたところ、広報部では小さな情報でもいいからTeamsで部員に対し積極的に発信しているとわかりました。我々も早速、広報部の事例を踏襲した取り組みを実施すべく準備しています。

自ら新たな活動をはじめるのも大切ですが、二番煎じや三番煎じでも構わないので、良い事例を踏襲するのも大事です。常にアンテナを張り、良いことがあれば真似して部の改善に努めていければと思います」

自社だけでどうにかせず、コラボレーションによって大きな課題に立ち向かう

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今後のDTK活動における目標として、北本はまず課題の整理を挙げています。

北本 「自分たちが考える課題とその打ち手を整理し、定量化していきたいです。2020年はじめにも実施したのですが、状況は刻一刻と変化していくので、アップデートしていかねばなりません。

また、課題をタスクリストとして一覧化し、その進捗管理も実施していきたいと考えています。製造技術部でのトラブル解決の手法と同様ですね」

そして、コロナ禍で出社できない状況が続く一方で、2019年末にそれまでの多拠点のオフィスが大手町の新本社オフィスに統合されました。そのため、もっと他部署とのコミュニケーション機会を設けたいと北本は考えています。そうすれば、コラボレーションによってより良いものを生み出せるはずだからです。

北本 「製造技術部は自部門内で課題を解決しようとする傾向があるので、自ら積極的に他部室や他社とコラボレーションしていきたいと考えています。2030年代にガソリン車の新車販売が禁止される話も出ているため、世の中の大きな脱炭素の流れに合わせ、ビジネスの在り方も大きくシフトしていかなければなりません。

カーボンニュートラルは1社だけの取り組みでは対応が難しく、多くの企業や国、自治体が束になって取り組まなければならない課題です。だからこそ、出光だけでどうにかしようとするのではなく、コラボレーション+DTK(だったらこうしよう)の精神により何かを生み出していきたいと考えています」

全部員を巻き込んだDTK活動を進めながら、大きな変化にさらされている会社の未来も考え、できることにひとつずつ取り組んでいる北本。

これからも他部署の良い取り組みを導入したりコラボレーションの機会を設けたりしながら、業務改善のアクションを起こしていきます。

出光興産株式会社

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