かつて自分を見捨てた上司がいなかったように、自分も諦めない上司でいたい | キャリコネニュース
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かつて自分を見捨てた上司がいなかったように、自分も諦めない上司でいたい

東洋製罐滋賀工場で2021年に製造課係長となった原田 一貴。20年にわたる現場経験を活かして社員のマネジメントを行い、就任後ほどなくして現場の月間最高生産記録を達成します。入社当初先輩から叱責され続けた逸話を持つ原田が、現場を引っ張る頼もしい存在となった経緯を語ります。【talentbookで読む】

20年の現場経験を活かしたマネジメントが強み!月間最高生産記録を達成

私は、東洋製罐滋賀工場の製造課係長として、主に製缶グループの社員やアルバイトなど、合計60人のマネジメントを担当しています。

月間・週間予定をもとに生産の流れに沿って、製造を進めることができるよう進捗を管理しています。毎朝のミーティングで情報を共有し、安全面にも配慮しながら、「本日はこの作業をお願いします」と伝えていくのが私の仕事です。

大切にしているのは「前後・左右のコミュニケーション」。メンバー同士支え合いながらものづくりに取り組むように伝え続けています。

工場では、ひとりでモノを作っているわけではありません。チームがひとつとなってモノを作り上げているんです。きちんと会話しなければみんながどんな想いを持っているのかがわかりません。だから、メンバーとはよく話をするようにしています。

私自身、係長になるまで20年ほど現場を担当していたので、その経験が業務にも活かされていると感じています。

現場にいた頃は、成果を出すことが一番の目標でした。そうすることで周囲にも刺激を与えられるとわかっていたので、結果を出して「みんなもやればできるよ」と伝えられるように、がむしゃらにやってきましたね。

係長になってからは、「今が踏ん張りどころだ!」とみんなに伝えながら仕事を進めています。係長になってまだ間もないんですが、一番嬉しかったことは、月間最高生産記録を達成したことですね。記録もそうですが、その結果をみんなで喜び合えたことが良かったです。

現場の士気を高める秘訣は、一人ひとりに沿ったアプローチをすることだと思います。私は、人から言われてもあまり影響されないんですよ。自分で自分を追い込まないと、やる気が出てこないんです。

ですが、自分の現場には従業員が60人近くもいて、個性もまったく違う。だから、どんなことでやる気が出るのか、喜びを感じるのか、コミュニケーションを取りながら、試行錯誤していますね。

休日は長男と次男が所属する少年団のサッカーコーチを務めています。公私ともにチームのマネジメントに汗を流す毎日。でも、休日は小学生相手なので、大人と会話するのとはまったくの別世界。そこも勉強させてもらっています(笑)。

寝坊常習犯の自分を変えた、先輩たちの存在。

高校を卒業後、2002年4月に東洋製罐高槻工場に入社し、製缶現場に配属されました。実は、私は入社当時、周囲から「すぐ辞めるだろう」と思われるようなキャラクターだったんです。

九州の田舎の出身だったので、とにかく都会にいこうと思いまして。たまたま求人を見つけたのが東洋製罐に入社したきっかけでした。入社当初は週4くらいで寝坊していたので、叱られてばかりでしたね(笑)。

ただ、どんなに迷惑をかけても先輩たちは熱心に仕事を教えてくれたので、「これは頑張らなあかんな」と思うようになったんです。

当時の仕事場は、父親と同じ世代の人が多かったんですよね。いろいろ教えてもらって、ときに反抗期みたいなやり取りもしつつ、一生懸命やっていたらいつの間にか周りからも頼られるようになっていました。

入社してから一番思い出に残っているのは、50代後半の先輩社員の言葉ですね。失敗したり、生意気なことを言ったりするたびにドカンと雷を落としてくるような人で、私の仕事なんて全然認めてもらえませんでした。

でも、定年退職する前日に呼び出されて、「自分にはやりたくてもできなかったことがいっぱいある。でも、今のお前ならできるから全部託すわ」と言われたんです。

その時に初めて、自分の技術も認めてもらえました。スリーピースの美術缶を製造する過程で二重巻締という技術があり、習得すると何十年後にも続く財産になる高度なもので、自分にはそれがしっかり身についていると。

「これから技術を先導していく存在だから、胸張って存分に力を発揮してさらに伸びろ。巻締工程を頼むぞ」といわれて、思わず涙がこぼれそうになりました。当時私は入社4年目くらいだったんですが、このままではいられないと心底思いました。

それ以降、できないことにどんどん挑戦していきました。たとえば、私の担当範囲が10項目の業務だとしても、現場全体で見ると60項目あるなら、せめて半分はできるようになろうと努力しました。ひとつずつ手をつけてクリアしていきながら、現場の中の半分以上の業務がひとりでできるようになりました。

業務の範疇外のことも多かったのですが、上司に相談するたび「やりたいようにやれ。そのかわり結果を出せばいい」といつも背中を押してもらえましたね。

こうしたがむしゃらな姿勢を認めてもらい、2006年に滋賀工場の立ち上げメンバーに選ばれました。

自分を突き動かす原動力は、苦労を乗り越えたときの達成感

▲メンバーと議論する原田(中央)

滋賀工場でスタートメンバーとして働く中で、2019年に職長になり、2021年には係長を任されるようになりました。

係長になったばかりの頃は、正直なところ思いっきり空回りしていましたね。立場が変わったことで急に会議が増えて、自分がやりたい事やみんなに振り分けたい仕事があっても追いつかず、2、3週間くらい苦労をしていました。

休日に子どもたちとサッカーをしたあとにジムにいくんですが、そこで「何があかんかったんやろ」と考えながら走っていたくらいです。

気持ちをリセットしようと思って仕事専用のノートを買ったんですが、1冊だと不安だったので5冊買い込んで、毎日こと細かにメモしていました。大事なことを忘れてメンバーに迷惑をかけないように、常に意識しましたね。

業務幅や責任の範囲が大きくなることで、戸惑ったりしんどい思いをしたりすることはたくさんありますが、それでも仕事ってすごく楽しいんですよね。

「たぶん苦しいのは今だけで、これぐらいだったら頑張れば乗り越えられるかな」と、頭のどこかでいつも考えていて。実際に何かハードルを乗り越えられたときは「やっぱりそうだったな」と思っています。

人に褒めてもらうとか見返してやるとか、そういうのではなく、自分が「達成できた!」と思ったときの魔法のような感覚がどこかにあって(笑)。だからこそ大変だな、と感じることがあっても続けられるんです。

諦めることは絶対にしたくないし、昨日の自分を今日は超える、というような感覚で常に考え続けています。

学生時代は自分で考えてやってみても、親や先生に怒られることも多かったので、考えるのが大嫌いだったんですよね。「なんでこんなに怒られなあかんのや」と思って、何も考えずに好き勝手やったほうが怒られてもあまりショックを受けないかも、と考えていたくらいです。

社会人になってから、ようやく考えることの意義を感じられるようになったので、今は頭がフル回転状態ですね。

若手のチャレンジを全力で後押ししていくことが、上に立つ者の使命

上に立つ者の使命は、メンバーを100%バックアップすることだと考えています。だからこそ、若手社員がどんどんチャレンジできる環境づくりに力を入れていきたいですね。

若いメンバーにはいつも、責任は自分が取るからと伝えています。「失敗したときは私の名前を出せばいいから、好きにやってこい」と。自分もそうやって育ててもらいましたし、若手がのびのび仕事できることが、5年後、10年後の滋賀工場のレベルアップにつながっていると思っています。

説明してもすぐわかるメンバーもいれば、そうでないメンバーもいます。だから、まず体験してもらう。体で覚えるほうが早いので、全力で後押ししたいですね。

チャレンジするのを躊躇したり、諦めてしまう人もいるかと思いますが、それもアプローチ次第かなと思います。

「この方法はまずいですよね」と、一歩踏み出せないメンバーがいれば、自分が試すよと言って、代わりに手を動かします。「これをやったら失敗しますかね」と、不安を持ちながらも新しいことを試そうとする人がいれば、一緒に入ってサポートをします。

そこで諦めてしまうと、せっかくの知識が入ってこないので、成長の妨げになってしまいます。人から説明を聞くよりも、体験するほうが早いので、いくらでも後押しさせていただきます。

あとは鬱陶しさも大事ですね(笑)諦めようとするメンバーには「なんで諦めるの?」としつこいくらい言うようにしています。「原田さんがあまりにもしつこいのでやってみたんですが、そしたらできたんですよ」とお礼を言われることも少なくありません。

個人的には、責任者は煙たがられるくらいの存在がちょうどいいと思っています。鬱陶しいと思われようとも、それが挑戦の踏み台になればいいんです。

私は、どのような仕事であっても「何かひとつ目標を立てて働いてみて欲しい」と考えています。かつての自分もそうでしたが、何の目標もなしにやっていくと、ただ物事をこなしているだけなので、面白くありません。

簡単なことでもいいので、まずは目標を立ててクリアしていく。それを積み重ねていくと、自然と5年後・10年後のビジョンも考えられるようになります。

目標があれば考え方も前向きに変化してくるので、そんな風に仕事を楽しんでもらえたら嬉しいです。

東洋製罐株式会社

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