未知の配属先は成長のチャンス──現場経験から考えた、組織とリーダーのあり方 | キャリコネニュース - Page 2
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未知の配属先は成長のチャンス──現場経験から考えた、組織とリーダーのあり方

▲2017年 新卒入社時の1枚

2017年、エスプールヒューマンソリューションズ(以下SHS)に入社した佐藤 寛紀(さとう ひろのり)。新卒1年目、彼が配属されたのはそれまで縁もゆかりもなかった大阪だった。未知の場所での現場社員から始まった佐藤のキャリアの軌跡と、彼の抱く将来像をたどる。【talentbookで読む】

1年目の配属先は関西支店

SHSには、フィールドコンサルタント(以下、FC)と呼ばれる、SHSが競合他社に対して強みをもつ職種が存在する。

SHSでは、現場で派遣スタッフのフォローや統括を行うため、スタッフだけを派遣するのではなく、自社員を現場に常駐させる「グループ型派遣」を行っている。この現場に常駐する社員をFCと呼ぶ。

この職種はSHSを代表する職種の1つであるため、新卒で採用された大半の社員が経験する。もちろん、2017年4月にSHSに入社した佐藤もその1人だった。

しかし、佐藤には他の新入社員と少し異なる点がある。入社後研修を終えた彼が配属されたのは、大阪にある関西支店だったのだ。

福島県出身で関東の大学に通っていた彼にとって、大阪は一切なじみのない土地だった。それでも、彼を含めた新卒4人が関西支店に配属になったこともあり、前向きな気持ちで関西に移り住んだ。

佐藤は当時をこう振り返る。

佐藤 「関西支店に配属された直後は、正直、やることが少ないなあって感じでしたね(笑)。配属後は、まずは現場を覚えることから始まります。でも、そんなに難しいことがあるわけでもなかったので、言われたことをやっているだけではすぐに仕事が終わってしまって、逆に何をしていいかわからなくなりました。

そこで、『自分で動いて変えるしかない』と思い行動したんです。当時のFCリーダーや支店長に、ひたすら『何かやれることないですか?』『これやっていいですか?』とか、ずっと声をかけまくっていました。それを続けていくうちに、経験値が増えていって、自分の中で『これやった方が良い』『あれやった方が良い』がたくさん出てくるようになりました。

そうすると次は『どうやったらこれをやらせてもらえるのか』を考えるようになり、そこを勉強しながら模索していましたね」

FCとして、組織のリーダーとして

▲社内のコンテストで優勝した際の1枚 / 左から2番目が佐藤

佐藤は関西支店に3年間在籍し、主にコールセンターでのスタッフフォローや面談をしていた。

佐藤 「働いている人たちに、いかに精神的にも肉体的にも働きやすい環境を作れるか、サポートするのがFCとして重要な役割だと思っています。

例えば、入社したばかりの人の不安をどうやって払拭するかとか。ただ話を聞くだけのときもあれば、現状に対してアドバイスをするとか、方法は色々あります。でも、FCがいるだけでちょっとだけ安心するという価値を提供できればと思っています。

実際に『FCがいてくれたから続けられた』というスタッフさんが結構いたり、全然話してくれなかったスタッフさんが些細な悩み事を相談してくれたり。そういうことがあって、かなりやりがいを感じましたね。『やっててよかったな』って思いました」

ところが、これだけではだめだと思わせられる出来事があった。

佐藤を含めた新卒4人は、関西支店に配属されてから半年にわたって、「辞めるスタッフが1人もいない」という記録を作った。

しかし、半年が経ったとき、綻びが出始めた。新卒メンバーがただひたすらスタッフへの声掛けを行うことで支えられていたやり方に、無理が出始めたのだ。

佐藤 「なにも上手くいかない状態になりました。そういう状態のときって、『こうすれば上手くいく』と思って行動したことも上手くいかないんですよね。

理由は簡単で、そういうときって誰も大事にできていないんです。自分以外の誰も大事にできていない状況で、相手が言うことを聞いてくれるわけがありません」

配属から1年くらい経った頃から、佐藤はFCリーダーとしてある程度組織を任されるようになった。そういった背景もあり、佐藤は「組織のあり方」について考えるようになる。

佐藤 「組織のトップの人が空気を読まないワンマンチームみたいなやり方では、自分が成功しているイメージを持てませんでした。

結局1人じゃできないこともたくさんあるし、自分と真逆の動きをしている人がいる場合に身内同士で仲が悪くなる場合もありました。じゃあどうすれば組織が上手くいくのかと、ひたすら上司に聞いたり、本を読んだり勉強していました。

最終的に出した答えは、組織のトップはあまり仕事に対して口をはさまず、周りの人が楽しんで、同じ目的に向かって動ける環境を作ることです。これが一番自分のなかでしっくりきました。この価値観は、今でも変わりませんね」

目的さえ合っていれば、まずはどんな風に取り組んでも良いというマインドで組織をまとめてきた佐藤。それは、どこかエスプールグループの社風にも通じている考えだった。

「誰かのために」の原点

▲佐藤の実家で手掛けている伝統工芸品

佐藤の描くリーダー像にもつながる、「誰かのために何かをしたい」という想いの原点には、彼のバックグラウンドが大きく影響していた。

佐藤の実家は、福島県で伝統工芸品を作っている。そんな家族のことを佐藤は尊敬しており、「家族のために何かをしたい」という想いは現在も変わらない彼の軸となっている。

佐藤 「就職活動をするにあたって、『家族の伝統工芸を支えたい』という想いがありました。ただ、私自身身近に見てきたからこそ、伝統工芸品の業界が縮小していることもわかっていました。

商社に入って支えるということも考えたんですが、業界全体が縮小している現状ではどうすることもできないと思って……。なので、自分で創り出すしかないと考えたんです」

ただ自ら何かを創り出すにしても、当時の佐藤には人や組織を束ねるノウハウがなかった。それらを身に付ける必要があると考えていた佐藤には、FCという職種は魅力的に見えた。

また、エスプールグループの社風も入社の決め手となった。エスプールグループには、「何でも挑戦してみる・挑戦させてみる」という風土がある。その点も佐藤の入社を後押しした。

佐藤 「最初の関西配属も、今回の福岡への転勤も、ポジティブな気持ちで受けました。もちろん、東京でしかできないことは多くあると思いますが、東京は戻ろうと思えば戻れると思うんです。

でも、関西や九州はそれまで縁のなかった土地です。この機会を逃したら一生その場所で働く機会がないかもしれない。成長のチャンスだと考えて引き受けました」

仕事の楽しみ方

FCは決して楽しいだけの仕事ではないが、その中でもいくつかの楽しさを見出すことができると佐藤は語る。

佐藤 「楽しくない業務でも、楽しみ方ってあると思うんです。そもそも仕事って楽しいだけではありませんからね。だからこそ、やりがいとか、おもしろいって思える何かを作らないと、楽しいなんて感情は起きるはずがないと思ってます。

仕事の楽しみを見出せなかった人が辞める選択をしてしまうケースは結構あると思います。もちろん、それをスタッフに伝えられていないことにも問題はあると思っているので、ヒントを示すこともFCとして大事なことですね」

新入社員に対して伝えたいことも語る。

佐藤 「新入社員の方に伝えたいのは、自分が楽しいと思えることを見つけることですね。それを素直に、ひたすらやっていれば、色んなことをやらせてもらえるようになるんです。

『これをやってください』と言われたときに、『それしかやっちゃダメ』と捉えられる環境だと、作業の過程で出てくる『あれやりたい』『これやりたい』が実現できません。でも、FCは最低限の条件や約束事こそあれ、本当に何でもチャレンジさせてもらえます」

2021年の2月から、佐藤は福岡にある拠点でFCとして勤務している。

これまで人材派遣をメインとしてきたSHSだが、2021年より新しい取り組みを始めた。それは、人材を欲しているところに人材を派遣する形ではなく、自社でセンターを構え、業務自体を委託するBPO事業である。

佐藤は、その重要な福岡拠点の立ち上げのためにFCとしてアサインされた。

佐藤 「今まで人材派遣で伸びてきているので、ここからはどんどん新しいものを作って挑戦していかなければいけないフェーズです。でも、SHSはもうある程度大きな組織になっているので、ここから伸ばしていくのは結構大変なはず。

今までSHSになかった、新しい取り組みをしている部署にいるからこそ、これを成果にむ結びつけて、成功モデルとして伸ばしていける手助けができたらいいなと思います」

4年目にして、新天地でFCとして活躍している佐藤。

「誰かのために」という視点だけでなく、組織を束ねることに重きを置いてきた彼だからこそ見えるものがある。

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