誰も知らない「断トツ」のバイク用タイヤを目指して──商品企画担当の挑戦 | キャリコネニュース
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誰も知らない「断トツ」のバイク用タイヤを目指して──商品企画担当の挑戦

(株)ブリヂストンのMCタイヤ事業部でバイク用タイヤの商品企画を行っている真田 弘樹。彼は、国内および海外で販売されるバイク(Motorcycle)用タイヤの商品企画には欠かせないメンバーです。お客様の声に寄り添い、グローバルのチームメイトと連携しながら商品企画に取り組む彼の挑戦の日々に迫ります。【talentbookで読む】

国内外のチームメイトとともに、こだわりのタイヤを世界へ送り出す

モータースポーツ用バイク、アドベンチャー用バイク、スクーター……。「バイク」と一口に言ってもたくさんの種類があります。中でもブリヂストンが特に力を入れているのは、高い性能が求められる大型バイク用のタイヤ。

その新商品企画や販売促進に向けた戦略立案を担うメンバーのひとりが、中堅社員として活躍する2015年入社の真田 弘樹です。

真田 「私の仕事は、バイク用タイヤのビジネス全体をけん引すること。戦略を立て、各部署をまとめながらプロジェクトを進めていきます。巻き込む相手は、近くにいる本社のメンバーだけではありません。国内工場で生産に携わっているチームメイトや、海外の販売現場で働いているチームメイトなど、幅広い関係者とやりとりを重ねます。こうして、こだわりのタイヤを世界へと送り出していくのです」

販売市場やターゲットを決めて商品づくりをしている真田が心がけているのは、お客様の声を聞くことだといいます。

真田 「バイクに乗らない人からすれば、『バイクのタイヤってそもそもどんなもの?車とどう違うの?』と思うかもしれません。バイクには、レース用バイクやツーリング用バイクなど、いろいろなカテゴリーがありますが、その用途に合わせて、タイヤにもさまざまなカテゴリーがあるのです。

当社が特に力を入れているのは、大型バイクが走っているヨーロッパやアメリカ、そして日本など先進国の市場。ここに向けて、多種多様なタイヤを製造しているというわけです」

真田が主に扱っているのは、バイクメーカーに納品するタイヤではなく「リプレイスタイヤ」。つまり一般のお客様がタイヤを履き替える時に購入するタイヤです。そのため、お客様に店頭で直接選んでもらえる商品づくりが肝になります。だからこそ真田は、可能な限りお客様の声を拾い、ニーズに応えるような商品を作るように心がけています。

まさかの初任配属に困惑。でも、あのときの学びが今の自分を支えている

新卒でブリヂストンに入社した真田は、当時から海外への熱量が高く、「将来は海外に関わる仕事がしたい」と明確に考えていたといいます。

真田 「学生時代は、カナダのバンクーバーで6週間の短期インターンシップ、カルガリーで約1年間の留学を経験しました。最初は本当に気軽な気持ちで行ったのですが、現地で生活しているといろんな価値観を持った人がいて、そんな環境で働きたいなと感じたんですよね。それで、将来も海外で仕事がしたいと考えるようになりました」

そんな真田ですが、就職活動の際は日本のメーカーを志望。それにはワケがありました。

真田 「海外で生活していると『日本製のモノっていいよね』と言われることがよくありました。そういう経験を重ねるうちに、なんらかのかたちで日本製品に関わる仕事ができたらいいなと思うようになったんです。でも自分は開発者や技術者ではないので、製造は難しい。ならば日本メーカーのすばらしい商品を海外に広げるとか、そういったことならできるのではと考えました」

日本のメーカーに入社し、対グローバルで仕事をしたい。そんなビジョンを持って、ブリヂストンに入社しました。しかし、それはスムーズには叶いません。最初の配属先が、意外なところだったのです。

真田 「ブリヂストンリテールジャパンという会社に、ブリヂストンからの派遣というかたちで配属されました。仕事の内容は、タイヤを中心としたカー用品を扱うお店『タイヤ館』への集客業務。全国に展開しているタイヤ館にお客様が集まるように、本部として施策を行うという仕事でした。正直思い描いていた仕事とは真逆の、バリバリ国内に向き合う仕事で、配属発表のときは落ち込みましたね」

それでも、この初任配属があったからこそ今があると真田は感じています。

真田 「当時は、どうやったらお客様にお店へ来てもらえるのかをいつも考えていました。チラシ作りのほか、デジタル施策も行い、オリジナルのアプリケーション開発も経験しましたね。デジタルマーケティングの観点で、とてもいい勉強ができたと思います」

小売の現場と密接に関わる環境だからこそ気づけたことも、たくさんあります。

真田 「販売現場に新しいアプリを導入しようとしたとき、すごく苦労したのが大きな糧となっています。自分は本部の人間として、コンサルタントも交えながらいろいろな知見を集めて最適なアプリを開発したはずなのですが、いざ販売現場に落とし込もうとすると、店舗の担当から反発される。

そのあたりの現場の温度感やコミュニケーションの重要性を知ることができたことは、よかったですね。今の仕事にすごく活かされています」

企画の原点はユーザーの声。「断トツの商品」を目指し、調査と議論を重ねる

予想外のポジションに置かれながらも、およそ3年間小売の現場で貴重な経験をした真田。学びを土台に、2019年からMCタイヤ事業部に所属しています。

真田 「今は、ヨーロッパやアメリカにいる販売チームと連携しながら、商品企画を進めています。英語を使って仕事をすることもありますし、気づけば入社前に思い描いていたような仕事をさせてもらっています」

まずは、「どのくらいの性能を目指して商品を作るのか」をエンジニアと決めることから、企画が始まっていきます。

真田 「とにかく意識するのは、ユーザーの声です。既存商品や他社製品の評判を集めてリサーチし、そこにどういった価値を乗せればユーザーに響くのか検討していきます。さらにこの段階で販売チームや設計チームの意見も取り入れ、最終的な目標地点を定めています」

この目標設定には、商品企画独特の難しさがあるといいます。

真田 「バイクユーザーの方は、こだわりを持った方が多くいます。『長く走るから、持ちのいいタイヤが欲しい!』という人もいれば、『雨天時にも安心できるウェット性能が高いものがいい』という人もいる。本当にいろいろな需要があるので『こんな商品なら売れる』という明確なゴールはなく、正解はひとつではありません。

だからこそ、お客様の声を聞きながら、その都度、ベストな商品設計を意識しています。現場の声を聞くために、かつては出張をしてお客様と直接コミュニケーションを取ることもしていましたが、コロナ禍以降は出張が難しくもどかしい思いもしました。代わりに今は、海外市場のの各MCチームがお客様の生の声を集めて、それを材料にして企画を作っていますよ」

ユーザーのニーズを探りながら、白熱の議論の末にたどり着く新商品。関わった社員の思い入れは強いものです。

真田 「実は、私がMCタイヤ事業部に来て初めて携わったアドベンチャーバイク用のタイヤ『BATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41』が、2022年の2月に発売されました。

実際に、3年ぶりのリアル開催となった2022年のモーターサイクルショーでお披露目する際、私も説明員としてブースに立ちました。すると『かっこいいよね』とか『もう買ったよ』と言ってくださるお客様が何十人もいて。性能だけでなく見た目にもこだわった商品だったので、本当に嬉しかったです」

他社に負けない「断トツの商品」を作って、ビジネスを最大化させたい

真田は、MCタイヤ事業部への配属を受けて、初めて大型バイクの免許を取得しました。もともとバイクには乗らなかったものの、実際に触れてみることで、仕事にも好影響が感じられたといいます。

真田 「自分でバイクを購入し乗ってみたことで、お客様が求めているものを想像しやすくなりましたね。また、プライベートでライディングを楽しむだけではなく、販売店向けのタイヤの履き比べの試乗会に参加することもあります。タイヤの違いや、それぞれの良さを体感で理解することで、商品企画にも活かせるのではないかと考えています」

積極的に自身の幅を広げ、楽しみながら業務にあたる真田。戦略企画課を支える重要なポジションとして、今後のビジョンをどう描いているのでしょうか。

真田 「これからは、商品をどの市場でどう売っていくのかという、販売の部分にも意識を向けていきたいと思っています。コロナ禍の影響もあり、ここ数年で市場の環境は目まぐるしく変わっています。

だからこそ、ビジネスの全体像を見ながら戦略を立て、国内だけでなくグローバルな視点で市場を捉えたい。そして、事業として『稼ぐ力』をどうつけていくかを考えていきたいなと思います」

その一方、個人としての目標は、商品づくりにあります。

真田 「他社に負けない『断トツの商品』を作っていこうと思っています。もちろん私ひとりで何かができるとはまったく思っていないので、開発や販売などのさまざまな関係者を巻き込む必要があるわけですが、自分がその柱になれたらいいですね。エンドユーザーの方が思わず買いたくなるような商品を作ることで、お客様に喜んでもらえたらと思っています」

日本から世界へと魅力的なバイク用タイヤを送り出している真田。他社がまだ作っていないような「断トツの商品」を目指して、彼の挑戦はこれからも続きます。

株式会社ブリヂストン

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