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絶賛育児奮闘中のマネージャーが語る、多様化社会における働き方のススメ

営業職としてキャリアをスタートした奥村 真弓。障がいを持つ社員を中心に運営する事務センターの立ち上げに、マネージャーとして参画しました。はじめての育児に奮闘しながら、前例のない取り組みに邁進する奥村のキャリアに迫ります。【talentbookで読む】

頑張りが評価される仕組みづくりに貢献、アドミニストレーター初のリーダー

「人に関わる仕事をしたい」と希望して、就職活動をしていたという奥村。内定をもらった会社の中から就職先に選んだのは、ランスタッドの前身であるフジスタッフでした。

奥村 「説明会の雰囲気や『人にしてもらいたいことを人にしましょう』という理念が、すごく身近に感じられて入社しました。京都で営業職として新卒採用されてから、ずっとコンサルタントをしていましたが、人を商品化してさばいていくような人材会社とは違い、フジスタッフは人に寄り添っていると感じていましたし、クライアントからもそう言ってもらえることがよくありました」

その奥村に大きな転機が訪れます。それは、世界中が金融危機・経済恐慌に直面した2008年のリーマン・ショック。奥村が担当するクライアントもそのあおりを受け、何人もの派遣スタッフの契約を打ち切らざるを得ない状況に陥りました。

奥村 「本当に頑張って長期間働いていたスタッフの契約を切り、それでも売上を上げるために新規の仕事を取らなければいけないという状況が、精神的にだいぶこたえてしまって。もちろん派遣社員は、そういうときこそ必要な仕事であることはわかっていたんですけど……」

コンサルタントとして働き続けることに自信を失った奥村は上司に相談。内勤であるコーディネーター職と兼任という形で、コンサルタントの仕事を継続することにします。そうして二足の草鞋で仕事を続ける中、営業職から事務職への異動の打診がありました。

奥村 「大阪のアドミニストレーターが育児休暇に入るタイミングで、声をかけてもらいました。当時、大阪に住んでいた今の夫との結婚を予定していたので、ちょうどタイミングが合ったので異動したんです」

登録スタッフの契約や給与、社会保険に関する事務を担当するアドミニストレーター。当時の会社の仕組みでは、アドミニストレーターの業績が評価されにくい構造になっていました。それではアドミニストレーターの意識やモチベーションは上に向かない、頑張りは評価されるべきだと感じた奥村は、自らがその構造を打ち破る決意をします。

奥村 「アドミからリーダーが出ればいいんだと思って、『エリアアドミのリーダーになる』という目標を立てました。実際に達成したことで、アドミでもリーダーになれるというモデルラインを作ることができました。今ではアドミのリーダーも珍しくありません」

コンサルタント時代の経験を活かしたCPC運営マネジメントに挑戦

奥村はその後、東京に異動となった夫に伴い転居します。赤坂本社の営業企画に異動することになりました。

2022年10月現在籍を置く、首都圏集中プロセスセンター(以下、CPC)が立ち上がったのは、奥村が育休中の2017年4月のこと。同年6月に復職予定だった奥村に、その「契約センター」の管理者として白羽の矢が立ったのです。

それまで全国の支店に配置されたアドミニストレーターの事務業務を一手に引き受けることになるCPC。さらに、障がいを持つ社員を中心にCPCを運営するという、誰も経験したことのないプロジェクトでした。

奥村 「今の上長である伊藤さんから説明を受けたときには、これは本当に大変だと危機感を抱きました。伊藤さんは私の新卒研修の担当だったんです。当時からすごい方だなぁと思っていたんですけど、一緒にお仕事をする機会はなくて。伊藤さんの力になれるなら一緒に働きたいと、話を受けました」

しかし奥村は「本当に障がいを持つ社員を主力として運営できるのか」という不安を感じていました。

奥村 「凝り固まったイメージを抱いていましたが、実際に職場の様子を見学してみると、いろいろと想像とは違う印象でした」

現在、契約センターでは奥村を含む4名の社員と13名の障がいを持つ社員が共に働いています。実務は障がいを持つ社員が担当し、奥村はそのマネジメントを担っています。

奥村 「たとえば躁うつや双極性障がいなど、いろいろな精神疾患がありますが、同じ診断名でも症状や配慮が必要な点はそれぞれに異なります。難しさを感じることもありますが、コンサルタント時代に派遣スタッフをフォローしていた経験が活きています。定期的にフォローしたり、相手に寄り添ったヒアリングで状況を把握したり、といった経験がなければちょっと厳しかったかもしれません」

現場を知っているからこその細やかな配慮。障がいを持つ社員に寄り添った取り組み

業務の指示内容、マニュアルの色や挿絵使い、説明する時間の長さなど、障がいを持つ社員にどうしたら伝わりやすいのか、あるいはどういう表現が相手を傷つけるのか。普段はあまり気にかけることのない細部にまで気を配る奥村。

イレギュラーなことや臨機応変な対応を苦手とする人が多いという特性の障がいを持つ社員。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言が発出された際には、CPC自体が閉鎖になるという、思いがけないイレギュラーな事態に直面することになりました。突然全員が在宅勤務を余儀なくされたのです。

奥村 「マニュアルをすべて作り直して、在宅でも業務可能なフローに変えました。一人暮らしをされている精神疾患を持つ方は、気づかぬうちに体調を崩していることもあり、チャットをつなぎっぱなしにして常に声かけをしながら対応していました。正解はないので、状況に合わせて模索しながらやっていましたね」

それぞれが異なる特性の障がいを持つ社員と共に、手探りの運営。しかしCPCに勤める障がいを持つ社員は、現状に高い満足度を感じています。

奥村 「無記名アンケートでは、障がいを持つ社員から『今までは実務をする機会が与えられなかった』『今までは差別をいっぱい受けてきた』『これまでで一番長く働けている』『こんなに仕事ができると思わなかった』という声がたくさん寄せられました。ランスタッドと出合ったことが、人生の大きなポイントになったのであれば、人材業界に携わる者として本当に嬉しいことです」

営業の現場を知る奥村は、コンサルタントが営業に集中できるようCPCの業務でアシストしたいという想いがあります。ところが会社の規定で障がいを持つ社員は、残業できないことになっているため、たとえ業務が終わらなくてもCPCは18時で終業となります。

奥村 「なるべくコンサルタントに寄り添った対応をしたいと、ずっとメンバーに伝えています。その意識が業務時間内に集約されているのか、コンサルタントからも18時で終了してしまう不便さよりも『すごくありがたい』という意見をたくさんもらえていることから、貢献できているのではないかと感じています」

活躍と成長を後押しする環境づくり

CPCには、「私はこれができない、あれもできない」と言って入社される障がいを持つ社員は少なくありません。しかし実務をこなし感謝される経験を積み重ねることで、「自分はできる」と自信をつけていく人を数多く見てきました。

奥村 「『やってみたい』という希望があれば、ジョブローテーションを活用して、どんどん新しい業務にチャレンジする機会を設けるようにしています。そうすることで、さらに『こんなこともできた』と可能性を感じてくれていると思います。

一方で、さまざまな特性の方が、理解できるマニュアル化した業務であることから、自ら判断して、自分からアクティブに取り組みたい方には、物足りない環境かもしれません。合う・合わないもありますので、そういう方には更新面談のときに『あなたが望む働き方やあなたの性格には、他に道があるのではないか』ということも正直に話しています」

ランスタッドでは、障がいを持つ社員であっても他のキャリアや職種の公募に自分から手を挙げるチャンスがあります。たとえ障がいを持っていても「お手伝い的な業務」ではなく、「主として業務を担当する」ことができる環境があります。

どんな人にも可能性は広がっている──CPCでそれを形にしつつ、奥村自身も「育児をしながら、在宅と出勤を交えながらマネージャーができる」という働き方を体現しています。

奥村 「不在にすることもある中で、指揮命令者がいなくてもマニュアルを読めば業務が進む、不安があればいつでもチャットできる、という環境を整えています。リーダーのメンバーに私の業務のほとんどを共有しておき、いつ何があっても流れが止まらないようにしています」

毎日のように保育園からのお迎えの呼び出しに対応していた時期や、子どもの入院・看護のために突然一週間の休暇を取らなければならなくなったこともありました。

奥村 「契約センター業務は止めることができません。できる限り自分しかできない仕事がないよう心掛け、チーム全体もその意識で運営しています。チームとして業務シェアをすることでチーム全体のスキルアップができますし、メンバーに頼れる環境をつくることがメンバーの仕事とプライベートの両立につながると思います」

かつてアドミニストレーターのキャリアアップの道筋を切り開いたように、自身の進む道を道標として後進に示せるように。奥村はランスタッドの事業成長をCPCの円滑運営で支えながら、多様な時代の働き方を体現し続けています。

ランスタッド株式会社

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