ただ、目標を“回収”し続けた。経営者を目指す、特別ではない方法とは | キャリコネニュース
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ただ、目標を“回収”し続けた。経営者を目指す、特別ではない方法とは

▲幼少期の荒井

▲幼少期の荒井

教育の可能性を追求する株式会社クルイトで、取締役CHROを務める荒井貴成。学生時代に学生団体を立ち上げ、新卒で入った会社では最初の四半期で部内MVP、転職先のリクルートキャリアでも全社最大表彰でMVPに選ばれるなど数々の実績を残してきた。そんな彼が大切にしてきた「特別ではない」あることとは。【talentbookで読む】

目標を回収する今と、目標をみつけられなかった過去

株式会社クルイトの取締役CHRO(最高人事責任者)を務める荒井。「今は事業で差がつかない時代、これからは人でしか差がつかないからね」そうまっすぐな瞳で言う彼は、“最高のチーム”を追い求めて、人事として組織づくりに日々奮闘している。

荒井 「ルーキーズにビリギャル、ウォーターボーイズ。登場人物たちが協力して、努力して、何かを掴み取ろうとするストーリーが好きで……。ありきたりなストーリーだけど、そういう話にどうしても惹かれてしまうんだよね」

夢や目標を追いかける姿が好きだと語る荒井自身、「最高のチームづくりをしたい」という目標に向かって努力してきた。荒井は、目標と向き合い続けるためにあるひとつのことを続けてきたという。

荒井 「自分が立てたひとつの目標のために、何が必要なのか、なぜそれが必要なのか、どうしたらできるのかといったことを挙げて、それをひとつずつこなしていくこと。これだけはずっと続けてきたと思う。特別な経験をしようとか、人と違う生き方をしようとか、そうじゃなくて、自分の立てた目標のために、小さな目標をコツコツ“回収”してきただけ」

目標を“回収する”ことを続けてきた荒井は、目的意識も高く、人から慕われることも多いのだが、大学に入るまでの彼は今の状態からはほど遠かった。

他人の評価を気にしてばかりいたため、思うように自分の意見を周りに伝えることができない少年時代。嫌われるのではないかと思い、人に合わせてしまうことが多かった。

荒井 「自分を自分たらしめるものがわからなかったんだと思う。俺が何に対して熱くなれるのかを理解してなかったんだ」

高校を卒業して大学生になった荒井は、そんなもやもやした気持ちを抱えたままだったが、やがて転機が訪れる。

彼に衝撃を与えたのは、大学1年生のある日、なんとなく参加したイベントだった。それは、全国から大学生が集まって行う合宿形式のイベント。社会問題や自分のキャリアに向けて、自らの意見を交わし合う機会をつくろうというコンセプトがあった。

全国の学生が集まるそのイベントで荒井が出会ったのは、「自分のやりたいことを追い求め、自分の意見を伝え合う先輩たち」だったという。

荒井 「ほとんど年齢の変わらない人たちが、こんなにも自分のやりたいことに向き合い、挑戦しているなんて知らなかったし、彼らのことをめちゃくちゃかっこいいと思った」

それだけではない。自分の意見に真剣に耳を傾けてくれる周りの姿に、発信すること、そしてそれを受容する文化の大切さを荒井は知る。

荒井「自分がどう思うのかということを常に問い、同時に誰かの発言は必ず認めるという姿勢が一貫されていたんだ。それってすごく素晴らしいことだなって」

イベント後、自分の考えや思いを周囲に発信するようになり、共感して集まった仲間と学生団体を立ち上げ、活動を開始した。

「チームへの誓い」と、成長のために重ねた努力

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その後、複数の団体を立ち上げ、代表を務めた。卒業が近づき、社会に出ようという段階になった時に自分の団体を見返してみると、立ち上げたときには想像もできなかったような団結力をもったチームがそこにはあった。

荒井は、切磋琢磨するメンバーの姿を見て、「俺は、日本一充実した4年間を過ごした」と感じたのだという。

それは、自分が何者かわからず、何に興味があるのか知りたかった荒井にとって答えが見つかった瞬間だった。

チームが力をつけ、どんどん活性化していくこと。成長していくメンバーの笑顔。それこそが、荒井にとって熱くなれるものだったのだ。

今度はビジネスの世界で、最高のチームづくりをしてみたいと思うようになった荒井は、経営者という仕事を自然と志すようになった。

大学生活最後の日、その年の3月31日に、荒井は学生団体のメンバーの前であることを宣言した。

それは──社会人になって1年以内に、絶対に何らかの賞をとること。──

荒井 「このチームに入ってくる次のメンバーの道しるべになりたいと思ったんだ。この団体でやってきた活動には絶対に価値があるし、本当に成長できる環境だという確信があった。

だからこそ、後輩たちに迷わずここで全力で頑張ってほしかった。初代代表である自分が社会に出て活躍していなかったら、“ここで頑張っても荒井さんみたいにしかなれないんだ”って思われちゃうかもしれない。

そうではなく“ここで頑張っていたら荒井さんみたいになれる、だから本気で取り組もう!”って思ってほしかった。最高のチームが、この先も最高であり続けるために」

自分のチームをとことん愛する荒井は、チームへの想いを胸に社会に飛び出した。

新卒で入った広告代理店では、最高のチームづくりができる経営者になるという目標の一歩目として、荒井はまず最年少リーダーを目指すことにした。

案件がくる度に「自分がやります」と手を挙げ、気づけば同期の約3倍もの案件数を一人で担当する日々。会社に泊まり込んで仕事をすることも多々あった。

結果、荒井は入社後最初の四半期で部内MVPとして表彰されることに。仲間に誓った「入社一年目で賞をとる」という約束を果たすことができたのだ。

このままいけば、最年少リーダーになれる可能性もあったはずである。だからこそ、荒井は次の段階に進むことを決意する。

「経営者になってチームづくりをしたい」という目標のためにも、短期でマネジメント職を目指すのではなく、まずは自分自身がどこでも通用する力を身につけたい。そう考え、荒井は転職を決意。3年でトップセールスになるという目標を胸にリクルートに入社。経営者や事業責任者と対峙できる事業部の営業職として飛び込んだ。

“目標の期限”に誠実であるために──走り続けた5年間

▲リクルート全社内最大表彰でMVPを獲得

▲リクルート全社内最大表彰でMVPを獲得

自らの前にあえて大きな壁を用意した荒井。もちろんすんなり全てがうまくいくわけもない。多くの失敗を経験したり、先輩の圧倒的な能力を目の当たりにしたりすることが続き、涙が止まらなくなることが幾度とあった。

だが、その経験は荒井に大きな気づきと成長を与える。

荒井 「優秀な先輩と仕事をしていく中で、大切なことは意外にもスキルやテクニックではなく、人間性や思いやりという根っこの部分だということを学んだ。自分が大きく変わった期間だった」

そして、リクルートに入社して2年半後。荒井は約2000人のうち1名だけが得られる全社内最大表彰でMVPを獲得した。

血のにじむような努力をし、成果を出し続けた荒井。そこまで頑張れた理由を荒井はこう語る。

荒井 「なぜ頑張れたのかといったら、ひとつは“目標に期限を設ける”ことだったと思う。もちろん早く帰りたい日もあったし、チャレンジすることで自分がより苦しくなると葛藤したこともあった。

でも、今日このチャレンジをせずに期限内に目標を達成できるのかと自分に問いかけたら、答えはいつも NOだったんだ。

だからこそ、いつも“今”チャレンジをすることを選んだ。 10年後に成果を出したいんだったら、明日頑張れば良いかもしれないけれど、 1年で成果を出したいんだったら、 1日も無駄にできないなってね」

荒井は常に自ら期限を設け、目標に向かって走り続けてきた。

しかし、営業として成果を出した上である気づきが──

荒井 「営業をしていく中で強く意識していたのは、当事者意識を高く持つということ。クライアントである経営者と同じ目線で会話をすること。それによって成果を上げることができた。

ただ、その時気づいたんだ。どこまで当事者意識を高く持っていても、当事者ではないということに」

そして改めて原点に立ち返り、自らの目標を再認識する。

荒井 「リクルートの営業としての約 5年間は自分にとっては修行で、本当に成長させてもらったし、会社も好きだった。だけど俺の夢は “最高のチーム”をつくることであり、経営者になること。

次は当事者意識を持った営業としてではなく、本当の当事者としてチームづくり、事業づくりをしたい、そう改めて思ったんだ」

目的だけは見失わずに駆け抜けた20代。30歳を前に、その一番の目的である“最高のチームづくり”をするために、ゼロからイチをつくる仕事への転職を決意した。

この会社で“最高のチーム”をつくりたい。クルイトとの出会いと今

▲株式会社クルイトの取締役CHROとしての今

▲株式会社クルイトの取締役CHROとしての今

目標を追い、その目標を達成するために小さな目標を回収してきた荒井。目標もなく、やりたいこともわからなかった高校生までの自分を振り返ったとき、頭に浮かび上がったのは日本の教育への疑問だった。

荒井 「小学校 1年生から高校 3年生まで、誰かに決められた 5教科というものばかりで評価され続けてきて。それで大学生になって初めて何をしたいのか問われても、自分が何をしたいのかわからないのってそりゃ当然だよね」

何に対して熱くなれるのかわからない──そんな、大学生になるまでの自分と同じような人がたくさんいる今の社会。そのことへの問題意識から、荒井は転職を機に教育に目を向けた。

これからの自分が生涯かけて向き合いたい領域は教育だと感じていた荒井のもとに、株式会社クルイトの社長である大濵裕貴から声がかかった。

大濵との出会いを、荒井はこう振り返る。

荒井 「『教育で世界を変えたい』という、目指しているものの大きさ、そしてそれに取り組む姿勢に惹かれた。成し遂げたいことがあるなら、その目標や夢に対して、まっすぐ、素直に、純粋に向き合おうとすることがどれほど大切で、どれほど大きな力をもっているか。

その姿勢を体現している大濵についていきたくなった。自分の限界にとらわれないこの人と一緒に、教育をいいものにしていきたいと思ったんだ」

こうして荒井は、教育の力で社会を変えていくことを目指すクルイトで、長年追い続けてきた“最高のチームづくり”を目指すことにした。

2019年現在、取締役CHROとして活躍する荒井は、将来「クルイトの強みとは?」と問われたとき、それは「人だ」と答えられるようにしたいと言う。

荒井が目指すクルイトの姿とは──

荒井 「本気で自分たちの手で当事者として、教育を通じて世界を変えるような会社にしていきたいと思っている。そのためには、視座を高く持つことのできる人を会社のなかに増やしていきたい。

自分の視点から、マネージャーの視点、社長の視点、日本の視点、世界の視点へと視点を上げて物事を見ることができるような、そんな人を増やしていきたい。

視座を高く持つということは、結局は思いやりだと思うんだ。相手の気持ちを想像できるかどうか。最高のチームをつくるために、そこを大切にして進んでいきたい」

チームづくりに魅了されて経営者を目指した荒井は、メンバーに対して人一倍強い想いがある。

もうそこに、人の目を気にして、自分が何者なのかわからなくて、漠然とした不安を抱えていたあのころの少年はいない。

「最高のチームをつくりたい」──その目標に向かって、荒井は前進し続ける。

株式会社クルイト

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