農林中金が手がける広大な投資領域が舞台。専門部隊を率いるインハウスローヤーの挑戦 | キャリコネニュース
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農林中金が手がける広大な投資領域が舞台。専門部隊を率いるインハウスローヤーの挑戦

投資契約部で部長代理を務める石川 皓一。弁護士資格を取得するなど、法務に関する豊富な知識を武器に、投資契約のリーガルチェックのほか、子会社の立ち上げ、案件のリーガルサポートなど幅広い業務に携わっています。石川にとって、農林中央金庫で働く魅力とは。ここでしか味わえない仕事のおもしろさについて語ります。【talentbookで読む】

リーガルチェックから子会社設立まで。インハウスローヤーとして投資基盤をサポート

投資契約部の投資契約班に所属する石川。2022年8月現在、国際分散投資を手がけるグローバル・インベストメンツ本部(以下、GI本部)で、投資部門のリーガルチェックを担当するほか、子会社の立ち上げやリーガルサポートなど、幅広い業務に携わっています。

石川 「プロジェクトファイナンスや、プライベートエクィティファンドや不動産エクィティなどのオルタナティブ資産への投資に関わる契約書の内容をチェックするのが主な仕事です。フロントサイドの想定が契約上担保できているかどうかを確認するだけでなく、より優位な条件を引き出すため、契約交渉に同席することもあります。

また、私募REITを運用する農中JAML投資顧問株式会社の法務室も兼職していて、その立ち上げ業務にも関わっています。あとは、農林中金キャピタルのリーガルサポートですね。バイアウト、エクイティ投資案件などの契約書を法務の立場からチェックしています」

メンバーは14名で、そのうち石川を含む3名が弁護士。残りが農林中央金庫のプロパーという構成です。

石川 「弁護士はふたりの部下を含め、全員が中途採用。前の職場から引き抜いてきたメンバーです。日本法に関する業務は前職でもやっていましたが、農林中央金庫は投資領域が広いのが特徴。英米法など海外の法律に準拠する契約書も多く、転職して初めてやるような業務もありますね」

高度なリスクマネジメントによって、中長期的な安定収益を確保してきた農林中央金庫。投資契約部は、フロントに立ってその投資基盤を支えてきました。

石川「投資契約部では、①投資アセット積上げ・外貨調達基盤維持に必要なリーガル機能提供②グループ会社の機能を活用したアセットマネジメントビジネス強化にかかる支援をミッションとして掲げています。

これまで投資家という立場で投資を行ってきましたが、2021年に農中JAML投資顧問と農林中金キャピタルを設立するなど、資産運用ビジネスへの取り組みにも力を入れています。ミッションへの想いを新たにしているところです」

投資契約部では、いわばインハウスローヤーとして活躍する石川。仕事と向き合う上で、大切にしていることがあります。

石川 「弁護士事務所にいたときは、あくまで外部という立場。リスク分析を行った上で顧客に対して法的な説明を行い、選択肢を提案するところまでが仕事でした。一方、投資契約部は、インハウスのリーガル部隊です。フロントがやりたいと考えていることを実現するために、当社のビジネスに照らし合わせながら、どこまでリスクを取れるか、自分事として、フロントと一緒になって悩み、考えることを大切にしています。

私たちが、『これはできない』、『これをするのはリスクが高い』といってしまうと、ビジネスを先に進めようがありませんし、会社のためにもなりません。フロントに対して、ただ“NO”をつきつけるのではなく、どうすればYESになるのか、どこまでならYESといえるのかを、とことん考えることが投資契約部の務めだと思っています」

法律の専門家として業務の幅を広げたい。メガバンク、弁護士事務所を経て、現職へ

農林中央金庫には中途で入社した石川。新卒で入行したメガバンクで経験を積んだ後、弁護士事務所に所属し、法務に関する基礎体力を身につけてきました。

石川 「新卒でメガバンクに入り、法人営業を4年ほど。その後、本部に移って、店舗ネットワーク最適化のためのマーケット分析や、施策遂行のための関係部門の調整、店舗の統廃合などの業務を担当しました。

人事異動を繰り返し、異なった業務をこなしていく中で、金融の仕事を長く続けていくためには、何かしらの専門性を身につける必要があると感じていたんです。自分の場合は、それが法律。いずれ法務の立場から金融の仕事に関わりたいという想いで、弁護士を目指すことにしました」

2016年に司法試験に合格。司法修習を経て、2017年に弁護士事務所に入所し、弁護士としてのキャリアをスタートさせます。

石川 「転職先として選んだのは、金融取引に強い事務所。M&A資金を供給する仕事、いわゆる買収ファイナンスといわれる業務のほか、不動産の流動化案件の法務や、銀行相手に銀行法まわりの助言をする仕事などもしていました」

法律の専門家としての道を歩き始めた石川でしたが、「より主体的に金融の業務に関わりたい」という想いが湧いてきたといいます。

石川 「弁護士は、あくまで外部のアドバイザー。手がける案件も、法律の知識が必要なところに断片的に関わるのが一般的です。そうやって弁護士として業務に関わるうちに、投資などの案件にもう少し深く関わりたいと思うようになっていったんです。

また、弁護士事務所では、パートナーに昇格しないと案件を主体的にコントロールすることはできないことが多いです。インハウスローヤーなら、より早い段階から、より自分らしさを発揮できるのではないかという想いもありました」

石川が選んだのが農林中央金庫。明確な理由がありました。

石川 「銀行での実務経験を活かしたかったので、銀行に的を絞っていたんです。中でも、農林中央金庫を選んだ理由は、銀行でありながら、国内最大級の機関投資家でもあり、国際分散投資を手がけるなど、投資領域がきわめて広いこと。農林中央金庫は、投資のリーガル専門部隊を設置している上、投資をする側としてだけでなく、投資をされる側としての法務にも関わることができる稀有な会社です。

弁護士として業務の幅を広げたいと考えていた自分にとって、これ以上の環境はないだろうと思いました。あとは、全国区の系統金融機関として、独自性・優位性のあるビジネスを持っていること、第一次産業に従事する人たちの役に立つという、公益性の高い仕事ができるところに社会的意義を見出せたことも決め手になりましたね」

実際に入社して、想像していた以上に投資範囲の広さを感じているという石川。次のように続けます。

石川 「投資している領域があまりに広すぎて、『どの法律を参照しているんだろう』と思うことも。内製化を進めている部分があるので、外部に頼らず自分で判断しなくてはいけないことが多く、弁護士事務所では感じたことのない大変さがありますね」

他方、経営陣と距離が近く、経営上の決定に大きく関与できていることに大きなやりがいを感じていると話します。

石川 「法的論点について自分が整理した内容にしたがって、会社が動いていくのを実感できています。たとえば、農中JAML投資顧問が立ち上がったのも、外部の弁護士事務所からの意見書に私が誤りを見つけたことがきっかけだったんです。

数年前まで、不動産投資顧問会社への出資のニーズがあったものの、『農林中央金庫は、不動産投資顧問会社を子会社とすることはできない』とする意見書の内容を信じ、不動産投資顧問会社に対してマイナー出資をすることを計画するにとどまっていました。

ところが、それが誤りだとわかったことで、会社設立へと動き出すことができたんです。農中JAML投資顧問に関しては、その後の立ち上げ業務も任せてもらっています。100兆円規模の運用している機関で、これほど裁量を持たせてもらえる機会は、滅多にないはずです」

フラットな環境で幅広い業務に携わりながら成長。大事なのはチームプレーができること

子会社の立ち上げなど、活動領域を所属部署に限定せず、幅広い業務に携わる石川。その背景にあるのは、「金庫全体を良くしたい」という想いです。

石川 「やっていることを他の部署にも還元して、金庫全体を良くしていこうという空気が部署内にあるんです。おかげで、仕事の幅が広がり、農林中央金庫全体のフィールドの大きさを感じることができています。

たとえば、食農本部の案件にも関わっているんですが、農家さんや事業会社、役所の方々など、利害関係者の数がとにかく多いんです。そういったさまざまな人たちと折り合いをつけながら、業務を進めていくのも、農林中央金庫が他の金融機関と違うところ。学びが多く、仕事の幅が広がるのを実感しています」

また、農林中央金庫には、ボトムアップで意見を伝えられる風土があるという石川。

石川 「部下が上司に対して、フランクに意見をいえるような風通しの良さがあって。たとえば、おかしいと思ったことに対しては、『おかしい』といえる雰囲気があるんです。トップダウンではなく、皆で考え、議論しながら物事を決めていく感覚がありますね。『こういうことがやりたい』といえば、ちゃんと聞いてもらえるし、いろいろなことをやらしてくれる。いい会社だなと思います」

だからこそ、農林中央金庫には、オーナーシップを持って仕事に取り組める人が向いていると石川はいいます。

石川 「『法律上こうなってるんです』という具合に、杓子定規的に法律の解釈だけを述べるような人よりも、フロントの人と一緒になって伴走できるような人が向いていると思います。案件に共感し、『一緒にやろう!』という気持ちを持てる人が活躍している印象がありますね。

あとは、社内のコミュニケーションをいとわず、皆で作り上げることを意識できることも大事だと思います。“チームプレーができる人”といい換えられるかもしれませんね」

また、とくに自分と同じ法律の専門家には、「法律に関する知識を、あくまでビジネスを進めるためのツールだと思ってほしい」と話す石川。

石川 「農林中央金庫では、案件が進んでいくプロセスの最初から最後まで関わることになります。たとえば、法律事務所の仕事でいうなら、クライアントの業務に興味を持って、『どんな仕組みになっているんだろう』とか『どうすればこの仕組みを改善していけるだろうか』と考え抜くことが求められるんです。法律そのものではなく、ビジネス的な側面に関心を持ってほしいと思います」

知見の蓄積と組織力の強化によって、次なるフェーズへ

GI本部で、初めて管理職を経験することになった石川。メンバーのマネジメントに携わるようになったことで、仕事との向き合い方に変化があったといいます。

石川 「前職までは、自分が担当する仕事をどうやって組み立てていくかに注力していればよかったんですが、管理職となってからは、どう他の弁護士のメンバーと知見を共有し、ナレッジとして社内に蓄積していくかに意識が向くようになりました。

また、人に仕事を任せられるようになったと思います。チームで連携すれば、ひとりではとてもできないようなことでも実現できることを知りました。メンバーに仕事を振って、どこまでやれるか見極めながら進めることで、従来の何倍もの仕事量をこなせている気がします」

これまでさまざまな業務を経験し、キャリアアップしてきた石川。共に働くふたりのメンバーにもまた、視野を広げながら市場価値を高めてもらいたいと話します。

石川 「農中JAML投資顧問を担当しているメンバーには、『この会社は自分が作った会社だ』といえるくらい、主体的に仕事に取り組んでほしいと思っています。子会社を作るとなると、投資まわりの契約だけではなく、株主総会や取締役会の開催方法など、会社を運営するのに必要な知識も必要になってきます。

幅広い業務に積極的に関わることで視野をさらに高くし、次のステップに進んでもらえたらいいなと。農林中金キャピタルを担当しているメンバーには、弁護士として得意分野を作ってもらいたいという想いで、将来的なキャリアも見据えながら、仕事を振っています。貪欲に取り組んで、どんどん市場価値を高めていってほしいですね」

そんな石川がいま、チームとして掲げる目標は、組織力を高めていくこと。

石川 「現時点では、外部の法律事務所の力を借りながら業務にあたっていますが、コミュニケーションに時間をとられてしまいがちです。内部に知見を蓄積して金庫内にあたかも法律事務所を抱えているかのように体制を強化し、投資に機動的に対応できるような組織作りをしていきたいと思っています」

金融機関の法務全般に対応できるような力をつけて、いずれは農林中金グループの会社でリーガル部門のマネジメントを任されるような存在になりたいと自身の将来を展望する石川。農林中央金庫の広大な投資領域を舞台に、専門部隊を率いて向かう先は、ビジネスの最前線です。

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