事務職から土木職へ転身。挑戦を後押しするあたたかい職場で広がるキャリア
2020年12月に飲食業からキャリアチェンジし、前田道路に中途入社した佐野 茜。事務職を約2年間経験した後、2023年4月に土木職へ転身を果たしました。女性で事務職から土木職へ転換したのは社内でも佐野が初めて。これまで歩んできた人生とともに、前例のない挑戦を決意した理由と仕事への想いを語ります。【talentbookで読む】
初の現場は外環自動車道の補修工事。親切な先輩たちに助けられ、一から学ぶ日々
2023年4月に事務職から土木職へ職群転換した佐野。現在は外環自動車道の三郷管理事務所管内舗装補修工事を担当しています。
「外環自動車道は交通量が多いため、経年劣化しやすいのが特徴です。いま私が携わっている工事では、その傷んだ部分を約2年間かけて40カ所程度補修していきます」
施工開始は2023年8月。それまで4カ月にわたって工事にまつわる書類の作成や協力会社とのやり取りをしながら、工事の準備を行ってきました。
「先輩の話では、通常、工事が始まってから配属になることが多いのですが、今回、準備段階から携わることができて、最初に良い経験をさせてもらったと思っています。まだ工事が始まっていないので、施工が始まれば働き方はガラリと変わることになります。工事は交通量の少ない夜間に行われることがほとんどのため、働く時間帯も変わりますね」
打ち合わせでは専門的な用語が飛び交うため、話を聞くのにいまは精一杯だと話す佐野。周囲の支えに助けられていると言います。
「私には現場経験がまったくないので、先輩に教えてもらいながら書類作成などの作業を行っています。いつも質問ばかりしているのですが、忙しいのに手を止めてわかるまで細かく説明してくれて。とても学びやすい環境をつくってもらっていると感じています」
メンバーは所長を含めて4人。世代が異なり、それぞれちょうど12歳差。バランスが取れたチームの中で、佐野は着実に成長を重ねてきました。
「何かあれば上司はきちんと話を聞いてくれますし、チームの雰囲気もアットホーム。皆さん本当に仲が良く、世代の違うメンバーから娘や孫のように可愛がってもらっています。空き時間には子どもや孫の話、ゲームなど仕事以外の話題で盛り上がることも。本当に居心地のいい事務所だと思います。
現場では休憩中にいろいろな話をしながら楽しく過ごしているので、仕事のときは仕事、休むときは休むという具合に、メリハリをつけてうまくやっていきたいですね」
初めて経験した挫折。途方に暮れる中、導かれるようにして建設業界へ
大学では薬学を専攻し、製薬メーカーや薬剤師の道をめざしていたという佐野。しかし、大学4年生のときに病気を患い入院することになりました。
「入院したことで思ったように進級できず、退学して就職する道を選びました。ところが、就職先は過酷な労働環境で、自分の身体には合わず、試用期間を終えて退職してしまったんです。大学も辞めて、仕事も辞めて。初めての挫折に自分に自信が持てなくなっていた時期でした」
途方に暮れる中、佐野は学生時代にアルバイト経験があったことから、飲食業界で働き始めました。しかしそれも、勤めていた店舗がコロナ禍で休業ということに。
うまくいかないことが続く中で、辿り着いたのが建設業界でした。
「いろいろ考えた末に、接客業以外にも目を向けてみようと思うようになりました。そのときに浮かんだのが、父が働いていて身近に感じた建設業界。そして就職活動する中で出会ったのが前田道路でした」
前田道路には、事務職として入社。北関東支店の安全環境品質部に配属され、工事や建設作業の安全書類の作成や管理など、安全全般に関する仕事に携わりました。
入社後の仕事の中でも、とくに佐野の印象に残っていると言うのが、入社2カ月目で手掛けた「情報シート」の電子化の業務です。
「情報シートとは、社員が日々の気づきや情報、要望などを記載して提出する書類のこと。月1回、ひとり1枚の提出が義務付けられていて、毎月300枚ほど集めて本社に報告するのですが、これを紙から電子化するプロジェクトに携わりました」
社員全員に電子印のやり方を教える必要があったため、自分にできるか不安もあったと言う佐野。当時の上司の励ましもあり、無事に成功させます。
「電子化によって、書類作成時間が大幅に減った上に、以前は集めた後に整理して上司に提出していたのですが、すでに整理済みの状態で提出でき、大きな効率化を図ることができました。
この経験の後、仕事に対する捉え方が大きく変わりましたね。何をするにも『できない』とは思わずに、まずはやってみること。壁にぶつかったとしても、改善を重ねることで最終的にはどんなことでも成し遂げられると考えられるようになりました」
またとないチャンス。求められているならば頑張ろうと。事務職から土木職へ
安全環境品質部ではデスクワークが中心の日々。もともと接客業で人と関わっていたこともあり、佐野は徐々に別の仕事も経験してみたいと考えるように。
支店長から「現場に出てみないか」と声を掛けられたのは、ちょうどそんなときでした。
「はっきりと口にしたことはなかったのですが、何気ない雑談の中の言葉を拾って、支店長は私の想いに気づいてくれていました。将来的に私が父の仕事を引き継ぐこともあるだろうからと、『現場を知っておいた方がいい』と、早いうちから現場を学ばせようと考えてくだれたのだと思います」
それまで前田道路には女性が事務職から土木職に転身した前例はありませんでした。しかし佐野は挑戦を決意します。
「自分にはこれっていうものがなくて、ずっと自信がなかったんです。だから、もらったせっかくのチャンス。求められているならば、できる範囲でいいから頑張ろうと思いました。女性だから、未経験だからとネガティブに捉えられないよう、私だからこそ頑張れているんだと。認めてもらえるような仕事をしたいと、決意しました」
こうして、事務職から土木職へ佐野は転身を果たしました。
現場をサポートする立場から、自身が主体となって現場を動かしていく立場に。それまでとは視点が大きく変わりましたが、一貫して大切にしていることがあると言います。
「ずっと変わらず心がけているのは、周りをよく観察して情報を集め、現状に対して最善の行動を取るよう努めること。私は24歳で入社し、遅いスタートを切っているので、少しでも早く同年代のメンバーと肩を並べるようになりたいという気持ちがあります。
いまは自分ができることがまだまだ少ないことに負い目を感じていますが、周囲の方々がそんな気持ちを汲みとって優しく、ときには厳しく指導してくれています。とてもありがたいことですよね。
現場の人々を支えるこれまでの事務職の仕事とは異なる立場になりましたが、両方を経験できたことで、『こういうときはこうすればいい』『あのときはああすればよかった』と、たくさんの気づきが生まれています」
現場ではときに厳しい言葉が飛び交うこともある中、持ち前の性格で乗り切りたいと意気込みます。
「ポジティブさと根性だけは誰よりもあると思っていますし、好奇心も旺盛です。そんな良い部分を前面に押し出しながら頑張っていくつもりです」
あたたかい人に囲まれた職場で、自分だからできることに挑む
佐野にとって土木職としてのキャリアはまだ始まったばかり。自身の将来をこんなふうに展望します。
「1日でも早く仕事を覚え、ほかの皆さんと足並みを揃えて仕事ができるようになりたいと思っています。先輩が親身になって教えてくれる環境を大いに活用して、毎日ひとつでも多くのことを学んでいきたいですね。この先、仕事に慣れることがあったとしても、いまの気持ちを忘れることなく、息長く頑張っていくつもりです」
社内初の事務職から土木職への転身という大きな看板を背負いながら、後続のために道なき道を切り拓いていくことにも関心があると話す佐野。未来の仲間に向けて、こんな言葉を送ります。
「土木職に向いているのは、前向きに頑張っていける人。未経験であっても女性であっても、会社は挑戦する気持ちがある社員の声に耳を傾け、それぞれが思い描くキャリアを実現できる環境を用意してくれているので、ためらうことなく、どんどん挑戦してもらえたらと思います」
一方、まだまだ現場に女性は少ないながらも、前田道路では職場改善が進むなど、とても働きやすい環境があると言います。
「現場で働く女性は決して多くありませんが、それを気にする場面は少ないですね。ただ女性のほうが細かいことに気づきやすいと思うので、これからは私自身も環境改善に力を入れていくつもりです」
やさしい表情でにっこりとほほえむ佐野。前例のない勇ましい決断をしたとは思えないほど、やわらかな雰囲気を漂わせています。その人柄に惹かれて、周囲の人々もやさしくサポート。挫折を経験してきた佐野に、いまの職場が自分の居場所になっているか聞くと、大きくうなずきます。
あたたかい人々に囲まれて、佐野は新しいことに挑みます。女性だからこそ、未経験だからこそ、そしてなにより自分だからこそ、できることがあると信じて。
※ 記載内容は2023年7月時点のものです
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