アナログ人間がデジタル推進!?「人」にしかできない未来のマンション管理を目指して
デジタルアセットマネジメント推進室で、マンション管理の効率化と生産性向上に取り組む入社6年目の関口 実。スマホさえ苦手だったという彼は、なぜデジタルツールの促進に携わっているのか。管理業務の一歩先を見据える関口のキャリアと、前向きなスタンスをひも解きます。【talentbookで読む】
「4つの老い」を解決に導くデジタルツール活用
マンション管理業界における課題を「4つの老い」という言葉で当社では表現しています。
建物自体の高経年化。住んでいる方の高齢化。さらに管理会社の従業員も高齢化しています。
そして最後は、ビジネスモデル自体の老いです。現地に管理員や警備員がいて、必要に応じてお客様のところにもフロント担当が直接行くという、アナログ対応に頼ってしまっている業界なんです。
私が所属するデジタルアセットマネジメント推進室では、その課題に対して、日々進化するデジタルツールを使って、効率化と生産性向上を目指しています。今後日本の人口が減っていく中でも高品質な管理サービスを提供できるよう、商品開発をしているところです。
取り組みに関わる協力会社も専門的な企業が多く、部署内もデジタル分野が得意な方が多い部署なのですが、実は私はまったく詳しくありませんでした。むしろスマホも十分に使いこなせないような人間でした。
だからこそ、デジタルツールが苦手な方々の視点を持って業務を取り組むことができると自負しています。
苦手意識を持っていたからこそ、社内のITに詳しい人や開発会社の方にいろいろと聞いたり、また展示会に行って自分で情報を入手したり、自分で手に取って触れてみたりした上で、どのようなサービスであればより多くの方に利用いただけるか、役立つかを考え続けています。
新しい技術を取り入れようとしても、現場の管理員や警備員、フロント担当の方々がきちんと使いこなすことができなければ、良いサービスは提供できません。
私自身は「スーパー素人」を目指しています。フロント担当の経験を持つアナログ人間の私が、デジタルツールを活かして管理業務をより良くしていきたいと考えているのです。
世の中や周りを良くしたい──サッカーで培われた想い
私はサッカー少年でした。9歳のときに始めて、気付いたらハマってしまい、大学卒業まで続けていました。もともと内気で、友達をつくるためのコミュニケーションツールとして始めたら、性格が変わっていました。社交的になりましたね。
高校までは部長やキャプテンを務めていました。チーム内でいちばんうまかったわけではないのですが、チームが強くなるために何かしたい、試合に出られなくても何か貢献したいという精神があったのかなと思います。
ディフェンダーだったこともあり、ストライカーとして自分がバリバリ点を取ってチームを勝たせるというより、最後列で予測や駆け引きなどで相手の攻撃を防ぎ、それを味方の攻撃につなぎ、チーム全体で守って、攻めて勝利するのが好きでした。自分の結果よりもチームの結果を大事にしていた気がします。
就職活動の時期になると、経済学部だったこともあって周りの人たちは、ほとんど銀行や商社などに行きました。ただ自分は少し違うな、というモヤッとした感覚があったんです。
そのときに、たまたま就職活動のイベントで大和ライフネクストと出会って話を聞き、分譲マンションでお住まいの方に関わる仕事だと知りました。人の衣食住に関わる、こんな業界があるんだなと思いました。リアルなご提案1つ、お客様対応1つにしても、緊張感が違うと感じ、それはやりがいがあるなと。
そこで自分がこういうことをしたい、というよりは、世の中や周りをより良くしたいというのが私の中の軸だと気が付いたんです。
入社から3年半は、東京の支社でマンションのフロント担当をやっていました。最後の1年半はグループリーダーとしてメンバーのフォローに入ったり、ときには他のチームにも声をかけて、支店全体で運営がうまくいくように働きかけたりしていました。
大変なこともいろいろありましたが、チームメンバーで気持ちを共有して、乗り越えたときに皆で飲む1杯のビールが最高でした。キツいことも多々ありましたが、楽しかったですね。
「枠」を越えて新しいものをつくる
フロント担当のころはマンションにお住まいの方がお客様でしたが、今は社内のフロント担当の皆さんが私にとってのお客様です。皆さんにとって役立つツールをつくったり、お困りごとを解決する提案ができたりしたときに達成感を感じます。
直近でうれしかったのは、防犯カメラを使ったデジタル商材が役に立ったときです。
そのマンションでは夜間に警備員が勤務しており、そのための費用がかかっていました。経費節減をしたいけれどセキュリティレベルも維持したい、というご意向でした。
そこで、現地で警備員が勤務するよりも安価で提供できる、防犯カメラを活用した遠隔巡回サービスをご提案し、採用されることとなりました。
このサービスは防犯カメラの映像を専門のセンターが映像確認し、異常があればすぐにパトロール員がマンションに駆けつける、「デジタル」と「人にしかできないこと」を融合したサービスです。
このサービスがなかったら、選択肢は「警備員を雇うのをやめてセキュリティのレベルを下げる」「そのまま警備員を雇い続ける」の2つしかなかったわけです。そこに私が3つ目の選択肢を提案できて、フロント担当の役に立てたので、とてもうれしかったです。
フロント担当のころは「管理はこういうものだ」というイメージがありました。お客様からのご要望に対して、法的な制約や過去事例などの「枠」の中からしかご説明ができませんでした。
現在は逆に、今ある枠を越えて新しいものをつくっていかなければいけません。選択肢を増やすように動けることがやりがいですね。情報もこちらから発信していく立場になって、働き方も訴求の仕方も考え方も、大きく変わりました。
今思えば、フロント時代ももっと挑戦しておけばよかったなと思います。
せっかくお客様から生の声を聞ける中で「こういう風にできないか」と考えたり、誰かに相談して協力をあおいだりできたのにと。自分の中で「枠」を決めて考えを打ち消してしまうのは、会社のためにもお客様のためにも、もったいないと思います。
フロント担当の皆さんにはぜひ、思ったことを発信したり動いたりしてほしいですね。
私にもぜひ相談してほしいです。
「食わず嫌い」の壁を越え、人が大切にされる世の中をつくる
楽しい仕事を選ぶよりも、目の前の仕事を楽しむ感覚を持つのが大切だと思っています。
言ってしまえば、私は不得意なことを仕事にしています。
楽しい仕事かと言われたら、必ずしもそうではない部分もあります。
ただ、今の会社のミッションを自分の中で咀嚼して、自分の部署がやるべきミッションがある中で、自分の置かれている立場も含めて、楽しむ感覚は持つようにしているんです。
新しいツールも情報も、仕入れてはどんどん手に取るようにしています。
今の時代は誰でも、ネットで調べれば情報にアクセスできますよね。それで知っている人と知らない人が出てくるのは、調べているかいないかの違い。デジタルに強いか弱いかというのも、いわば「食わず嫌い」だと思っています。
私の場合、会社からのミッションでその世界に踏み込むことになったので、「食わず嫌い」の壁を越えるチャンスをもらったとも言えるんです。そう考えてポジティブに取り組んでいます。
世の中全体にデジタル化の流れがあって、そちらに目がいきがちですが、デジタル化が進んだ先には「本当に人が必要な仕事」がハッキリしていくと思っています。
いちばん臨機応変に対応できるのは、やはり「人」。デジタル技術は、人がより働きやすくなるためにあって、「人にしかできないこと」は最終的に残ると思っています。
私たちの仕事の社会的意義は、マンションに住んでいる方やビルで働く方などにとって、安心して、快適に気持ちよく過ごしていただくところにあります。そのために大切な、お客様の「気持ちを汲み取る」というのは、機械ではできません。人だからこそできることだと思います。
みんながそのことを誇りに思って働けるのがいちばんだと思っています。
デジタル化が進んでいくことで「人にしかできないこと」が浮き彫りになります。
その中で、不動産に限らず幅広く携わっていくことで、ゆくゆくはもっと人が活きる、人がより大切にされる世の中にしていきたいですね。