伝えたい人に届くデザインを形に。あらゆるユーザーの声に寄り添い続けたい | キャリコネニュース - Page 2
おかげさまで10周年 メルマガ読者数
65万人以上!

伝えたい人に届くデザインを形に。あらゆるユーザーの声に寄り添い続けたい

582084c6d2f31a9ae2bf1acacf8f01f791ede0e1

Web制作会社に入社し、さまざまな業務を担当する中で“サイトづくりに集中して取り組みたい”という想いが膨らみ、GPへの転職を決意した伊原 美咲。そんな伊原がデザイン室で進めているサービスサイトリニューアルプロジェクトについて、これまでの歩みを振り返りながら、想いやビジョンをひも解きます。【talentbookで読む】

誰もが使えるサービスを──Webアクセシビリティの重要性に気づき

私が所属しているデザイン室では、ゼネラルパートナーズ(以下、GP)が運営する障がいのある方の就職・転職をサポートするatGPのWebサイトのリニューアルや新規企画、改善活動を行っています。また、Webだけでなくパンフレットなどの制作も担当しています。

GPの事業やサービスの多くは、障がいのある方を対象としているため、デザイン室では障がいや特性を理解した上で、使いやすくわかりやすいデザインを考えていく必要があります。

現在は、サービスサイトリニューアルプロジェクトが進行しています。

実はデザイン室では、以前から「Webアクセシビリティの観点から、GPのWebサイトを見直す必要があるのでは」という課題を感じていました。アクセシビリティとは“アクセスのしやすさ”のことで、Webアクセシビリティとは、Webサイトが使いやすいことの一歩手前の“誰もが使えるようにすること”を意味します。

たとえば、視覚障がいがある方がWebサービスを利用するときには、「スクリーンリーダー」と呼ばれるWebページを音声で読み上げてくれるツールを使うことがあります。このスクリーンリーダーは、実はみなさんがお持ちのスマートフォンやPCにも多くの場合デフォルトで実装されている機能です。

ある日、GPのWebサイトの一部で、スクリーンリーダーに対応していない部分があるという声が、事業部からデザイン室に上がってきたんです。

GPのサービスは障がいのある方向けのサービスであるにも関わらず、障がいのある方が使えない部分があるということは、サービスとして大きな問題であると思いました。これが「Webアクセシビリティ」の重要性を実感した最初のできごとでした。

「Webデザイン」と聞くとなんとなくクリエイティブなイメージがあるかもしれませんが、”誰もが使えること”を実現するために、一定のルールの範囲でデザインを考えたり、地道な確認テストを行ったりします。

もちろんサービスの特長をどういうデザインで表現したら伝わるか?といったことを考えることも重要です。ですが、Webアクセシビリティの視点が抜けてしまっていては、情報を届けたい人に届けることができないかもしれません。

GPのサービスや情報を必要としている方たちにきちんと届けるためにも、”誰もが使える”サイトに向け、Webアクセシビリティへの本格的な取り組みがはじまりました。

自分で考えたものを形にしたい──「人」と「事業」に惹かれてGPへ

80e4fb3195a9af2be8f9babb53c2365214cf511f

2018年にGPに入社する前は、Web制作会社のプロデューサー、ディレクターとして、食品やウエディング、保険、IT系などさまざまな業種のWebサイトのプロジェクトを担当していました。

もともとWeb制作会社には「自分で考えたものを形にしたい」という思いがあり入社したのですが、職種上、クライアントとの調整業務やコスト管理見積作成などの仕事がどうしても多く占めるようになってきました。

あらためて自分が何をしたいかと振り返ったときに、「サイト作りに集中して取り組めるような仕事をしていきたい」、「なるべく自分で考えて手を動かしたい」と強く考えていることに気づきました。そう考えていたころ、たまたま転職サイトでGPと出会いました。

選考が進むなかでお会いする社員の人たちの雰囲気が柔らかくカジュアルですてきだったのと、超少人数のチームで本来やりたかったサイトづくりをメインで任せてもらえるということで、ここで働くことを決めました。

GPは「社会問題をビジネスで解決する」という理念を掲げていますが、私は今まで自分の目の前の課題に必死になって疲弊して・・・、正直「社会問題」について深く考えたこともありませんでした。GPに出会い、自分の仕事が少しでも困っている人の役に立てるのなら、それはとても素敵なことだな、と思ったんです。

前職ではクライアントは「企業」でしたが、GPでは「社内の各サービスの担当者」がクライアントになったような感じで、やはり同じ会社のメンバーなので、「仲間」「同志」なんだということを強く感じます。

課題ややりたいことについて密にコミュニケーションをとりながら一緒に考えていけるので、とてもやりがいを感じています。

まずはできるところから。Webアクセシビリティチェックリストを作成

▲障がいを理解しながらWebサイトで気を付けるべき点を学ぶ

▲障がいを理解しながらWebサイトで気を付けるべき点を学ぶ

2020年5月ごろから、サービスサイトリニューアルを機にWebアクセシビリティ対応をデザイン室で本格的に進めることになりました。

私にとってははじめての取り組みだったこともあり、まずは「Webアクセシビリティとは何か」「どんなガイドラインがあるのか」、他社の取り組み事例など、情報収集をすることから始めていきました。

調べるうちに、Webアクセシビリティの実現に向けやるべきポイントがわかってきました。

たとえば、視覚に障がいがある方はWebサイトを見ることができないので、スクリーンリーダーを使ってサイトを問題無く使えるか。文字の色が薄かったり、文字のサイズが小さくて読みづらくないか。実際の色と違う色に見える方もいるので、色だけで意味を伝えてしまっていないかなど。目的別に、Webサイトとして気をつけるべきポイントを整理していきました。

その後、各項目についてWebアクセシビリティの国際的なガイドライン「WCAG 2.0」を参考にしながら、GPのサイトにおける具体的なルールを決めていき、Webアクセシビリティチェックリストを作りました。

文字が大きく読みやすいように、基本の文字サイズは【16px~18px】とする。文字が見やすいようにするには、文字色と背景色の色に十分な差がある必要があるため、コントラスト比が【4.5:1】あることとする。

ただ、ここでさっそく壁にぶち当たります。atGPサイトで多く使っているブランドカラー「GPグリーン」は、白と組み合わせて使う場合、コントラスト比が基準を満たさないことが判明したのです。なので、違和感の無い範囲でコントラスト比を満たすよう調整した新しい「GPグリーン」を作り、使っていくことにしました。

このチェックリストも第一弾にすぎません。まだまだ始めたばかりなので、改善しなくてはいけないところはたくさんあるし、まだ私たちが知らない・考慮しないといけないこともあるかもしれません。

また、Webアクセシビリティへの取り組みはデザイン室だけでは完結しません。パートナーの制作会社さん、開発領域を担う開発室の協力が不可欠です。一歩一歩、一緒に取り組みながら、Webアクセシビリティへの取り組みを「当たり前」にできるプロダクトチームにしていきたいと思っています。

Webアクセシビリティに取り組む中で、社内から「今回ここも改善されるんですね」「すごく良いですね」という喜びの反応をもらえるようになりました。デザイン室が、Webアクセシビリティに取り組んでいくことで、GPの社員がより誇りを持ってサービスを提供できるようになればいいなと思います。

自分ごと化によって生まれた、“ユーザー視点”

▲デザイン室のメンバーとオンラインで打ち合わせ

▲デザイン室のメンバーとオンラインで打ち合わせ

デザイン室の映画好きのメンバーから、「わたしは、ダニエル・ブレイク」という映画を紹介してもらいました。

その映画では、高齢の大工さんが心臓の病気で働けなくなってしまい、国からの支援を受けようと市役所に行くシーンがあります。しかし、支援を受けるにはパソコンで申請をしなくてはいけないと言われ、パソコンなんて触った事もない大工さんはなんとか隣の人に聞きながら操作するも、入力し終わったと思ったら間違って消してしまい……。そんなことを繰り返して、結局「俺には無理だ!」と申請を諦めてしまうんです。

ちょうど、GPのWebサイトの一部がスクリーンリーダーに対応していないと指摘を受けた後にその映画を観たので、自分の中でとてもショックを受けました。同じように困っている方がすぐ目の前にいるんだと改めて認識し、自分ができることをやっていかないといけないと強く思いました。

また、私の両親が最近スマートフォンデビューをしたんですが、操作の仕方が分からず苦戦し、サービスの利用を「もういいや~」と諦めてしまったり……。こうやって、サービスを使える人と使えない人、情報を知っている人と知らない人にどんどん差が出ていくんだな、と感じました。両親の姿もさらに重なることで、Webアクセシビリティに対する意識が高まっていきましたね。

GPの社員は、社会問題に対して、障がいのある方に対して、熱い想いを持ち真摯に向き合っています。これまで私はそんな社員の一歩後ろでサポートをしていたように思いますが、だんだんとその意識が変わってきた気がしています。

もともとデザイン室では、自分がユーザーだったらどう感じるかという“ユーザー視点に立つ”ことを大事に取り組んできました。これからは、より障がいのある方を理解し、その方たちが使いやすいサイトにしていくためにも、atGPのサービス担当者と連携しながら、当事者の方に生の意見を聞く機会をつくっていきたいと考えています。

同時に、他の事業部と連携しながらビジネスのシナジーも生み出していける可能性があると思います。

今回のサービスサイトリニューアルでは、Web制作のスキルがを学べる就労移行支援事業所「atGPジョブトレIT・Web」の利用者さんに、サイトで使うイラストの制作に挑戦してもらいました。

就労支援のカリキュラムの一環としてイラストをつくってもらい、デザイン室から実務レベルでフィードバックをしながら、完成に向けて進めました。運営には「IT・Web渋谷」の三田さんが中心となり、atGPジョブトレ事業部運営企画室の田中さんにもサポートに入ってもらい進めていきました。デザイン室と他の事業部がコラボレーションすることが初めてだったのですごく良い経験になりましたし、何より完成したイラストはとても素敵な仕上がりで、挑戦された利用者さんたちが苦労しながらも達成感を感じている姿に、感動してしまいました。

GPにきていろいろなことにチャレンジさせてもらいましたが、今後はもっとその幅を広げて、企業向けのサービスサイトや、社内で社員が使うWebツールの改善にも取り組んでいきたいです。

株式会社ゼネラルパートナーズ

この会社にアクションする

アーカイブ