油圧系から電動化へ──不二越の屋台骨として期待される部署で働く、若手社員の奮闘記 | キャリコネニュース
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油圧系から電動化へ──不二越の屋台骨として期待される部署で働く、若手社員の奮闘記

複数の事業から成り立つ株式会社不二越。その事業の一つで、将来的に会社の屋台骨としての存在を期待されているのが、カーハイドロリクス事業部です。主に自動車部品を扱うこの部署は、電気自動車(EV)需要の高まりにより、求められる役割が変化しつつあります。この部署で奮闘する、入井 俊紀の仕事ぶりとは。【talentbookで読む】

新しい商品を開発し、お客様に提案するのがミッション

2018年に不二越に入社した入井は現在、「カーハイドロリクス事業部」に所属しています。

入井 「この事業部の主力は、自動車のトランスミッション(変速機)に搭載されているバルブの生産です。バルブ以外でも、自動車向けに重点を置いた油圧機器を扱っています。現在、車の需要がガソリン車からEVやハイブリッド車に移行し、自動運転化も進んでいるため、その移行に応じて必要な部品も変化する時期にあるんです。

たとえば、自動駐車機能の搭載などに伴い、電動アクチュエータの需要が増加します。そうした時代の要請に合わせ、既存の油圧機器に代えて別の新しい商品を設計・開発し、どんどんお客様に提案していくのが、私たちのミッションです」

掲げているミッションのもと、入井は3?6名ほどのチームメンバーと共に開発や提案にあたっています。

入井 「電動化には、モーターのような電気で動くアクチュエータ(電気・空気圧・油圧などのエネルギーを機械的な動きに変換し、機器を正確に動かす駆動装置)が必要です。 私はその電動アクチュエータの開発を担当しています。

事業部の主力商品である油圧バルブの制御には、電気によって直線動作する『ソレノイド』という電動アクチュエータが使われています。バルブの開発や量産で得られたソレノイドのシーズを活かして、電動化需要のある機器に搭載できるよう、新商品を開発してお客様にご提案しています」

ソレノイドを活用するメリットは、開発におけるコスト面にあります。

入井 「電動化によって、モーターのようなアクチュエータが必要になるんですが、モーターの製造にはコストがかかります。

たとえば、飛び出したり引っ込んだりする単純な直線動作が必要なとき、ソレノイドなら通電するだけでその動きが可能なのに、同じ動作をモーターでやろうとすると、新たに機構を増やして回転運動を直線運動に変換する必要があり、価格もどんどん上がってしまうんです。つまり、ソレノイドはモーターよりも、製造コストを安く抑えられます。これが、ソレノイド活用のメリットの1つです」

多段変速機を必要としないEVの需要増加にともなって、現在のガソリン車向けの油圧機器の需要は減少すると予測されています。

入井は「自分たちの仕事の重要さを理解している」と言いますが、その姿勢は、現在開発している新商品が今後の事業部を支える商品になるかもしれない、という自負の表れでもあるのです。

材料から組み立てまで──すべての技術にノウハウを持つ会社は稀有な存在

▲学生時代に遠隔操作による悪路走破を目的として製作したロボット

大学時代はロボットの製作活動をしていた入井。就職活動も、ロボットや工作機械のメーカーを軸に進めていました。

入井 「大学時代の授業の一環で、ロボットを作る集まりがあり、ある程度学生が自由にできる環境でした。活動する中で、『ロボットを作る』『動く機械を作る』ことがとてもおもしろかったんです。それで、仕事としても関わってみたいなと考え始めました。不二越に興味を持ったのは、中核事業に産業用ロボットの製造があったからですね」

当時を振り返り、「不二越は最初から第一志望だった」という入井。その決め手となったのは、「お客様が社内にいる状態」という風土にありました。

入井 「たとえば、ロボットをお客様に販売するだけではなく、自分たちも社内で作られたロボットを用いて設備を構築し、自動化することができるんです。他にも、社内で製造した特殊鋼などの材料が、工具を製造する部門で使われている場合もあります。

材料を自分たちで作り、加工して商品を作る。その商品を社内で組み立てて、また違う製品にして売り出す。不二越が、社内組織間に密接な関係性を持つからこそ、このように一貫生産できますし、当社は、材料から組み立てまで、すべての技術にノウハウを持っている、珍しい会社なんです」

2018年に入社してからは、カーハイドロリクス事業部技術部へ配属された入井。希望した事業部ではなくとも、「大学の経験を踏まえた配属だと思う」と、配属には納得感を持っています。

配属後には、新入社員全員が対象の8週間の海外語学研修に参加しました。

また、約1年間の現場研修では、量産品の生産に携わる部門の部品加工ラインで設備オペレーターを担当したり、組み立て機械を回す作業に従事したりと、経験を重ねました。

入井 「現場研修では、周囲の方々に助けてもらう場面が多々ありましたね。たとえば、現場は8時から始まり、ある時間になると交代になるんですが、本来交代前までに終わらせているべき作業が終わらなかったことがあったんです。そういう時は、現場の方や先輩社員に手伝ってもらいました。

また、機械はずっと正常に稼働するのが理想ですが、何か異常があれば当然止まります。その異常にも複数のパターンがあり、経験がないとわからない面も少なくありません。不明点は先輩社員に質問してかなり助けてもらいましたね」

※なお、現在、技術系の方の採用については、専攻や研究内容を確認し、選考時に希望をお伺いした上で事業部ごとの採用を主としています。

お客様の要望に応えるうちに、製品サイズが最初の半分以下の大きさに

▲海外語学留学でグループメンバーと

現場研修を経て2019年、現在の開発部署に配属された入井。お客様の「こういうモノを作ってほしい」という要望に応えて開発を繰り返し、改良を重ねる仕事を日々行っています。

入井 「実際に要望をいただいた製品に、自動車用のアクチュエータがあります。お客様からは、『どんどんモノを小さくしたい』という声をいただいていました。作って一度お客様に提出し、反応をいただいて改良し、また提出、を繰り返すうちに、最初と比べて半分以下の大きさになってきました。われながらびっくりしましたが、手ごたえが得られてうれしかったですね」

製品サイズを半分以下。サラリとすごいことを言ってのける入井ですが、この成果はチームでの長期間にわたる構造変更や、見直しなどの努力があったからこそ生まれたものでした。

入井 「モノが形になった瞬間は、非常にやりがいを感じます。設計にあたっては、パソコン上でモデルを作ったり図面を書いたりするんですが、それだけだとあくまで画面の中にあるモデルにすぎません。実際に材料を使ってモノを作って、実物ができ上がると、やはり達成感がありますね」

開発するにあたって求められる技術や知識を、入井はどのようにして習得しているのでしょうか。そこには、実は不二越の育成方針があります。

入井 「チームリーダーは、すべての業務をやってきたジェネラリストです。そのリーダーから、基本的に業務をいろいろ与えられるので、それを一つひとつこなすことでスキルが必然的に伸びていくのかなと思っています。

必要なスキルは、チームリーダーが見ていまして、『この人は何ができるようになった』『今後どういう風にスキルをつけてもらって、チームで仕事をしてもらいたいか』という点を指摘してくれます。そうした指摘に応えるべく、自分の頭で考えながら業務をこなすことで、必要な技術や知識がついてきたというわけです」

設計をメインにやっている社員もいれば、製品評価を主体としてやっている社員もいます。しかし、どちらかだけできればいいわけではありません。不二越では、「ある人はこれだけできて、ある人はこれだけできる」という社員教育はしておらず、全方位的にスキルを磨く人材育成方針をとっているのです。

自由度が高い会社だからこそ難しいときもある。でもそれが、おもしろい

「学生時代の学びを活かせている」と感じる瞬間があるという入井。

入井 「今開発している自動車部品は、信頼性が絶対的に必要であり、耐久性を試験しています。試験の際には、機械を限界まで動かしてみるんですが、機械の摩擦によってどんどん摩耗して不具合が出ることが少なくありません。大学では、機械摩擦・摩耗分野の研究室にいましたから、こういったときの原因解明時に、大学時代の研究が役に立っています」

今までは、製品の評価がメインだった入井ですが、最近では設計や実際に製品の形を作る業務がメインになりつつあります。

約3年間、スキルアップをしながらカーハイドロリクス事業部で働いてきた入井は、今、どう感じているのでしょうか。

入井 「短い周期で開発でき、新しさを求めて進んでいく今の部署の仕事はおもしろいですね。だから、希望した事業部ではないスタートに後悔はありません。また、フラットで年次に関わらず意見を出したり、話し合ったりできる環境があるのは、いいところだと感じています。

当面の目標としては、今開発している製品をなんとか量産まで持っていきたいです。量産するには当然、お客様の反応をうかがいながらコストを抑える努力もしなければいけません。そうしたことを丁寧に行いつつ、形にできたらいいなと考えています」

そう遠くはない、実現した未来に目を輝かせる入井は、不二越を志望する方に向けて会社の魅力をこのように語ります。

入井 「不二越は、自由度がとても高い開発をしている会社ですが、自由度が高すぎるからこそ難しい仕事もある。元となる設計があれば、改良を加えるだけで開発ができることもあります。

しかし、設計自体が一切ない状態から新しいモノを作ることもあります。その場合、部品一つひとつが新しい設計になるので、『この部品が本当にこの形状でいいのか?』という自問自答から始まるわけです。 形状ひとつとってもゼロから作るので自由度が高いですが、かなり難しいことをやっているのも確か。でも、おもしろい。そのおもしろさに、若い社員でもチャレンジできるのが不二越の魅力です」

先入観がない人のほうが新しい商品を作るのに向いている、と語る入井。どんどん新しいことを考え出す後輩社員が増えることを期待しつつ、自身も成長する。そんな入井の活躍に要注目です。

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