最高のレースをめざして奔走──「MotoGP™」開催に海外から2,000名を受入 | キャリコネニュース - Page 2
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最高のレースをめざして奔走──「MotoGP™」開催に海外から2,000名を受入

パドックに並ぶ控室

モビリティリゾートもてぎで行われる世界最高峰の二輪ロードレース「MotoGP™」。海外関係者の現地受入をはじめ、調整を担うのがモビリティリゾートもてぎ モータースポーツ課です。2019年入社の杉田 佳輝は、最高のレースにするべく、調整に奔走する毎日。準備の様子や想いを語ります。【talentbookで読む】

関東中のプレハブを集めて控室を設置。世界中から集まる関係者のオーダーに応える

モビリティリゾートもてぎのモータースポーツ課に在籍しているメンバーは40名ほど。うち、杉田を含めた4名は「レース事務局」として、レースに参加される方々の環境作りを任されています。

「私たちモータースポーツ課は、モビリティリゾートもてぎにある4つのサーキットコースを管理しています。その設備管理、関係者や選手の受入、細かな調整などが私たちレース事務局の業務。さらに、全日本選手権や地方戦が開催される際には、準備から運営までを一手に引き受けます。私は地方戦のレース事務局長として、規則の制定に携わったり、タイムスケジュールを決めたり、レース全体の管理をする役割です」

そして目前に迫るのが、9月29日(金)から3日間開催される「MotoGP™」。世界各国のトップライダーが集まる世界選手権です。世界選手権のレース事務局業務はレース企画課が担います。杉田たちモータースポーツ課では、設備管理やサーキット整備、海外からの関係者の受入やマシンの搬入といった業務を担います。

「MotoGP™を主催しているDorna Sportsというスペイン企業と連携しながら、さまざまな調整を重ねています。日本と海外でレースの文化も設備も異なるので、丁寧なすり合わせが不可欠。とくにMotoGP™は世界最高レベルの安全基準を求められるので、規定に従って設備の整備を行っているところです」

開催約3カ月前から緻密な調整を重ねている杉田たち。当日は、海外から2,000名の関係者が参加する予定です。

「関係者や選手スタッフ、テレビクルーなどが待機できるよう、コース裏に200棟近いプレハブを建てます。数が多いので、同規格のプレハブを関東中から集めることに。

また、海外から来たチームが動きやすいよう移動用のスクーターを用意したり、細かな備品などを手配したりするのも重要な仕事。さまざまな文化や宗教の方がいるため、食べ物や飲み物はとくに気を遣いますね。MotoGP™ではチームに帯同するシェフやケータリングのチームがいますが、飲料水はその国の方が普段飲んでいるものを手配したり、果物のリクエストも多いのでオーダーに応えたり、きめ細やかな対応をしています」

まさに、調整につぐ調整を重ねる日々。そんな今年のMotoGP™の見どころについて杉田は熱く語ります。

「これまでは、金曜・土曜は練習走行やスタート順位を決めるための予選を行い、日曜に決勝レースを行っていましたが、今シーズンは土曜日にも決勝レースを予定。スプリントレースといって、周回数が少なく決着がつきやすいので、抜き合い差し合いの展開が多く、エキサイティングな展開になると思います。ほかにも、ライダーパレードや表彰式など、お客様が楽しめるような企画を多数用意しているんですよ」

モータースポーツに夢中だった学生時代。念願かなってホンダモビリティランドへ

杉田は、中学生のころからモータースポーツが好きだったと言います。

「当時は、80年代に行われていた『WGP』(MotoGP™の前身)というレースの動画に夢中でした。はじめて生でレースを見たのは、高校生のころ。目の前で繰り広げられるレースは熱気も臨場感もすごくて、会場の雰囲気に圧倒されました。

大学は芸術系の学部を専攻したのですが、カメラに興味を持ち、大好きなモータースポーツの様子を写真に収めるようになりました。レースの模様よりも、サーキット全体の雰囲気やバイクが走るカーブライン、整備の様子、レースを支える人々などを中心に撮影していました。ドラマチックなシーンをシャッターで切り取るのは、難しいながらもおもしろかったです」

カメラを通じて、レースを中心に起こる数々のドラマを知り、ますますモータースポーツに夢中になった杉田。より近い場所で関わりたいという一心で、ホンダモビリティランドに就職を決めました。

「選考に参加したのはホンダモビリティランドが1社目でした。内定をもらい、念願がかなったため、そこで私は就職活動を終わりにしました。入社が決まったときは、すごくうれしかったですね」

こうして2019年4月に入社。「レースに携わりたい」という強い意向は伝えつつも、最初の半年はパーク運営課でアミューズメントパークの運営を経験し、社会人としての基礎である言葉遣いやマナー、お客様と関わる姿勢などを一から教わりました。

そして、いよいよ12月にモータースポーツ課に配属されると、まずは北ショートコースという小さいコースの担当になり、レースの要でもある安全管理について学びました。

「具体的な仕事内容は、走行中にクラッシュしてしまった車両を傷付けず、かつ他の車両の走行を止めることなく、いかに安全に事故を対処するか。そしてなにより、怪我をされたお客様をいかに安全にメディカルセンターに搬送するかを、実務を通して学びました」

モビリティリゾートもてぎでは、会員のお客様の走行や参加型レースも行っています。こういったお客様のレースのサポートにも尽力している杉田。1日の流れをシミュレーションしながら、お客様に満足していただけるベストなかたちを探ります。

「お客様からレース参加申請を受けたら、レース開催日に至るまでに、受理書の送付準備、ピットガレージの割り振り、参加資格の確認、公式通知といわれる大会での決まり事などの発行を行います。レース当日についてはまず参加受付を行い、公式車検を経て、その後予選、決勝という流れです。

仕事をする上で注意しているのは、やはり安全面。たとえば初心者が多いレースなら、慣れない準備に焦らないように車検と予選の間の時間をしっかり取るようにしています。また、夕暮れが早くなる季節に関しては、中断やトラブルにより、遅延する可能性を考慮してタイムスケジュールを工夫します。こうした運営側の工夫が安全なレース開催に欠かせません」

3年ぶりの開催にファンの歓声が響く。ビッグレースの一員になれた、喜びと誇り

2022年MotoGP™スタートの様子

MotoGP™は、2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で開催を中止していました。3年ぶりの開催となった2022年は、杉田にとっては入社後初の経験でした。

「私は、MotoGP™のサポートレースである、『アジアタレントカップ』の事務局として、必要な備品の手配や、現地での調整を行いました。レースが始まると、管制室で転倒の発生状況や日時などを記録し、各セクションへ共有する業務を担当しました。

MotoGP™は国内のレースとはまったく雰囲気が違いました。サーキット自体の雰囲気がガラリと変わって、世界中の人々が一つの目的をめざして集まり、たくさんの言語が飛び交うなか、まるで異国に来たかのような気持ちになりましたね」

ライダーが真剣勝負に来ているので、運営側ももちろん本気。それでも、どうしても当日にトラブルが起こってしまうこともあります。

「海外の電化製品の規格の違いに対応はしていたものの、電気系統のトラブルで火災が起きるというアクシデントが発生。問題を解決するにも、言葉が思うように通じない中で互いの話を理解し合わなくてはならず、とても苦労しました。なんとか対応し問題を無事解決できたときは、かなりの達成感がありました」

緊張感が高まるシーンもあったものの、はじめて運営側として関わるMotoGP™は、やはり特別なものでした。

「レースがスタートしてからは管制室にいたのですが、その真横で日本人が優勝したクラスの表彰式が開催されていました。日本人が優勝したのは十数年ぶりだったこともあり、大勢のファンが歓声をあげていて、私も興奮しました。

入社する前はお客様としてサーキットに来ていた私ですが、いざ運営側に立ってみるとまったく違った感覚でした。お客様としてレース観戦していたときは見えなかった、華やかな世界の裏にある細々した作業や調整に追われることにはなりますが、それでも自分がビッグレースの一員になれるのは、大きな魅力。運営側に立っている自分に誇りを感じ、大変ながらも心から楽しんでいる自分がいました」

若手のチャレンジを応援する環境。全日本選手権、さらには世界選手権に携わるのが夢

モビリティリゾートもてぎロードコースにて

今後めざしたい目標について、杉田はさらなる挑戦を語ります。

「よりスキルを高めて、ゆくゆくは全日本選手権、そしていつかは世界選手権のレース事務局メンバーになりたいです。そのために、今任されている地方戦のレース事務局長の仕事を中心に力をつけていきたいですね。安全第一で運営し、参加されたすべてのお客様に『もてぎで走ってよかった』と思っていただきたい。安心してレースに臨めるよう、走行中のマナーや安全に対する意識の啓発にも力を入れようと思っています」

参加されるお客様とコミュニケーションを取りながら、これからも常にお客様目線で、どうすれば楽しんでいただけるかにこだわり続けます。

「モータースポーツ課の先輩方は、私たち若い従業員のチャレンジをいつも応援してくれるんです。課長や主任は『頼れる先輩』という雰囲気。困ったとき気軽に相談しやすく、いつも的確な回答をくれるので、頼りにしています。

ワークライフバランスの面でも、ホンダモビリティランドを選んでよかったと思っています。レースは週末に開催されることがほとんど。土日は出勤がメインですが、予定があれば有休は取りやすいですし、毎年、施設の定期点検で営業が休みになる期間は、数週間のまとまった休みをとれます。海外に行ったり、帰省したり、同僚と旅行したり、リフレッシュできて、メリハリがつくんです」

そんなホンダモビリティランドでは、仕事の現場を知る機会としてインターンシップを実施。

「インターンシップでは、レースイベントの際のインフォメーション業務が体験できるプログラムも。レース好き、バイク好きの方はもちろん、人と関わるのが好きな方はきっと楽しみながら就職活動の準備ができると思います。

大事なのは、コミュニケーションをしっかり取って、わからないことをどんどん聞くこと。少ない人数で大きなことを行う仕事だからこそ、連携が重要なんです」

迷いなく「好き」を仕事にし、若手ながら果敢に挑戦を重ねている杉田。ビッグレースを自分が中心に立って運営する将来を見据える彼の瞳は、熱い輝きに満ちています。

※ 記載内容は2023年8月時点のものです

ホンダモビリティランド株式会社

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