理系大学院生がサマーインターンシップで得た、ビジネスの現場での学びと未来
「学生が選ぶインターンシップアワード*」で、2018、2019、2020年と3度の優秀賞と、2022年は遂に大賞を受賞したボッシュ。実際の業務を経験できるシーズナルインターンシップも、その受賞歴に名を連ねるインターンシップの一つです。2021年にこのプログラムを経験した学生の生の声をお届けします。【talentbookで読む】
憧れの外資系企業で、大学の専攻とビジネスの関連性を知る
2022年5月現在は大学院で、高分子ゲルの触媒特性について研究を続ける矢野 栞。彼女は同時に、技術をどのようにビジネスに活かしていくかを学ぶ技術経営も専攻しています。ずっと化学の分野を学んできた矢野ですが、ボッシュは幼少の頃から身近な存在だったと語ります。
矢野 「自宅の近所に事業所があったので、ボッシュは子どもの頃から地元にあるグローバル企業として憧れの存在でした。また友人のお父さんが働いていて、少なからず接点もありました。女性もとても働きやすい会社だと聞いていたので、実は自分のなかでも以前から就職したい企業の一つでした」
矢野がボッシュのサマーインターンシップに応募したのは、こうした背景がありました。ただそれ以上に彼女の興味を引いたのが、インターンシップ先の部署でした。
矢野 「募集していたのが、システムズエンジニアリング&技術戦略部という部署でした。現在私が専攻している技術経営と、かなり近い仕事内容ではないかと思いました」
大学院での技術経営の勉強が、実際の企業でビジネスとしてどのように活かせるのか。学びとビジネスの関連を知りたいという思いもあり、矢野は迷わず応募を決めました。また外資系企業の働き方について興味があったことも、応募した理由の一つだといいます。
矢野 「私は以前、他企業でのインターンシップも経験していました。もちろん化学系メーカーも行きましたし、ほかにもいくつかの組織のインターンシップにも参加しました。その際、将来のネックになると感じたのが働き方です。
私は仕事だけではなく、プライベートの時間も大切にしたいと考えていますが、日本の組織でのインターンでキャリア形成の話を聞いたとき、ライフステージが上がっていく際に、女性が継続して働けるのかという不安が残りました。なので、外資系企業の働き方にもとても興味がありました」
メンターやドイツ担当者からの評価が、やりがいと達成感に
矢野がインターンシップに参加した、システムズエンジニアリング&技術戦略部は、製品部門横断でシステム開発を行ったり、市場調査や分析を重ねながらボッシュの技術を5年後、10年後にどう活かしていくかを検討し、中長期の方向性や戦略を決めたりする部門。いわばボッシュのシンクタンク的役割を担っています。
部署内では、メンバーそれぞれがテーマをもって積極的かつ自律的に仕事にあたっています。矢野はここで2カ月間、週4回の頻度で、あるプロジェクトに参加することになったのです。
矢野 「私が参加したプロジェクトは、モビリティ分野と他の業界との連携によって生まれる新しいビジネスや技術の方向性を検討しようというものでした。参加していたのは、日本、中国、インド、アメリカ、ドイツの5カ国のメンバー。私はそのなかで、日本から貢献できることとして、スマートシティについての政策や市場の現状を調査する仕事を任されました」
初日は技術戦略部の業務について対面でオリエンテーションを受け、その後、実際の業務に移りました。とはいえ何もかもが初めてのこと。緊張もあり、最初は何から手を付けて良いかわからなかったといいます。
矢野 「最初は戸惑いましたが、困っているとメンターの方が方向性を示してくださるので、まったくの手探りでというわけではありませんでした。またメンターの方とは毎週面談があり、そこで方向の指示や、細かなスケジューリングをしてくださいます。
もちろん自分で調べることや考えること、進めなければならないことも多々ありますので、そのバランスを考えてくださっている感じです。インターン生ではありますが部門の一員として、育ててもらっている感覚がありました」
サマーインターンシップの2カ月間はリモートだったこともあり、調査に用いたのは主にインターネットです。スマートシティについて知識がなかった矢野は、まずはメンターと相談の上、政府の動向を調査。こうした業務に携わるうえで役立ったのは、現在大学院で学んでいる技術経営の知識でした。
矢野 「最初の1週間で、デジタル庁の政策などを調べて結果を報告したのですが、そのときにメンターの方から、全体像を俯瞰して捉える力があると褒めていただいたんです。『さすが、技術経営の学生さんだね』と言ってもらえたときは嬉しかったですね」
その後、実際にモビリティのデータを活用したスマートシティの実証実験事例や、新ビジネスの事例を探っていきましたが、ここではデータ利活用の知識が必要になります。矢野は、これらの専門分野について自分で勉強しながら調査を進めていきました。
矢野 「その際に気を付けていたのが日本独自の動向を探ることです。ドイツからはその点を求められますので、高齢化社会や道路インフラが整っている環境など、日本独自のポイントを抑えた上で、実証実験の例などを英語でまとめていきました」
約1カ月半調査を重ね、最後の2週間は苦手とする英語と格闘しながらレポートを作成。ここでも矢野は高い評価を受けます。
矢野 「私の調べた成果が、海を渡って他の4カ国に共有されていること自体嬉しかったのですが、ドイツの担当の方から『非常に良いインプットになった』と褒めていただけたんです。外資系企業ならではのダイナミックな働き方のなかで、やりがいと達成感を得た瞬間でした」
家族との時間を大切にすることが、当たり前のこととして根付く企業文化
矢野の活動は部署内でも評価され、シーズナルインターンシップ終了後も通年のインターンシップとして、2022年の2月までプロジェクトに携わることに。
矢野 「社員の方から通年のインターンシップに誘っていただいたときは、ぜひやらせてほしいと即答しました。勤務は週2日で、大学院との両立は大変な面もありましたが、他ではできない良い経験だったと思います」
矢野には、ボッシュのインターンシップを通じて、こうした実務面だけにとどまらず、組織や外資系企業での働き方という点でも、新しい発見がありました。
矢野 「インターンに参加する前は、外資系企業というと個人主義や成果主義といった、少しドライな印象が強かったのですが、実際に中に入ってみると、みなさんすごく丁寧に何でも教えてくださいます。親切な方ばかりで、私のキャリアについても、親身になって一緒に考えてくださいました。ドライなイメージは一変しました。
もうひとつ驚いたのは、一つの部署の人数が少ないこと。大きな会社なので大勢いると思っていましたが、私のいたプロジェクトでは日本の社員は5名 (2022年2月時点)。ただその分、一人ひとりがプロフェッショナルで、そのレベルの高さに圧倒されました。まさに少数精鋭という感じでした」
こうした環境のなかで仕事ができたことは、矢野自身、本当に貴重な体験だったと振り返ります。一方で、プライベートの面でも大きな感銘を受けたといいます。
矢野 「私のいた部署は、小さいお子さんを育てていらっしゃる方が多く、お子さんのお迎えに行くために早く退社されることがあります。また、お子さんの発熱で、お休みされる方もいらっしゃいました。もちろんその分は他で時間をつくってカバーするのですが、家族との時間を大切にすることが、当たり前のこととして根付いている。こうした文化は、本当に素敵だと思いました」
ワークライフバランスの充実も、就職する際の大きなポイントと考えていた矢野にとっては、まさに理想の環境。この会社なら一生懸命働けるし、プライベートの時間も大切にできる──ボッシュで働きたいという矢野の思いは、こうしてますます強くなっていったのです。
インターンシップで得たチャレンジ精神が、成長面でさらなる相乗効果を生む
今回のサマーインターンシップでの経験が、さまざまな面で自分のプラスになったと語る矢野。大学院での学びにも、良い影響があったといいます。
矢野 「専攻している技術経営の知識を業務に活かすことができましたし、業務を経験することで学問としての理解もより深まりました。仕事と学びの良いサイクルが回せたことを実感できたインターンでした」
また内面的には、自分のチャレンジ精神がより高まったと語ります。
矢野 「もともと自分で考えて動くタイプだと思うのですが、ここまでいろいろなことにチャレンジできた期間は初めてでした。今回のように、知らないことを自分で勉強して成果を出すことも、英語が苦手な自分が外資系企業のインターンに参加することも、私にとっては大きなチャレンジ。そこで少しでも成果を残せたことが自信になりましたし、次のチャレンジへの意欲にもなっています」
そんな矢野は、インターンシップ参加後、ボッシュの新卒採用にもエントリーし、2023年春から改めて入社することが決まっています。
インターンシップ経験者の矢野ですが、他の応募者と同様の選考を通過し、内定に至りました。インターンシップの参加によって、選考が有利になるわけではないからです。部署もインターンシップで経験したところとは異なる部署で入社する予定です。
矢野 「私は化学が専門で、機械や電気の分野はこれからです。最初は勉強しなければならないことがたくさんあると思いますが、このインターンで培ったチャレンジ精神で頑張ります。そしてシステムズエンジニアリング&技術戦略部のみなさんのような、たくさんの知識とスキルを身につけたプロフェッショナルに成長していきたいと思っています」
最後に彼女はボッシュのインターンシップの意義を、こう語ってくれました。
矢野 「実際の業務の一部を任せていただけるインターンは珍しく、貴重な経験になるのは間違いありません。私はご縁があってボッシュへの入社が決まりましたが、このインターンでの経験は、就職活動においても、また他の企業で働くことになっても、大いに役立つと思います。学生のみなさんにはぜひチャレンジしてほしいですね」
矢野にとって、このインターンシップが将来への大きなステップになったように、多くの学生がこの経験を通して成長する。ボッシュでは、こうした学生を一人でも多く輩出できるよう、今後もより成長につながるインターンシップを提供していきます。
*学生が選ぶインターンシップアワード
学生の社会的・職業的自立に貢献したインターンシッププログラムを表彰する、日本最大級のアワード。
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